健治。ちょっとそこに座りなさい。 今日はちょっと父さん小言を言わせてもらうよ。 さっき、母さんから聞いたんだけどな。 オマエまた魔法の試験に落ちたんだって? 母さん悲しがってたぞ。 「となりの知恵ちゃんは、もう「リレミト」まで覚えたのに。」 って。 オマエまだ、「メラ」も使えないんだろ?
え?「リレミト」なんて、めったに使わない? そういう問題じゃないだろ。 母さんは、りっぱな賢者だから「アバカム」とか「ラナルータ」とかいう 使用頻度が泣きそうに低い魔法まで使えるんだぞ。
父さんも若い頃、ずいぶんと悩んだよ。 当時父さんの親友の魔法使いはな、 ほら、オマエも知ってるだろ?よくうちにくる、そう、貞おじさんだよ。 アイツ昔から魔法が得意でな。 中学校に上がる頃にはもう「ベギラゴン」ができたんだよ。 父さん悔しくってな。 それからがんばって、魔法をいろいろと勉強したモンだ。 だからオマエも、もうちょっとがんばれ。 せめて「メラ」か「ホイミ」くらいは使えないと将来苦労するぞ。
え?無理だって?そんなこと最初から言ってどうする? 人間、やってやれないことなんてないんだぞ。 え?ふむ?なるほど。そうか。オマエは戦士だったか。 そうか。そうか。父さんが決めたんだったな。最初の職業は。
でもな。父さんだって若い頃はバリバリの戦士だったんだぞ。 でも、今じゃほら立派に魔法も使えるだろ。
ん?あ。ああ。そうか。 父さんは転職したんだったな。忘れてたよ。 そうか。道理で父さんも転職するまでは なかなか魔法が使えなかった覚えがあるよ。
てゆうかMPが増えないんだったな。戦士は。 はははははははは。そういう母さんは、どうして魔法が使えるんだ? そうか。母さんは今じゃ立派な賢者だけど、 若い頃は、遊び人だったからな。 くちぶえとかうまかったなぁ。母さんは。わはははは。
ま。母さんには父さんからうまくいっとくから、 健治は剣術に励みなさい。わはは。 |