イヤイヤ、先日ニュースを見ていたら、なんでも、法の華って言う宗教団体が足の裏を診断して、詐欺を働いていたそうで。その、診断の騙しの手口を聞いていたら、院長が言ってる事とそっくりなんですよ。笑ってしまいました。なるほど、宗教法人だと詐欺になって、医療法人だと診療になるわけですな。世の中、なんか変。

 ニュースをご覧になった方も多いと思いますが、法の華の足の裏診断法には、誰にでも出来る簡単なマニュアルがあるそうです。まず、脚の裏を見たら、第一声は「汚い足の裏ですね〜!」と言うこと。で、「こんな足の裏では、あなたは癌になる。」とか、「結婚できなくなるよ。」とか、「きちんとしないと会社がつぶれる。」なんて事を言うらしいです。そうすると、痛い所を付かれた人は、すぐにひっかかちゃうそうで。そして、お布施をとったり、何だか分からない仏像やらを高く売りつける。まったく言語道断!人の弱みに付け込んだ、悪行であります。

 で、ひるがえって、うちの院長。前にも、別の所に書きましたが、必要も無い治療を勧めてどんどん病院に通わせる。その手口は、まず、検査所見を見て第一声。「こんなに沢山ばい菌が出ている!すぐに治療をしないとどんどん症状がひどくなるよ。」なんて事を言って、以後、十日間病院に通わせて治療をする。それって、治療の必要のない善玉菌のラクトバシルスの治療ですから、抗生剤で治療すると、ほとんどの場合、ラクトバシルスが死んで、菌交代現象を起こして、今度は、本当に治療が必要な菌が出てきます。それで、また、十日間の治療。そうやって、菌が無くなるまで、何ヶ月も治療が続くわけです。簡単な治療ですから、一回の値段はそんなに高くありませんが、十日間で約二万円。1ヶ月も治療すれば、六万円くらいは、簡単に取れるわけです。これって、法の華とどこが違うって言うんだよ。額は少ないけれど、社会保険を使って金を引き出しているだけに、ますます悪党と言えます。

 もちろん、膣部糜爛(びらん)もそう。「こんなに糜爛がある。すぐに治療しないと症状がひどくなる。糜爛がひどいと癌になりやすいから、治療しないといけない。」と言って脅しますし、他の病気についても同じような手口で手術を勧めたりします。何考えてんだか。子宮筋腫の手術をする時も、「子宮を取れば子宮癌にならないから、手術した方がいいですよ。」などと、平気で勧めてしまうのです。そりゃァ、子宮癌にはならないかもしれないけれど、他にも癌になり得る組織は沢山あるのですから、わざわざ手術をするほどの意義は無いのです。でも、癌といわれると、患者さんはすぐに騙されてしまうのですね。癌は手術を納得させる最終兵器です。客観的な証拠も無いのに、癌なんて話しが出てきたら要注意です。

 (ちなみに、膣部糜爛はひどいからと言って癌になりやすいという証拠はありません。ただ、糜爛の部分は、ホルモンの影響による変化が激しいので、癌になりやすい部分なのです。これは、性成熟期にある女性なら誰でも可能性があるという事です。そういうわけで、1年に一回癌検診をしましょう。と言うわけです。)

 さて、癌といわれると誰でも騙されると言う事で、良い例があります。私の知人で、大変お世話になった方ですが、先日、K大学病院で亡くなりました。その男性は、なんの魔がさしたのか人間ドックに行って、検査を受けた所、胃に潰瘍があるといわれ、精査を勧められました。内視鏡検査で、「かなり大きい潰瘍があって、癌になる可能性があるから(!?)胃を全部取る手術をした方が良い。」と言われたそうです。すぐに、K大学病院に入院して、1週間ほどで手術。しかし、手術後3週間意識が戻らず、結局そのまま帰らぬ人となったのです。家族が聞いてきた話では、切除した胃に癌細胞は無かったそうです!!!!なんと!癌ではないのにむだな手術を受け(しかも、普通死ぬような手術ではないはずなのに)死んでしまったのです。信じられん!そんなことが、大病院で行なわれているのですよ!

 その男性も、もし、癌になるかもしれないなどという、具にもつかない馬鹿医者のたわけ話しを聞かなければ、手術することには同意しなかったはずです。癌である証拠もないのに、医者が手術をしたいという欲求のためだけに、癌と言う言葉を出して、巧妙に手術を勧めると言う手口は、まさに新興宗教が、1000万円の仏像を買わせる手口と同じであるといえるでしょう。

 かように、医者の説明なんて言うのは、新興宗教の勧誘と大して変わらない場合があります。よく、「あの先生は、時間をかけて良く説明してくれるから、良い先生だ。」などと言っている方がおられますが、それは間違え。うちの院長だって、アンケートに「院長先生は良く説明してくれて安心できる。」なんて事を書いてくる患者さんが沢山いるのだから。で、説明している事はというと、上記の様に、手術や治療に誘導するための説法をしているわけです。それを聞いて、「この先生は、良く説明してくれるから、安心だわァ。」なんて言っている患者さんに、本当の事を説明してしまうと、大変な事になります。「院長先生はそんなこと言ってませんでした!」なんて言って、けんもほろろで帰ってしまいます。後で、「院長先生と他の先生の説明が違うのはおかしい。」などとアンケートに書かれてしまいますし。まぁ、そんなに手術してもらいたいなら、手術してもらえばァ。って気にもなってきますわね。そういう患者さんを、普通の医療の道に戻すのは、新興宗教にはまってしまった人を、一般社会に戻すのと同じくらい難しい事です。とても私では役不足で…。

  しかし、そうなってくると、どうやって医者を見分ければ良いのかわかんなくなってきちゃいますよね。やっぱり、かかりつけを作っておく事が大切でないのでしょうか。何かにつけて、相談に行っていれば、その医者の人となりもわかりますし、何回も合っているうちに本音の部分が分かってくるものです。最初は、とっつきにくかった医者でも、何回か話しているうちに、意外な優しさが見えて来る事もあります。それに、顔見知りになってしまえば、悪い事は出来ないでしょう。他の科の事について質問してみても良いと思います。案外、今かかっている病院が、医者仲間では悪い噂が流れていたりとか、情報が得られるかもしれません。とにかく、医者と仲良しになってください。仲良しになるからには、何回か行ってみて馬が合わないようなら、やめたほうが無難でしょう。今は、医者あまりの時代ですから、一駅先に行けばまた、同じような病院が見つかるでしょう。そこで、自分に合った良い医者を見つければ良いのです。

 できれば、友達の多そうな医者が良いでしょう。良い医者で、友達が多ければ、きっと、他の科の事でも、友達に聞いてくれたり、紹介してくれたりします。類は友を呼ぶと言いますので、良い医者の友達は良い医者である可能性が高いと思われます。ただし、やたらに、教授だの院長だのを知り合いだと言って、紹介するようなのは怪しいかもしれません。なぜなら、見栄っ張りな医者は、教授だの院長だのを知っていると言いふらしたがるからです。(もちろん、教授だの院長だのと、同じ位の年の人なら納得できます。)

 とりあえずは、良い医者を探すためには、努力が必要でしょう。結局は、あなたに合った医者は、あなたにしか探せないのです。最終的に、その医者が良い医者かどうかはあなたが判断しなくてはいけませんし、その選択に、あなたが、自分で責任を負う事になるのです。そのくらいのつもりで、医者を選ばなくては良い医者にかかることは出来ないと思います。でも、最終的に、そういった努力はあなたの健康や、あなたの人生のためなのですから、自分のアンテナを充分に張り巡らせて、しっかりと選んでください。

 医療なんて、ある意味では宗教みたいなものです。どうせ宗教を選ぶなら、功利主義的で教祖の私腹を肥すことを目的とした、インチキ宗教でなくて、自分の人生を意味付けてくれるような、きちんとした宗教を選びましょう。ということなんです。ほとんどの場合、インチキ宗教は入り口が広くて敷居が低いけれども、自分のためになる宗教は、入り口が狭くて敷居が高いものです。でも、そこを乗り越える努力さえ怠らなければ、あなたの未来は明るいでしょう。インチキ医療は、インチキ宗教に似て、死をもってその偽りが証明される事も多いのですから。充分に気をつけてください。

 再三再四書きますけれど、やはり、信言不美、美言不信なのです。インチキ医者に、ご注意あれ。

 

最近、書いている事がマンネリになって来たなぁ。と、思いつつホームへ。