▼永山則夫「文章学ノート」(監修:佐木隆三 朝日新聞社)
本の選出がスタンダードばかりなのは自分の死期を悟っていたからか。自分も読んだ本がたくさんあって嬉しい。しかも鋭い。なぜかサルトル批判がやけに長い。「文学部只野教授」がらみで筒井康隆への批判も手厳しい。「断筆して当然(注:断筆中当時の文章)」だとか。
村上龍もC.W.ニコルもめった斬り。
しかし特に鋭いと思ったのは銀色夏生の書評。……なぜだ、塀の中の住人のままなぜこのような分析ができる?ワイドショーのコメンテーターの何十倍も冴えているぞ。
規制のテクストを読み下し、「本の内容を客観的に示し、その要約論評を原文引用によって展開し、買わなくてもわかるようにし、本当に必要な本を読めるようにするのが、これからの読書人の義務であるのだ。そうしてえたこの情報過多時代において若い読書人の精神を余計な疲労から守ってあげられるのである」と呉智英の本と自分を対比して決意表明をしている。
永山則夫は1969年にピストル連続殺人事件で逮捕。当時19歳。
私の生まれる前。そして1990年に死刑確定、
1997年8月1日に死刑が執行された。享年48歳。
ちなみにあの酒鬼薔薇少年逮捕の一カ月後。うーむこの人が彼のことやバタフライナイフ少年たちのことをどう評するか聞いてみたかった。
なにせ「ピストルを握りしめていると永年求めていた親友に出会ったような落ち着いた気持ちになれた」と表現している御仁だもの。(1998/05/15)
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