何度でもボヤ!!

小泉医療改革のひとつ「混合診療」。医師会は猛然と反対しています。「混合診療の導入は国民皆保険制度の崩壊だ!」などと言って、脅かしてますが、さてさて、本当なのか?ジジィどもの思惑が入り乱れる乱痴気騒ぎでございます。

 混合診療。何がいいのか、何が悪いのか?本当に説明されているんでしょうか?医師会の意見は医師会のホームページで分かりやすく説明しています。これが事実かどうかは別として・・・

医師会の主張
1.混合診療をすると、お金持ちだけが良い治療を受けることができるようになる。
2.混合診療をすると、安全性の低い薬で治療を受け、健康被害が出る。
3.混合診療をすると、保険の効かない分を民間療法で補うので、高い保険料がかかる。
と、言う説明らしいのですが・・・。
これは、混合診療にしたために、新しい治療や薬が保険で認められなくなる。と言う、前提のもとでの話です。しかし、混合診療を認めたにせよ、きちんと新しい治療や薬を保険診療として認めれば、何の問題も無いはずです。

 たとえば、混合診療でお金持ちだけが良い治療を受けられるのでしょうか?確かに、現在、治療をして保険で認められないものも、混合診療が認められないので、保険病名を(適当に)つけて保険請求しているという事はよくやられていることです。

 はぁ?保険の違法請求が日常茶飯事ですか?そのとおり!以前から当ホームページで主張しているように、「保険診療=正しい診療」ではありません。断じて!保険診療はあくまでも、ジジィどもが思惑たっぷりに作り出した、お金がかからず何とかなる範囲で取り合えず間に合わせた、そこそこの診療です。欧米ではすでに認められている、一日投与で効果のあるような薬も、現行の保険では一週間の治療が必要なことになってます。欧米で認められている病名では、使ってはいけない薬もあります。また、欧米ではとっくの昔に使用禁止になっている薬も、使用可能になっている場合もあります。とにかく、保険診療はずさんです。勉強している医者ほど迷惑をこうむっています。シャーないから、適当に保険病名をつけて請求をしています。

 そんなインチキだめだ!と、思っている方、なら、自費で払ってください。ただし、混合診療が認められない限り、ひとつのインチキを正したために、全てが自費になります。

 婦人科的な問題で簡単に示しますと、クラミジアと言う性病があります。欧米では、アジスロマイシンの一日投与が有効であると言うデータがあります。そこで、日本でもアジスロマイシンを使おうとすると、適応は呼吸器系の感染症に限られています。しかも、一日投与は認められていない。自費診療になります。薬だけではありません。そのとき一緒にやった検査や再診料もぜーんぶ自費です。なんせ、混合診療禁止ですから。(アジスロマイシンの1日投与は2004年5月に保険適応可能になっていました。すみません。)

 もうひとつ、例を挙げましょうか。子宮癌検診を受けに行ったとします。検診は保険適応外ですから、自費診療になります。その時に、気になることがあって性病の検査や超音波の検査をしました。内診は何度も受けたくありませんから、一度で済ましてもらおうとすると・・・自費は癌検診だけではなくなります。他に受けた検査は全て自費診療になります。規則上は。なんせ、混合診療は禁止ですから〜っ。ざんね〜ん!

 医師会が説明しているような状況でも同じ事がいえます。たとえば、自費で使える薬があるとします。混合診療が禁止されていれば、その薬を使うには、その薬と同時に行った検査や投薬は全て自費扱いになるのです。混合診療が解禁されれば、自費扱いになるのは保険適応となっていない薬のみなのです。つまり、現在の制度よりも負担は安くなると言うことです。

 混合診療になると、承認されていない薬が使われて、健康被害がでる。なんていうのも詭弁です。

 何より証拠に、妊娠中絶薬の例があります。。妊娠中絶は自費です。自費だから妊娠中絶薬を使ってよいかと言うと、それはできません。薬自体が使用を許可されていないからです。現在、中絶薬を使って問題になっているのは、勝手に外国から手に入れて、勝手に使っている人たちです。

 そもそも、薬の安全性は保険診療とは関係ありません。薬を使ってよいかどうかは、保険診療で使ってよいかどうかとは別の問題なのです。もちろん、安全性の確認をされていない薬は保険診療で認められることはありませんが(もっとも非加熱製剤もフィブリノーゲンもサリドマイドもキノホルムもソリブジンもぜーんぶ保険診療で認められていた薬ですが・・・)、安全性の確認されていない薬は自費診療であろうとなんであろうと使えないのです。

 ここまで読んで、十分に理解された方。じゃ、何で、医師会は混合診療の禁止だとか言ってんの?と思うでしょう。

 できない医者にとっては、大変なことなんです。なんせ、今までは、何も考えず、保険診療で認められたとおりのことをして、のんべんだらりと診療してたら、きちんと診察料が入ってきてたんですから。混合診療になったら、それ以上の治療を求められる。自分も勉強しておかなきゃならない。いやいや、そんな難しいことじゃなくても、原価に対して、いくら値段をつけたらよいかとか、そんな、商売の基本すら知らない医者多いですから。どうすればいいのか分からない。ちょっと工夫すれば、以前より、ずっと、良い医療を行える可能性があるのに、とにかく今までぬるま湯に使ってきたから、他の湯船に行くのが億劫でしょうがない。しかも、医師会の親分が反対と言ってるし。そのうえ、マスコミが騒ぎ立てるものですから、混合診療解禁になると、しばらく患者さんが減るかもしれない。まったく、ジジィ医者はどこまで怠慢なのか?正直、病医院以外の医療関係業界は、この機会を虎視眈々とねらってます。当たり前でしょ。自費診療を規則を気にせずできると言うのはビジネスチャンスなんですから。

 もちろん、医者にとってもいいことなのです。保険制度に縛られているから、赤ひげになれない。本当です。必ず保険診療をしたら、自己負担分は払ってもらわなきゃいけないことになってるんです。ですから、保険を目一杯使ったつもりでも、3割負担してもらわなきゃならない。ところがです、混合診療可能になって御覧なさい。高い治療は自費診療にして、分割払いやツケにしてあげてもいいんです。昔よくあった、現物支払いでもオッケー。(農家の方なら作物で納めたり。昔はよくあったことです。)自費診療=慈悲診療にだってできるのです。医者の心がけ次第では・・・。そのために、医者ってぇのは高給取りなんではないですか?お金持ちにはきちんと払ってもらう。おかげで医者は生活に余裕があるから、本当に困ってる人にはお金をもらわない。と言うことができるのです。保険診療ばかりでなければ。(私も、混合診療可能になるんだから、薬の納入価安くせい!と、薬の卸問屋に脅しをかけようかと、ひそかにねらってます。)

 私のクリニックでも実際、やってます。外国人の方。保険はない。今となっては有名になった伊勢佐木クリニックにかかってらした。今じゃあまり使わない副作用の多い古い薬を9年間ものましていた。ひどいねぇ。でも安かったってーんで、新しくて副作用の少ない薬、以前と同じ値段で処方してますよ。この方に限っては、病院の儲けはほとんどありませんけど、シャーないじゃないですか。派遣で来てもらっている事務員さんが、安すぎてビックリしてました。いーんですよ。ま、その方は始めっから自費診療ですから、誰はばかることなくそういう診療ができるわけですが。(匿名だから、ちょっと自慢させてネ!)

 結構、患者さんが多くなっている不妊治療。自費の部分が多い。不妊専門病院だと、ほとんど自費です。でも、混合診療が認められれば、保険範囲の診療は保険が使える。少しでも負担が減るのはいいことじゃないですか。

 だいたい、医師会が言うみたいに、混合診療が解禁になると、救急医療の場で医者が保険会社に電話をかけて、確認を取ってから治療を始めるなんて事が起こると思いますか?私は思いません。なんせ、ここはアメリカで無く日本なんですぜ。おそらく、日本の医者のほとんどは、お金が!と言うより、治療を!と思うに違いない。・・・はずです。そのあたりは、超クールなアメリカ人とはチョと違う。その代わり、お金が払えなかったけど命を助けてもらった患者さんは、病院でボランティアしたり、きっと、心を心でかえしてくださると思うんですよ。う〜ん、ちょっと奇麗事かもしれませんがねぇ。さもしい世の中だしぃ。

 おそらく、混合診療で一番問題になるのは、「金はいくらでも出すから、最高の治療と最高の薬をつかって、絶対治せ!」とか駄々をこねるバカものが増えること。これだと思います。しばらくは、こういう混乱、続くんだろうな。とくに、救急センターなんかで。お気の毒ですねぇ。救急医の方々。

 そうそう、大体、救急センターに勤務している医師は、給料取りですからね。患者さんからお金取れようが取れまいが知ったこっちゃ無いんですよ。きちんと治療できれば、それが彼らの幸せ。こまるのは、院長とか理事長だとか事務長だとかそういう人たち。だから、混合診療になろうがなるまいが、きちんとした医者のいる病院に行けば、きちんとした治療を受けられます。

 ま、どうでもいい治療について、バリエーションが増えると言うくらいに考えておけばいいのではないでしょうか?どうでもいい治療って?あ、そこの貴女、いまのんでる、風邪薬。それ、どうでもいい治療です。前から言ってるように。あ、その高コレステロール治療剤も、一部の方を除いて、どうでもいい治療です。その、降圧剤も、ホルモン補充療法剤もみぃんな、どうでもいい治療です。でも、そういう治療に限って、保険診療適応範囲内なんだよな。アホラシ。ようするに、薬屋がいくら政治家に献金出したかって事が問題なんですよ。必要性なんかより。

やっぱ、医師会なんて信じちゃいけないのね。と、妙に納得しながらHOME

2004年12月