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▼小谷野敦「もてない男」(ちくま新書)
この本の内容に関してあからさまに攻撃してる男性のネット管理者を多数見かけた。「手に取るのも汚らわしい、気持ち悪い」と表明していた女性もいた。
この本について表層のみで語ろうというのは、実は危険なことではないかと思う。本の作者から編集者から出版社まで、あきらかに上記の感想をねらって書かれているようなふしがあるのだ。芸能界でいえば、バラドル、きわ者芸人と同質のたたずまいが。
誰だって「あなたはその歳で童貞/処女なんですか」と言われたら怒り出すに決まっている。おおっぴらに語ることが難しい上に、個人の性体験の以上でも以下でもないところに終始するがゆえに、「童貞/処女論」はお互いの意見を出し合って活性化させにくい。
作者は前書きで「ジェンダー研究やセクシャリティー研究があって童貞研究がないのはなぜだ」という疑問を発端として本書を書いたという。つまり議論や評論がないので自分がやった、というパイオニアとしての表明だ。(「こういうことをさせるソフトがないので自分でプログラミングしてネットで公開しました」みたいなもんか)その内容は「めぞん一刻」などの漫画から村上龍などの小説まで、サブカル的ネタを雑多に集めただけ、といういかにも突っ込みを受けそうな構成だが、この雑さは作者自身も自覚しているのかもしれない。本人が望んでいるのは、言説の妥当性ではなく議論の拡大化だから。
渋谷や池袋のギャルどもに「こんなややこしいことを考えているからもてない」と一蹴されて終わりにしてもらいたい気もするが。 (2000/05/20)
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