▼重松清「舞姫通信」(新潮文庫)
「生きたい」と「死にたい」は等価である。「生き急ぐ」と「死に急ぐ」が同義であるように。そして、歳を経れば経るほどに、その二分割がより等しくなっていく。
生者の数は死者より多い。命が大切、という基本原理はその前提によって成り立っている。ただし、生者はいずれ死者になる。到達するまでの期間が長いか短いかだけではないか……自殺への甘美なる幻想、特に、失うものが少ない若い世代に投げかける説得力は、どんな形であれ大きい。本書は、登場人物にそのせめぎあいが、年齢を問わずして投げかけられている。
重松清は長年フリーライターに就いていた。最初の仕事は岡田有希子だった――という基礎知識かあるかないかで、ずいぶんとこの小説の楽しみ方(楽しみ、という言い方は不謹慎だろうが)も変わってくるだろう。(たぶん)(2000/10/12)
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