▼村上龍「共生虫」
 以前、ある文学賞の選考委員の言葉に「今の若い奴なんか興味ない」と発言した人と同じとは思えないほど、ここ数年の村上龍の作風は「若い人」本位のテーマが多い。本人が若くなくなって、立ち位置と視点が少しずつずれていったのかどうかわからないけど、物語の構成がシンプルになり(オチがきちんと大多数の読者に理解できる。一部の文学好きにしかわからないようなものではない)、ダイレクトに訴えかける読みとりやすいテーマが読後感を誘う。(「限りなく透明に近いブルー」や「コインロッカー・ベイビーズ」では、ぱっと感想文書きにくいでしょう)
 村上春樹が90年代に入って、重くて湿った作風になったの比べて、この人は一貫して乾いている。年を経過してさらに、あらゆる角度の湿っぽさを拒否し続けようという意志が貫かれている。(2000/08/27)
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