▼池澤夏樹「むくどりの巣ごもり」
「週刊朝日」の長期連載1996年分パッケージエッセイ。
なので1996年の話題が当然多いが、著者が沖縄在住になってから沖縄の話題が中心。(ところであのハイパーなご令嬢=池澤春菜はもちろん関東在住なのでしょうね、仕事柄)
しかしすっきりしないのは、著者がどうも沖縄在住という特権から、沖縄の諸問題をネタにエッセイを書き、本土の人間を皮肉ることで自分の賢さを見せびらかしているように思える。
いや、こちらのうがった読み方と言えばそれまでなんだけどさ……。確かに多方面において、日本を読み解くキーワードとして「沖縄」は最重要項目であるよ、確かに。だけど、誰も彼も沖縄をじかに見てものを言えるわけじゃないし、なにしろ池澤夏樹だって元々は本土の人間じゃないの、最も安全な位置から血を流さずに物を言ってないかい、という気がしてくるのだ。
うーん興奮してしまった。この方の小説は大好きだよ、念のため。
これとは別に、テオ・アンゲロプロスの「ユリシーズの瞳」「蜂の旅人」の字幕翻訳作業についての文章もあって嬉しかった。ちなみにほとんどのテオ・アンゲロプロス映画はこの方の翻訳による。(1998/05/20)
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