▼永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」(コアマガジン)
その日に読み終える。563ページというボリュームを感じさせなかった。でも読み終わったらさすがに疲労がくる。
▼「『ウィンドウズ98』って出たよね」。女の子(注:羽山亜衣)に話を合わせようと、そういうライター(注:筆者永沢光雄のこと)は必死に彼女に気に入って貰えそうな話題を探す。
「95と全く変わらないじゃないですか! 立ち上げが早くなったぐらいで(何が立ち上がるというのだろう?)、ビル・ゲイツのハッタリですよ。でもこれからパソコンをやる人にはいいと思う。――(?)があるじゃないですか。それを――(?)すれば――(?)になるんで初心者にはいいんじゃないですか」
ほうほう、と無表情で頷くそういうライター。
「やっぱりパソコンのユーザーを広げないと、――(?)に取られちゃうからね、客を」
私、話題を変えることにした。羽山亜衣の所属する事務所から、今日のインタビューは夕方の五時半で切り上げてくれと言われている。この後に、撮影か何かの仕事があるのだろうか?
「ホームページ(?)のデザインの仕事とかをフリーで在宅でやっているんで、その打ち合わせがあるんです。わたしの仕事は基本的に――(?)。個人がホームページ作る時に、ソフトを使ってもいいんだけど、結局――(?)に変換しなくちゃいけないから、それでわたしがお客様の希望通りにデザインしたり、写真突っ込んだりするわけ」
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「パソコンなんて、慣れちゃえばなんていうことないけどね……」
羽山亜衣が初めて私の顔をじっと見た。
「わかんない人は、いつまでたってもわかんないよね。かわいそうだけどね」
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(永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」〜羽山亜衣 408〜409ページ)
憐れだ……パワーユーザーにありがちな、ビギナーに対するある種の奢りを羽山亜衣に見た。若い女の子(OLとか)にこういう目で見られたおじさんがパソコン教室に通うようになるんだろうなあ。
ウィンドウズ98のことをちゃんとわかってもいないのに、マスコミに取り上げられていたというだけで話の種に持ってきたら、墓穴を掘ります。
――(?)の部分、なんとなく話の流れから(私は)予想がつくんだが、まったくわからない人にとってはこういう風に聞こえてしまうのね。
ちなみのこの本の前作「AV女優」はWZのヴィレッジセンターから出ているんだが。
▼前作(90年代前半)の内容と決定的にちがうのが、おんなのこたちの口から「援助交際」に関わっているという話が具体的に語られるという点。もちろん「援助交際」が問題化する前から、売春の一形態としての「中年男性が女子高生を買う」プロセスは存在していた。あえてマスコミが社会問題として俎上に乗せる際に、「援助交際」と名づけられただけで(「ストーカー」もそうだろうな)
私個人は女子高生を買ったこともないし、援助交際に関わった経験のある女子高生の知り合いもいないので(誰か紹介してください、って払える金ないけど)単純に「売る馬鹿買う馬鹿」という目でしか見ていなかった。 援助交際を経験したという彼女たちも、かつての「若気の至り」を反省しながら、きちんと仕事をした上での代価を受け取る手順を踏んでいる、という自覚、加えて、AV女優という、一応は社会的認知を受けた職についている、という誇りを持っている。
▼AV女優、という職業。
特に男性は、雑誌やスポーツ新聞で彼女たちの肢体や艶技に、馴染みが深いながら、彼女たちの背景を見てはいないだろう。
その手の情報媒体が嘘や誇張を織り交ぜているせいでもあるだろうし。嘘かもしれないとわかって(というより、友達や恋人でもないんだから、どうでもいいに近い)買っている我々がいる。その人生が浮き彫りにされたら、立つものも立たなくなるだろうが。
AV女優という名前がつけられたら、一般人のモラルから逸脱しているという認知をうける。決してありがたくない認知なんだろうが。
秋野しおりが「好きな男の人にAVの仕事を理解してほしくない。普通の人間の感覚だったら絶対嫌なはず」と言っている。ちなみにたいていのAV女優はこの逆の発言をしていた。
前作の購買層は男性より女性の方が多かったらしい。彼女たちの背景を求めたのは、同性の方が数を圧倒したわけだ。
▼今回はインタビューを受けた女優からすべてOKが出たのか、写真にモザイクがかかっているものがなかった。しかし、普段が裸の写真のみの人の私服姿って、なんとも言えないような心地にさせられるってのは、気のせい?
▼至言だと思ったこと↓
「いつも不思議に思うんだけどさ、喧嘩ばかりしている夫婦って妙に子沢山だよね。あれってなぜなんだろう」
私が言うと、同席していた編集長が答えた。
「そりゃ、セックスするからだよ」
「それはそうなんだろうけど、仲が悪いのにどうしてセックスをするんだろう?」
「馬鹿だなあ。喧嘩をするから、その仲直りの手段として男はセックスするんだよ。暴力亭主の常套手段だぜ!」
編集長の言葉を聞き、十九歳の女の子(注:一ノ瀬 茜)は手を叩き声を上げて笑った。
「そうですよね! 暴力とセックスはセットになってるんですよね、キャハハ」
(永沢光雄「AV女優2 おんなのこ」〜一ノ瀬 茜 266〜267ページ)
▼ううむ、まだいろいろ書きたいことがあるんだが、(それくらいのボリュームなもんで)このへんで。
ところでこの本、やっぱりパート3も出るわけ? (1999/06/12)
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