▼村山由佳「BAD KIDS 海を抱く」(集英社)
この小説は先に出た「BAD KIDS」のサイドストーリーになっている。工藤都と鷺沢隆之という前作の主人公たちは脇役に回っている。(前作のエピソードは本作にも出てきて、前作品の時間軸に併せて進んでいく)
サーファー志願の高校生、山本光秀に、身体ごと恋焦がれてしまった優等生の藤沢恵理。彼女は生まれながらにして隆々と駆け巡る性欲を自覚し、一度は援助交際まがいのことに手を出す。その現場を光秀に見られた恵理は、だんだんと被虐的な思いにかられて、やがて光秀に迫りだす――って、私がこう説明するだけで、なんだか淫靡な世界が広がっている小説みたいだなあ。つまりですよ、この小説の説明の難しさは「基本的に女が誘う」ってことにある。それも自らの性欲を自覚しながら、に。
作者は女性で、それこそ広告の煽り文句や書評には「清冽」を意味する言葉が並んでいる。そのイメージをあえて越えるために描かれた意欲作になる。……しかし、どうしてもこの設定だと、18禁コミックまがいの映像が浮かんできてしまう。こりゃ読む人間にも問題はあるけど。なにせ優等生的な女性が乱れる、って「聖から俗へ」のポルノの世界の常套手段だしぃ(なんでも、ポルノの世界では逆がないそうだ。つまり「俗から聖へ」っていう成り上がり的なのはタブーらしい)
工藤都と鷺沢隆之が原色だったとしたら、山本光秀と藤沢恵理は淡いパステルトーンな世界。(1999/08/16)
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