▼村上龍『タナトス』(集英社)
この小説の表記として、
・語り手であるカメラマンの男がキューバ滞在中に、女優サクライレイコと出会ってどこへ行って何をしたのか一部始終。
・女優サクライレイコの独白。
に分かれ、しかも独白の方は始まりだすと止まらないので、この本の途中からページをめくると、いったいどういう展開にあるのかさっぱり把握できないでしょう。村上龍お得意の、言語によるノイズの洪水。
この狂気の沙汰にある独白態の洪水は、村上龍が好きな人ならもう慣れっこになっているだろうし、慣れていない人は「だから村上龍は独りよがりで嫌いだ」と思うことでしょう。ここ最近の村上龍の中では、いちばん彼らしい小説ではありますが。(2002/02/06)
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