〜〜 第1回  やりたいことは何ですか 〜〜

「安心して生活を実現するためには、生活設計をしっかりと立てましょう」と、よく私たちファイナンシャルプランナーは言います。しかし、生活設計とはいったいどんなものでしょうか。

            <<<<<<<< 生活設計とは?>>>>>>>>

 

  生活の質を高めたり、生きがいを求めるために・・・・・・
  人生において、これからの夢や目標を定めるために・・・・・
  それぞれの夢や希望を実現するために、
          生活の合理化・安定化・計画化をはかるために・・・・

「 必要な資産の形成や能力の開発に取り組むこと 」 です。

 私たちの生活を取り巻く今までの社会・経済環境は、長い間、安定・成長基調にあり、安定していてリスクも少ない代わりに、社会的な規範や制約が多く、生活設計における選択肢は環境の面からも私たちの意識の面からも限られていたといえます。

 このため、いままでの生活設計は急激な変化や大きなリスクをあまり意識することなく、将来をかなりの程度見とおしたうえで、「標準的で安定した生活を求める」ことに主眼が置かれてきたのではないでしょうか。

 そして、「住宅・教育・老後準備」といった世帯を中心とするライフイベントを滞りなくクリアしていくこと、その保障として世帯主の死というリスクに対してマネジメントすることが、生活設計の主要な目的として意識されてきたといえます。

 

  ▼ 自分の人生を自分らしく生きるための生活設計

 では、これからの生活設計はどのように考えていけばよいのでしょうか。 

 この講座では、「いまの自分」を再確認しながら、「これからの自分」の人生のデザインを自ら選択することからスタートします。

 ライフデザインは、大きく分けて「働き方(学生の場合は学び方)」「家族との関係」「友人・知人・地域社会とのかかわり」「趣味・健康・ライフワークなど」「経済生活」さらに「結婚・就職・定年などのライフイベント」などで構成されます.

 たとえば、「働き方」について考えてみましょう。終身雇用制や年功序列賃金体系を前提として従来のように一つの会社で定年まで働いて、安定した収入を得ていくことを当然のように考える事はできない時代になりました。

 将来の暮らしが見えにくいという点では不安定かもしれません.

 しかし見方を変えれば、「自分の個性に合ったやりがいのある仕事を求め、自分らしい人生を切り拓いていけるチャンスのある時代になっている」ということができます。

 また、「家族との関係」や「友人・知人・地域社会とのかかわり」などについても、従来のような「建て前」や「本来かくあるべき」とか「かくある自然で当然の姿」といった考え方や規範は弱まり、一人ひとりの生活価値観や人生観が重視される時代になってきました。

 このように、生活のあらゆる局面において、多様な選択肢の中から個人が主体的に選択することが重視されるようになりました。

 生活設計では、「自分らしいライフデザインの選択」と、その実現に向けて「生活課題を明らかにする」ことを主眼としています。

 多様な選択をするということは、一方ではさまざまなリスクに直面する機会が多くなるということでもあります。自分が選択した生き方や行動には不利益や損失が生ずるおそれもあるわけです。

 こうした「リスク」の存在を認識し、対処の方針を考えておくことも大切なことであり、生活設計の主な内容の1つになっています。

 

  ▼ 若い世代から高齢期を迎えた方まですべての世代を対象に

 「生活設計」は、特定の世代だけを対象にしたものではありません。現在の自分を再認識し、自分の生き方や生活課題を自分で決めて、自分らしい人生を求め、一方でリスクから身を守ることはすべての世代にとって必要なことです。

 ですから、若い世代から高齢期を迎えた方まですべての方を対象としています。

  ▼ 個人の生活設計と世帯主との調整

  個人としての生活設計をベースとしていますが、世帯として調整することが必要な場合もあります。個人の生活設計は家族の理解や支援が必要な場合もあるでしょうし、場合によっては自分が家族の誰かの生活設計を応援する必要も生じてくるからです.。

 また、自分の生活設計と世帯との調整も行えるようになっています。一人ひとりが自分の生活設計を持ち寄って世帯の調整をすることにでもなれば、さらに有効なものとなるでしょう。新しいライフプランによってコミュニケーションがはかれるのが、最大のメリットになるかもしれません。

   ▼ 一定期間ごとの見直しを

 生活設計には将来の見通しや一定の前提が必要です。変化の激しい時代にあっては、生活設計の期間をどのように考えるかが重要です。

 この講義では、中期(10年)・長期(20〜30年)を視野に入れつつ、短期(1〜5年)に重点を置いて計画し、一定期間ごとの見直しを考えています。

 

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 第1回の講義に使用するワークシート(エクセルにて作成)は、これからの基本となります。何度修正されてもかまいませんので、気軽に自分の現在と希望を記入していきましょう。

 また、表計算シートの使い方がわからないという場合には、プリントアウトしてお使い下さい。

 *記入項目は <仕事><家族><友人・知人><趣味・健康・ライフワーク><お金>の5つがあります。

 これらは私たちが生活を営む上で必要な要素であり、互いに深く連携しあっています。人生の節目となる卒業や就職、定年、転職、住宅リフォーム等の出来事も書き込むスペースがありますので、そういったことも一緒に考えて行きましょう。 

なお、記入例もありますので参考になさってください。

【現在の私】

これまで自分が大切にしてきたこと、自分にとって満足できたことや不満だったことなどを記入します。

    年代、性別、職業等、過ごしていた人生によって、さまざまなことが思い浮かぶと思います。記入例を参考にしながら「自分にとってはどうだったか」を考えていきましょう。

【これからの私】 あくまで自分がどうありたいか、ということを書き込みます。「夫に昇進してほしい」や「子供が早く結婚してほしい」といった、家族に対する思いではありません。

    ここに記入したことはあなたがこれからの人生を自分らしく生きていくための指針であり、それをはっきりと文字で表したことになります。そのことは、将来にわたって自分の人生を切り開いていく上でとても大切なことです。

【希望をかなえるために必要なこと】 「これからの私」に記入した希望を実現していくために必要だと思われることを記入します。第一歩として何に取り組むか、そしてそれを将来に向けてどのように発展させていくつもりかを考えます。
【今後予定されている家族のイベント】 自分にとって重要だと思われる人生の出来事を記入します。結婚や就職を考えている方にとっては、それが重要ができごととなりましょう。その後、子供の進学や住宅の取得・転居、定年退職なども、それぞれいとって重要な出来事といえるでしょう。
【資金の目処】 今後のイベントに対し、資金はどのように準備するつもりか、おおまかに目処を立てておきましょう。

  いかがでしたでしょうか? 

ここまで記入したことによって、あなたはこれからの人生を自分らしく生きるための指針を確認できたことと思います。

 このシートを元に、第2回以降で、あなたの希望や夢を実現していくための具体的なプランを立てていくことになります。

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