▼田山花袋「蒲団」
日本文学史などで必ず出てくる作品である。読んだことがなくても、みんな、とりあえず名前は知っているだろうし、どういうラストなのか、だけでも知っているというくらい、強烈なラストである。
しかし、どういう過程を経て主人公の小説家が女弟子の蒲団の残り香を嗅いだのか、知っている人は少ない。私もそうだった。んで読みました。分量にしてせいぜい七十ページ余り。
最初は、谷崎みたいな官能の美学みたいなものを勝手に想像していました。……だけど読んでみたら、全然ちがった。
もう、なんつうか「男ってなんだあ!」「恋愛ってなんだあ!」って叫びだしたくなるムードなのよ。こりゃジョン・レノンかエリック・クラプトンかっていうくらいで。
恋愛をすること、相手に幻想を持つこと、これはそれ相当のエネルギーを要するわけで、そこにエンジンがかかってブレーキがきかなくなると、とめどなく実体のない言語と映像が、頭の中でめまぐるしく回るわけで。
蒲団の残り香を嗅いで大泣きするくらいまでいっちゃうわけである。(1999/05/20)
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