カンジダは
そんなに重症な
病気なのか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


いいえ。誰も話してくれないけど、とてもポピュラーな女性の病気です。婦人科外来の2割から3割の方は、カンジダ膣炎の治療にいらっしゃってます。

 

カンジダ膣炎については、ずいぶんご質問をいただきます。何故なるのか。どうして何回も繰り返すのか。性病ではないのか。治療しているが治らない気がする。妊娠には影響は無いのか。etc.etc.

 

カンジダについて、女性は多くを語らないので、間違えた認識が蔓延しているのです!

 

大胆に言えば、カンジダ膣炎は膣や外陰部の水虫です。厳密には、原因になる菌も、その発育場所も違いますが、表在性の真菌症という側面から言えば、まさに、水虫なのです。

水虫であるなら、治りにくいことも、繰り返すことも、納得できるでしょう。

 

カンジダは、膣の中に居る常在菌(いつも居る菌)です。通常、膣の中には善玉菌(乳酸菌の一種)が居て、膣の中を酸性に保つことで、カンジダや雑菌から守っています。しかし、善玉菌はホルモンに影響を受けやすく、疲労やストレスなどでホルモンのアンバランスが起こると、一時的に減少します。この隙を狙って、カンジダが増えておりものを増やしたり、痒みを起こすのです。(抗生剤の使用などでも乳酸菌の減少を起こします。)

 

したがって、カンジダはほとんどが自分の中にある菌が増えたことによるもので、性病ではありません。ただし、カンジダでおりものが増えているときに性行為を行うと、一時的に男性が痒みを訴えたりすることはあります。痒みなどの症状があれば、性行為は控えた方が良いでしょう。

 

カンジダは、自分がいつも持っている菌ですから、なかなか治りにくいし、繰り返すことも多いのです。しかし、だからと言って、重症化してしまうような病気ではありません。もし、エイズにかかっていたり、免疫抑制剤をのんでいたり、ステロイド(副腎皮質ホルモン)をのんでいたり、大きな手術後だったりすれば、免疫力が落ちて、重症になる可能性もあります。しかし、日常生活を普通に送っている方なら、まず、カンジダが全身性の疾患に発展することは無いと考えて大丈夫です。

 

カンジダはカビの一種ですから、湿度と温度、それに、中性の環境で育ちやすいといわれています。従って、蒸れるようなきついズボンや下着を着けているとなりやすく、また、気温が高くなるとなりやすくなります。さらに、おりものを気にして石鹸で洗いすぎると、膣内の酸性度が中和されるのでなりやすくなるといわれています。

 

乳酸菌が守っているわけですから、食事に乳酸菌の多いものを取りいれると、なりにくいとも言われています。直接、乳酸菌の入った製剤を膣の中に散布するという方法も、民間療法ですが行われることも有ります。

 

しかし、ひどくなればやはり、抗真菌剤を使って治療するのが治癒への早道です。ひどくなると、外陰部に炎症が起きて痛みがおきる事があります。ですから、なったら治すと言うつもりでいてください。

 

妊娠・出産に対する影響も、それほど多くはありません。妊娠中には免疫力が弱くなるためカンジダ膣炎にかかりやすいといわれています。痒みやおりものなどおかしいなと思ったら検査してみてください。カンジダが出ているようなら、きちんと治療すれば問題ありません。大量に膣の中にカンジダがいる状態でお産をすると、赤ちゃんの顔にくっついて皮膚炎を起こしたり、ごくまれには髄膜炎の原因になるとも言われています。が、治療して、カンジダの量が少なくなっていれば完全に治り切っていなくても感染はおこしません。したがって、カンジダだからといって帝王切開などの処置をすることはありません。また、妊娠中には、胎児に影響はありません。

 

カンジダにかかっても、水虫にかかった程度に考えていれば良いのです。症状がひどくなったらきちんと治療して治すということです。繰り返すこともありますが、なったら治すと考えてください。

 

ただし、治してもなかなか治らない場合に、免疫力が低下する病気が隠れているかもしれません。ですから、難治性の場合には、糖尿病など、全身性の疾患も調べておいた方が良いでしょう。

 

そうか、カンジダってそんなにたいした病気ではないのかぁ。と、思いつつHOME