まことに遺憾でございます。ハイ…。
でぇも、そんな事は行ってられない。症状が出てくれば、背に腹は換えられませんよね。それでは、いかに医者を利用すればいいのか?考えてみましょう。なんせ、吉野家だって、「並、つゆだく、ぎょく付ね!」と言って頼まないと、通とは言えないのですから、医者にかかるとなれば、もうちょっと、…ネ。
1. 不正出血ごときであわてない事。
よく、います。ちょっと不正出血しただけで大騒ぎで病院に駆け込む人。今まで、生理が順調で何も問題がなかったという方が多い。でも、殆どは中間出血や、そのときだけ偶然体調が悪くて出血したりとかですから、あわてる必要はありません。と、いいますか、あわてて来院しても何もしようがありません。まぁ、せいぜい癌検診するくらいでしょうか?とりあえずは、一月くらい基礎体温をつけて様子を見るのが手です。結局は、検査して、何もなくて、基礎体温つけて一月後。と、言われるのがオチですから。ただし、大量に出血しているときは話は別です。目安としては、いつもの生理の一番多いとき。それ以上なら、かなり多目な出血ですから、とりあえず診察が良いでしょう。それ以外は、基礎体温をつけて、自分で自分の体を管理するというつもりでいた方が良いと思います。(もちろん、30才を越えているのなら、定期的に癌検診はしておいてください。そのほうがひとつ不安のネタが消えるわけです。)
2. 妊娠ごときであわてない事。
これも、よくあります。妊娠しているかもしれないから、診てくれ!!って、夜中に電話かけてくるんです。おいおい、夜間診療所じゃなくて、救急外来なんだから、勘弁してよぉ。特に、ちょっと出血なんてしたりすると大騒ぎです。いきなり来院して、結局は遅れた生理だったりして、赤っ恥かくこともありますのでご注意を。と、言いますか、やっぱ、基礎体温つけてれば大騒ぎしなくてもすむんですけどねぇ。
それに、妊娠していたって、5週くらいまでは胎児の姿は見えませんから、何も確認しようがない。出血したって、少量なら、安静にしていれば治る事が殆どです。まず安静を。あわてて病院に行こうなんてバタバタしているうちに、調子悪くなってくる事の方が多いんです。しかも、救急外来なんて、殆どがまともな検査もできませんし(詳しい検査は入院してから行うという事)、投薬できるのも1日分のみです。結局、軽症なら、来院するだけ安静にできなくて、症状がひどくなるだけです。
昼間の外来だってそうです。長い時間待って、診察するだけの価値があるのは、出血や腹痛がひどくて入院の必要がある場合のみといっても過言ではありません。しかも、妊娠5週以前なら、何も確認できずにおしまい。薬局で妊娠判定薬買ってきて、自分で判定して、少し横になって休んでいる方が、どれほど役にたつ事か。病院に行ったって、待たされるだけ損と言うものです。
正直言って、妊娠初期の流産は、受精する段階でほとんどが決まってしまっているのです。だから、薬のんでものまなくても、流産するものは流産します。ただし、母体の不養生で出血などが起こっている場合は、薬などで症状を治めることが出来るのです。どっちにしろ、養生しなくてはいけないということ。だから、あわてて受診しても、あまり意味は無いわけです。もちろん、安静にしていて、出血がひどくなるなら受診を。ただし、入院が必要になるかもしれません。
3. 知ったかぶりは損
相手は、医者だといったって、結局は熟練職人のようなものです。すし屋に行って、得意になって、「ぎょくくれぃ!」などと言ったら、「はい。たまごですね?」なんて聞き返されてしまいますよ。ちょっと下手に出て、職人の言う事を聞いていると、うまい物が出てくる。医者だって、同じようなものです。「私の症状は***で、△△△という病気だと思いますから、□□□の検査をしてください。」なんていう人、少なくありません。もちろん、違うと思っても、「はいはい。」と言って、必要ないとは分かっていても言われた検査をします。そういう人は、説明しても聞く耳持たないからねぇ。ほかの患者さんもたくさん待っているから、説明するだけ時間がもったいない。なに、そういう人に限って、えらく痛い検査を望んだりするんですがね、知ったこっちゃないですよ。本人がしたいって言うんだから。(もちろん、やってはいけない検査はしませんヨ。健康診断として、まぁ、そういう検査もしておいていいんじゃない?という検査に限ります。)そんなのひどいって?そういうなら、医者の話を聞いてくださいな。それから、自分はこう思うといったって遅くはありません。それに、何のために医者に行くのやら。医者は、検査屋でも薬局でもありません。もっとも、医者はそういうものだというイメージを植え付けたのは、今まで、検査漬け薬漬けでインチキしてきた医者たちの功罪なんですけれども。
昔の医者は、それでも、結構気骨がありましたのでね。「風邪なので薬ください」なんていおうものなら、「風邪かどうかはこっちが決めるんだ!」と言って、怒ったと言う話も聞きます。ま、よしわるしですね。風邪だと思ったら、心筋梗塞だったとか、肝炎だったなんて事もあるんですよ。そういう人は、怒ったけれど、きちんと診断をしてくれた医者をいい医者だと思いますし、やっぱ風邪だった人は、その医者はとんでもない医者だと思うでしょうねぇ。
まぁ、優しいなんていうのは、大抵、なんか、裏があるものです。下心って言うんですか?最近は、子供の教育も、「怪しい人について行ってはいけない。」なんていわないそうです。「優しそうに近づいてくる人にはついて行ってはいけない。」と、いうんだそうで。なるほどねぇ。医者だって、優しそうな顔をしているのは営業スマイルという事が多いんです。そんな、いつもいつもニヤついているはずないじゃないですか。仕事してるか、かわいいおネェちゃんと飲んでるかでもなきゃ。
4. だからといって黙っていても解決はしない。
だからといって、黙っていても、なんだかわかんないですしね。こういう人も、結構います。「どうしましたか?」「はぁ、ちょっとぉ、お腹が痛いんですけどぉ。」「いつからですか?」「はぁ、ちょっとまえからぁ…。」「ちょっと前というのは、具体的にはいつ頃でしょう?」「いやぁ、2〜3日…う〜ん、もう少し前かなぁ。」「一週間くらい?」「そのくらいだと思います。」「いたいのはどの辺ですか?」「この辺あたり…。(と、言ってお腹全体をなでまわすように示す。)」「全体が痛いんですか?それじゃぁ、婦人科的なものでは無いかもしれませんねぇ。」「え?いや、下腹の方だと思うんですけど…。」と、こんな具合に、埒のあかないまま無為に時間が過ぎていきます。こっちも暇ならお付き合いしますけど、他の患者さんだって長い間待っているんだから、もう少し、自分の事についてしっかりと説明して欲しいものです。どうせ、待ち時間は飽きるほどあるのですから、その間に、どんな症状が、いつから、どの程度あるのか、をきちんと頭の中でまとめておいていただきたいものです。
また、他の病院で治療しているのに、それがわからない方も困りますねぇ。「内科にかかってます。」「どんな病気でしょう?」「ええ、血液検査で異常があるといわれて…。」「どんな検査でしょうか?」「いやぁ、そこまでは説明されなかったんですけど、とりあえず腎臓の薬と、血圧の薬と、安定剤と、血の流れを良くする薬と、ビタミン剤と…………を、のんでます。」「結局、腎臓が悪くて血圧が高いといわれたのですね?血が固まってつまる病気なども言われましたか?」「いえ、それはなんとも…。」じゃぁ、なんで血の流れを良くする薬なんてもらってんだぁ?もしかしたら、心筋梗塞でもあるのかぁ?????それじゃぁ、ホルモン剤は出せんなぁ。「薬の名前はわかりますか?」「いいえ。よくわかりません。確か、白い粒の薬が二つと…。」「いやぁ、ほとんどの薬は白い粒ですから、それだけではなんとも…?」一体、誰の病気を治すために薬をのんでいるというのでしょうか?自分の体を治すためなのですから、少なくとも、他の医者に行くときには、今のんでいる薬の名前くらいは控えていくようにしてください。薬局でもらった薬の説明書なら、なお良しです。また、自分の病名は、主治医にきちんと聞いておきましょう。知らないでいると、他の病院でとんでもない診断違いをされたり、のみあわせの悪い薬が出てしまうことがあります。自分の治療には、きちんと自分で責任を持つつもりでいてください。
時には、同じ科でも、あっちが混んでいるときにはこちら、こちらが混んでいるときにはあちら、という具合に使い分けをしていることがあります。さんざん、説明させた挙句、「じゃぁ、今度あちらの病院で検査してもらいますから。」って、おいおい、こっちだって商売でやってんだぞ!本当に困っている人なら、相談に乗るけど、それはないだろぅ。しかも、そういう人に限って、あっちの病院ということが違うとか言い出す。なら、あっちの病院で聞いてくれよぉ!病気には、いろんなやり方でアプローチがありますから、時には、他の病院に行ってみると説明が違う事だってあります。それを、セカンドオピニオンとして聞くならまだ分かりますけど、文句つけられちゃぁねぇ。
5. 病院を移る時には必ず診断書を
よくあるのは、前の病院でやっていた治療がちんぷんかんぷんなまま病院を移る方。「前の病院で手術しました。」「どんな手術をしましたか?」「えっとー、確かどっちかの卵巣を取ったと思うんですけど。」「はぁ?そうすると、卵巣嚢腫か何かで、片方の卵巣を取ったのですね?卵巣は、どんな病気だといわれましたか?」「えぇと、たしか、内膜症だといわれたような…でも、細胞の検査で擬陽性だといわれたような記憶もあります。」「だとすると、向こうの病院でしばらく定期検診をしたりしましたか?その結果は?」「いえ、手術後一回検査を受けただけで、その後は行ってないんですけども…。」「!?」何とか、病院を聞き出して(病院名まであやふや)連絡をつけると、個人の情報は、直接個人にしかお話ししませんとのこと。そりゃぁそうですよねぇ。悪質な保険業者などは、患者の家族だとか、別の病院の主治医だとか言って個人の情報を盗み出すこともあるらしいですから。もちろん、そんなことを自分でしっかり聞いておかない事に問題があります。そんな事言ってもぉ!と思っているあなた!!あなたの体はきちんとあなた自身が管理しないといけないのです。子供じゃないんだから、自分がどんな手術をしたかとか、薬のアレルギーとか、どんな薬をのんでいるのかとか、きちんと覚えておいてください。結局、ご自分で紹介状をとりに行っていただいた結果、手術時の検査で細胞に擬陽性が出たが、その後の検査で完全に陰性となったとの事。手術の状況などもきちんと把握できました。自分の体を手術したのに、その事をきちんと把握していないのは、自分に対してずいぶん無責任なものだなぁ。それに、紹介状も何も持たずに、ふらりと病院に飛びこむというのは、ちょっとお勧めできませんねぇ。誤診や、誤投薬の元にもなりますので、ご注意ください。
だからといって、自分が医者に聞いた話しだけで、自分の病状を説明しようとする方も困ります。たしかに、一生懸命自分の状態を把握しようとはしているんですが、検査結果や診断名などはあやふや。だからといって、検査をしてみましょうというと、それはイヤ。そういう方は、こちらが困ります。検査結果をきちんと紹介状に書いてもらうか、こちらで検査するかのどちらかにしていただかないと、とても責任もって治療なんかできませんやね。
6. ケンタッキーでビックマックを注文しない事
医療がこれだけ細分化して、しかも、あちこちに病院やら医院やらがあふれている時代なんですから、他の科でついでに薬をもらったりついでに検査をしてもらったりはやめてください。無医村の診療所に行くんじゃないんですから。よく、癌検診の結果を聞きに来院して、「ついでに**の薬下さい。」とか「ついでに**の検査できませんか?」などという方がいます。よく、「ついでに」薬もらったり検査したりするなぁと、その勇敢さにびっくりしながらも、まぁ、とりあえず「必ず専門の医者にかかってくださいね。」と注意しつつ、薬を出したりしますが、そういう方に限って、あとで「こんな薬を頼んだつもりじゃなかった。」と、大騒ぎ。まいっちゃうなぁ。投薬や検査はついでにやるものではありません!!なぜ、投薬や検査を病院でやるかといえば、それは、適切な判断を持ってやらなければいけないからです。みのもんたのお昼の番組を毎日見たからといって、どの症状にどの検査が必要で、どの薬を投与したら良いかなんて事が、きちんと判断できたら、こっちの商売あがったりですよ。なぜか、多くの女性は、車のオイル点検くらいの事でも「私は、メカに弱いから。」なんて言って自分でやりゃしないくせに、薬や検査については、あれくれこれくれあれやれこれやれと口を出したがるんです?車のオイル上がりなら、車が動かなくなるだけですが、投薬や検査のミスなら自分の心臓が動かなくなる事になるんですぜ。まぁ、命を捨てる事も恐れない勇敢さをもっているなら、結構ですけれど。
しかも、これだけ医療が細分化して、次から次へと新しい治療や検査が出てくると、専門以外の事については、一般的な事しか分からない事が多い。婦人科に来て、内科や耳鼻科の薬出せといわれてもねぇ。そりゃぁ、ケンタッキーでビックマック注文しているようなもんですよ。似ている店だけど、出てくるものはぜんぜん違いますよねぇ。でも、ケンタッキーでハンバーガーとか注文したら、きっと、チキンフィレサンドが出てくるでしょう。食べてから、これは違うとか文句いうんだろうなぁ、きっと、そういう人たちって。まぁ、ビックマック食べているつもりでチキンフィレサンド食べても死にゃぁしないから大丈夫ですけども…。でもなんと言っても、グラコロがうまい!って、そういう話しじゃないか。
7. 医者は利用するつもりで。
もちろん、意識不明で救急で運ばれたなんて場合は別です。通常、歩いて外来に通う範囲内の病気なら、医者を利用するつもりでいてください。医者は、みのもんたよりたくさんの患者さんを診ています。ですから、様々な情報をもっているのです。特に婦人科の病気なんて言ったら、普通は人に話さないじゃないですか。「カンジダ膣炎」ですなんて言うと、まるで、不治の病を宣告されたようにショックを受ける方いますけど、待合室で待っている方の4分の1くらいは、同じ病気で通っているんです。でも、誰もそんなこと知らない。
むかし、小学六年生とか言う月刊誌に、質問コーナーとか言うのがあって、必ず、「性器が黒いような気がする。」だの「自分は毛深いのでは無いでしょうか?」だのという質問が書いてあって、答えとして、性器は性的に成熟してくるとメラニン色素が多くなってくるので黒く見えるだの、体毛の生え方は個人差があるのと書いてあったのを思い出します。結局、大人になっても、性に関することってタブーとして扱われているので、皆さん悩んでおられるようです。考えてみたら、そういうのって、人と比べるのは婦人科の医者しかできないんですよね。あとは、違法でやってるポルノ写真家か…。ポルノ写真家に聞くわけにもいかないから(だいたい、違法でやってるんだから、どこに居るかわかんない)やっぱ、婦人科医に聞くでしょ。
まぁ、そんなことばかりでなくて、向井亜紀さんのような例もあることだし、いろいろと心配でしょう。医者に聞いてください。利用するべきです。医者に行って検査して、病気になったら、どんな病気で、どんな治療を考えられるのかきちんと聞いてください。で、最終的に、どういう治療をするのか、自分で決めてください。決して、医者に押し切られない事。訪問販売の羽毛布団じゃないんですから。「はぁ、はぁ」などと、中途半端な返事をしているうちに、一番高い薬を処方されたり、一番研究したい手術をやられたりしてしまいます。そっと、セカンドオピニオンも聞いてみてください。もしかすると、治る可能性は低くても、合併症の少ない方法もあるかもしれません。ある病院ではできない手術でも、他の病院ならできるかもしれません。いろんな情報を集めて、最後に、自分で決めればいいのです。例え、癌であっても、治療を受けないという選択肢だってあり得ます。要は、自分が選んだ、納得のできる治療を受ける事なのです。是非、自分の病気の治療の主体は自分であってください。そして、医者をうまく利用して、情報を集めて、納得のできる治療を受けてください。そのためには、医者任せでなく、自分で知ろうとする努力が必要です。他でもない、自分の体を治すためですから…。
ウソドクファンなら納得してもらえるかななどと思いつつホームへ