伊勢佐木町ブルース

伊勢佐木町の婦人科医が逮捕された。12週以降の中絶をしたとき、埋葬の義務があり、さらに、死産届けを出さなくてはいけない。しかし、胎児をそのまま切り刻んで一般ごみに捨てていたらしい。
ま、繁華街のもぐりの婦人科では、よく使う手ですが。そういう処置は、普通院長が行うことで、他の人にやらせることではありませんから。もしくは病院の方針を熟知した古参の看護師がやるので、内密に行われることです。
別に院長の肩を持つわけではないのですが、おそらくこういうことだと思うのです。まず、伊勢佐木町あたりは不法滞在の外国人が多い。そういう人たちが妊娠すると大変です。中絶するのにもお金がかかる。考えあぐねているうちに時間は過ぎ、いつの間にか12週を過ぎてしまう。普通の病院に行けば、12週以降は数日の入院が必要で、中期中絶用の特殊な薬を使うので、大変高い。おそらく20万くらいはするでしょう。日本人なら、妊娠届けをしておいて、12週以降の中絶を申請すれば、出産手当が20万くらい出るはずなのです。(一応、中絶はどうしてもやむをえない場合に行うという建前なので、中絶してもお金は出ます。)住所不定の外国人などの手当ては出ない、入院は必要、埋葬は必要、死産届けは必要。これでは、簡単には手術ができません。そこで、伊勢佐木では、他の病院で断られた人たちを、簡単な方法で中絶していたのだと思われます。その際、死産届けも出せないので、当然埋葬もできない。仕方ないから、とりあえず一般ごみへ。ということだったのではないでしょうか?
院長も、そういう人たちだけを相手に「違法だけど、人助けのため」と、いうことで仕事をしていればよかったのでしょう。しかし、そういうことをすれば、たちまち、あそこは安くて手間がかからない手術をしていると、評判になります。当たり前です。きちんと法律や医学的な適応を遵守して安全に中絶を行えば、当然、お金も手間もかかるわけですから。そうすると、外国人でなくても、その病院に集まるようになる。やがて、数も増え、証拠隠しに胎児を切り刻んで捨てるのも大変だから、スタッフにやらせるようになる。そうして、このような事件に発展したのだと想像できます。
ま、そんな善意に解釈してあげなくても、通常は、12週以前の大きさだったといって、内密にやってしまうんですけどね。だいたい、出した胎児をわざわざ切り刻んだりしませんよ。子宮の中にいるのを、胎盤鉗子で潰して出すわけですから。うう!書いてるだけで気分悪くなってきた。そういうのやるのイヤだから、産科やりたくないんですけど。産科の開業やってると、どうしても、「困っているので、何とかお願いします。」と言って頼まれるんですよねぇ。イヤなんですよ。すっごく。普通は、お金がかかります、手続きも大変です。死産届の提出や埋葬の義務があります。といって、何とか思いとどまらせるんですけど。それでも、旦那さんの子じゃないとかね、子供が5人も6人もいて、もう、これ以上増えたら生活できないとかね(そんなら、ちゃんと避妊してくれよぉ)そういう理由があるらしいんですよ。何とかにも3分の理といいますからねぇ。どうしても、と泣きつかれてやむなく中絶するのはいいんですけどね。出てくるんですよ。ちっちゃな手やら、足やら肋骨やら。うう、気分悪い。だから、産科の開業はやめました。もちろん他の理由もありますけどね。
話が飛んでますけど、もう、この際こういう場ですから言っておきますが、中絶は9週以降はやめてください。この時期には、すでに胎児の姿はほとんど完成しています。つまり、本人には見せたりしませんけど、小さな手や足や肋骨や頭がぐちゃぐちゃになって胎盤のかけらとともに一緒に出てくるんです。勘弁してください。わたしゃ10週以降の中絶はしませんぜ。もう、絶対イヤだ!!だから、当院では、9週を超えると、値段上がります。それは、麻酔が増えるとか出血が増えるとか説明しますけど、本当は、私がイヤだからです。もう、本人に見せてあげたいくらいです。
イヤ、閑話休題です。それにつけても、そういう医者を見つけて(おそらくは他の病院で、高いの入院が必要の死産届けが必要の埋葬の義務があるのといわれて逃げてきて)この病院はやさしいしぃ、簡単にやってくれるしぃなんて、お気軽に手術を受けてしまう人の気が知れん。しかも、テレビでインタヴュー受けて「そんなひどいことしてる病院だなんて知りませんでした。」なんて、答えてたし。は?埋葬の義務が生じるのは、本当は貴女なのよ。4ヶ月を過ぎてから子供を堕ろした、あ・な・た。捨てた病院がいけないことになってるけれど、普通の病院なら、堕ろした胎児を死産届けと一緒にお返しして、「埋葬の義務がありますから、きちんと埋葬してくださいね。」と、いうまでが病院の仕事。あとは、胎児をごみと一緒に捨てたりしたら、死体遺棄の罪に問われるのは中絶した親です。インタヴューに答えてた貴女。病院がいい加減なことしてくれて助かったねぇ。
これを読んで、「私の行った病院は、病院で埋葬してくれた。」なんて思っていたら、それは勘違いです。それは、病院が親切で葬儀屋さんに頼んでくれたということ。実際に埋葬したのは、葬儀屋さんです。なんせ、きちんと生まれた子供でさえ平気で殺してしまう親がいる世の中だし。ましてや、中絶した胎児なんて、どう扱われるか分かったものじゃない。だから、良心的な病院は親切に葬儀屋さんを紹介してくれるというわけです。葬儀屋さん紹介しても、別に病院にマージンがはいって来るわけではありません。
それにつけてもです、そういうことを求める人がいるというのは、本当に困った世の中だ。ちょっとは、みんな考えてくれや。と、私は思うわけです。
少女売春なんて、最近流行ってますけど、あれ、たしか、「売春する少女も悪いが、それを求める大人がもっと悪い」と、いうマスコミの論調ですよね。小学生ならまだしも、生意気な高校生捕まえて、「お金でセックスしてくれといった大人が悪いんだよね。君には罪は無いんだ。」なんて、御託並べるやつって、日教組の教師か新聞記者くらいしかいねぇだろ!なんせ、中高生で美人局やってるやつらもいるくらいなんだから。でも、万引きとかになると、「このくらいの年になれば、善悪の判断は分かるはずだ!」なんて説教たれちゃんだね。こういう人たちって。絶対にに「子供が欲しいようなものを、店員が見えないような場所に並べておくお店にも非がある。」などということはない。なるほど、万引きは悪いと分かる子供にも、ポン引きは悪いと分からないという理屈だな。
もっとも、大人だってそれがいいのか悪いのかわかっちゃいない。だから、年間38万人もの中絶件数があるのだし、性病の罹患率も年々増えている。異性間での性交渉によるHIV感染も増えつつある。たしかに、大人がよくわかんねぇこと、子供がわかるはざぁねぁえか。日教組の言うことも通りだ。日教組にも3分の理ってやつか。
だんだん加熱してきたぞ!!それからいうと、中絶する医者も悪いが、求めた患者も悪いと言うことになりゃせんか?この話、確かに中絶した後の胎児の処置法の問題なんだが、考えてみれば、患者がきちんと金払って届けも出せば、そんなことまでして、経費の節約だとかいう必要は無かったわけだ。つまり、中絶を求めた人が、金はできるだけ出したくない、届けもしたくない、でも12週超えちゃった。とういう、医者にとっても後にも先にもいけない状況で中絶をせざるをえなかったということであろう。もし、12週以降の中絶をした人がすべて、「私は、死産届けをもらって、胎児の遺体をつれて帰ります。その上で、きちんと埋葬して届けを提出します。」という良識的な人たちばかりであれば、この病院は、少なくともこの件では訴えられることはなかったというのは、間違いないのである。
そんな、12週以降の中絶で死産届けが必要だとか埋葬が必要だなんてしらなかったぁ。なんて、呑気なこと言ってる貴女。法律は厳しい。日本国民である以上、一度法律として成立した事柄は、「知らなかった」では済まされないのですぞ。
とりあえず、伊勢佐木町レディースクリニックの院長の肩を持つわけでも、同情するわけでも無いんですが、その手の病院を一生懸命探し出して、「患者の言うこと聞いてくれるいい先生」だとか言ってる人は、この事件をきっかけに目を覚まして欲しいと思うのです。医療のサービスとは何かを、よく考えてください。
医療は、本人がどう思うかより、本人の身体がどうして欲しいか。ということが問題なのです。精神病であるとか、治療法の無い病気であれば話は別ですが・・・。
何度もいうように、たとえば、糖尿病の人に薬だけ出して血糖値を下げる医者が良い医者なのか、カロリー制限や運動療法をしっかり指導して、薬をできるだけ減らす医者が良い医者なのかということです。前者なら、薬をのむだけですから、お手軽で、しかも、短期間に検査値が正常化しますから、良くなったように見えます。でも、それでいいのでしょうか?たしかに、本人にしてみれば、食事や運動について色々いわないで、薬だけ出してくれる医者の方が楽だし、話の分かる良い医者に見えます。でも、身体は、そういうことを求めているのではありません。薬でごまかしていれば、いつかは、ボロが出てくるのです。腎臓が悪くなって透析を受けるようになったり、下肢の血流が途絶して下肢切断になってから、「ああ、食事や運動にも注意していればよかった。あの医者、調子のいいことばかり言って、結局、身体がボロボロになっちゃったじゃないか。もっと、きちんと指導してくれれば良かったのに。」などと後悔しても後の祭りです。なんせ、調子よくあなたの言うことを聞いてくれる医者を選んじゃったのは、あなた自身なのですから。
細木何某ではありませんが「ずばり言うわよ!」。癒しを医者に求めるのは、大間違いです。常識的に考えて失礼なことを言ったり行ったりする医者は論外ですが、医学的な観点から厳しく指導してくれる医者は、たとえ癒しをもたらしてくれなくても、大切な存在です。また、医療というのは、自然に成り立っている人間の身体を扱うものですから、当然、患者本人の意思とは異なる場合があります。それをきちんと伝えるのが医者の役目です。
では、癒しは何に求めるのでしょうか?カウンセラーでしょうか、心理療法士でしょうか?違います。家族です。恋人や友人です。あなたの周りにいる、普通の人たちが本当に癒しとなってくれるのです。医者も、カウンセラーも、心理療法士も、家に帰れば、その人の生活があり、あなたと苦楽をともにしているわけではないのです。極端な話、あなたがたとえ死んだとしても、次の日から彼らには彼らの生活があり、彼らの人生があるのです。しかし、あなたの家族や友人は、あなたがいなくなれば、あなたがいなくなった分、人生の一部に欠損が生じる人たちなのです。あなたがいなくなれば、本当に嘆き悲しみ、喪失感を一生持ち続ける人たちなのです。そう考えれば、あなたが大切にしなくてはいけない人、あなたが、本当に癒しを求められる人たちというのが誰だかはおのずと分かることでしょう。
医者は、ただ、あなたの身体に起こっている、病気という現実をできるだけ正しく把握し、今、可能である技術を駆使して、治療にあたるというだけなのです。また、それだけ、客観的でなければ治療はできません。医者は、自分の家族を診察はできないことが多いというのは事実です。ましてや、家族の手術などは、絶対に自分がやりません。感情が先にたって、正確な判断ができなくなるからです。こういったことから考えても、医者が家族のように親切で、癒してくれるなどというのは幻想だということが分かります。あなたを、きちんと常識的に一人の人間として尊重してくれるという医者であれば、十分なのです。
以前、米国で発表された論文に、小児科の重症患者は、白人よりも有色人種の方が救命率が高いという発表があり、話題を呼びました。理由は、有色人種の方が家族のつながりが強く、家族が入院中の子供のそばいる時間が長かったからだそうです。逆に、白人の子供の家族は、医者や看護師任せ(愛情が無いわけではなく、その方が治療のためによいと思って)にしていた結果、病気が治りにくかったのではないかということでした。
ん?何の話だったかな?そうそう、とにかく、医者に癒しなど求めるのは、大間違いである。ということでした。医者に求めるのは、正確な診断と、正しい治療なのです。本当に癒してくれる人は、あなたが大切に思っている家族であり、恋人であり、友人であるという事を忘れないでください。そういった人たちに捨てられちゃったら・・・?う〜ん、困ったなぁ。病院でかわいい看護師をゲットというのは(男女を問わず)いかがでしょう?あ、不謹慎な!いかんいかん。