▼鈴木清剛「男の子女の子」と角田光代「東京ゲスト・ハウス」
 「文芸」99年秋季号に同時に掲載され、同じく河出書房新社から出版されたからってことはないだろうけど、ずいぶん空気が似通っている。
 さしたる恋愛とも友情とも呼べない、だけどその場だけの切実な思いと、一緒になにかをすることで得られる高揚感で、ひとつ屋根の下での共同生活。あっけらかんとした性の匂いと、それ以上に感じる切なさに敏感になりつつ、最後は音も立てずに霧散して、飢渇のみが残っていく。それでも現実との折り合いをつけていく義務にかられながら生きる彼、あるいは彼ら。
戻る