▼「日本の若者の弱点」(中里至正・松井洋/毎日新聞社)
 これまでに何度も書いたことなんだけど。
 ある統計の一部分の結果のみで、世の中の森羅万象を分析したような気になっている姿勢に違和感を覚える。
 極端なことを言えば「渋谷にたむろしている女子高生が荒れている。よって日本全体の女子高生が荒れている」に似たような物言いであふれている。
 さて、この本は、「日本の若者のどこどこが悪い」と、木を見て森を見ない中途半端な分析ではなく、先進国アメリカの若者とどこがちがうのか、イスラムの共産圏とどこが似ているのか、中国や韓国の若者とはどう比較すべきか、各項目にアンケートを取って、さらに10年前と現在とのアンケート結果を比較している。
 注目すべきところは、「酒を飲む、ポルノに触れる、実際の行為を行うなど、悪徳と思われる行為を、社会が容認しているか、そして若者の道徳感からして「悪い行為」であると自覚しているかどうか」という観点。
▼と、そうやってより正確さを求めてみても、救われるような結果が出てこないのが悲しいところで……。
 特に性風俗や性行為などに対する寛容性はだんとつで、青少年保護育成条例なんかどこ吹く風ってところ。テレビに雑誌にビデオに店舗に、日本は世界でもめずらしい、ありとあらゆる百花繚乱の万華鏡をあちこちに解放している変な国らしい。
 最後の章は、筆者の観点からして、若者の荒廃は「親子関係」にあるとしていろいろな観点を示唆している。これもまた従来の短絡的な視点を翻して論を進めている。
「『父親不在』などと言って父親を悪者にしているが、本当は母親の方が、子どもが幼いときから、自立心を奪うようなことをやらかして、よっぽど害になってないか」などなど。(1999/05/24)
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