▼「さよならバードランド−あるジャズミユージシャンの回想−」(ビル・クロウ/村上春樹訳/新潮文庫)
「育ちきらない男性のおどきの国……」の個所(462ページ)は段落ごと引用すると、
豪華な装飾のクラブは、育ちきらない男性のおとぎの国だった。そこにはバニーの尻尾と耳をつけた綺麗な娘たちがうようよしていた。彼女たちのコルセットみたいな衣装は、脚や胸をたっぷりと露出させていたが、それは仕事のための衣装としては着心地悪く、非実際的な代物だった。かわいそうな娘たちの大半は自分たちのことをモデルかショーガールみたいなものだと思っていたけれど、実際にはただのウェイトレスだった。そして彼女たちは信じられないくらい高いハイヒールにぴったりとしたレースの衣装という実に歩きにくい恰好で、毎晩毎晩客たちの好色な視線を浴びながら、何マイルも何マイルも歩いて酒や食事を運ばなくてはならなかった。
あんまりといえばあんまりな描写でもあるが……。
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