▼阿久悠「書き下ろし歌謡曲」(岩波新書)
一〇〇篇もの歌詞が収められているが、文を読むだけでなんだか曲が聞こえてきそうな記がする。こういう作詞家ってほとんどいないよね。歌詞だけ切り取ったらどっかのCMのコピーにしかならんもんばっかでさ。
タイトルからして艶やかっつうか、なんか匂いたってくるようなもんあるぞ。「迷い猫と迷い女を同時に拾って」「出会った時には小さな花」「DJだけが起きている」「すっぴんで勝負しな」「吸血妃」「目を見て語れ 恋人たちよ」「ゴンドラの棺」「死ぬことはリセットにあらず」…………。
「明解国語事典」を手に、単語のひとつひとつに自分なりの解釈で絵を思い浮かべる。実際の事物とその解釈とに隔たりがあろうと、そこへの過程においての妄想なり推理なりが、言葉の膨らみを産むのだと。(1997/09/13)
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