RX21再生記
その1 パソコン蘇生術
それはよく晴れた日に私は粗大ゴミ置き場で2台の捨てパソコンを見つけました。一台は98の名機と言われた(かどうだかはしらない)VM、そしてこのRX21です。コレはもったいない!DOSゲームならまだいけるかも?と言う安易な発想でこれらを持ち帰ることにしました。それらはちょうど戸棚の下に捨てられており一応雨の直撃をまぬがれていたようです。が、前日までの雨により地面の土はドロドロで、パソコン内部にも泥水が入り込んでおり、持ち上げると水滴がぽたぽた垂れてきます。さすがにこりゃダメだろうと思いつつも、もって帰ることに。その時、辺りを見回すとディスプレイとカートリッジ式のハードディスクを発見しましたが、ディスプレイはブラウン管が割れていたのであきらめることに。さらに辺りを見回してみてもRXのキーボード、2台とも電源ケーブルが見つかりませんでした。
さて、うちに帰って蘇生の始まりです。まずは2台ともバラしてみます。VMのほうは中に水が入り込んでサビサビでした。RX21のほうは背面パネルがさびているものの、基盤の上には錆は少なかったです。2台のマザーボードを取り出し、ほこりや砂を取って消毒用アルコールで拭いてみると、見た目はきれいになりました。フロッピーや、電源もバラして掃除します。さらに内蔵されていたCバスメモリーボード、FM音源ボード、内蔵ハードディスクも同じように掃除しました。
完全に乾いてからもう一度組み直し、電源ケーブルとモニターをつないでみます。VMは立ち上がりません。メモリーのカウントも始めませんでした。ここでVMは粗大ゴミ置き場に逆戻りが決定です。続いてRX21です。電源を入れるとメモリーカウントを始めました!さらになんとMS-DOSが内蔵ハードディスクから立ち上がるではありませんか!そこには一太郎4とLotus1-2-3が入っていました。懐かしいDOS・・・ しばし感激です。キーボードはあの大きな98キーボードです。(vfキーのないやつ。)でもスイッチがおかしいのか「Y」をうってもなかなか入りません。ちょっとお茶目な故障です。
しかしここでまた問題が・・・
フロッピー5インチじゃん。ないよ、そんなもの・・・。
その2 Windows3.1導入記
そのご友人から借りた5インチのゲームで動いていたRX21。使っていてCPUのパワーがないと思っていた時、在庫処分のCPUアクセラレーター(IOデータ
PK-X486S50-L IBM 486SLC2+コプロ)を発見。286(12MHz)から一気に486(48MHz)になる!こりゃ速攻買いに走りました。早速装着するとパワーアップが体感できます。でも夏場約30分でハング。コレはと思ってふたを開けると、やっぱり。CPUがさわれないほどあつくなっています。この製品はヒートシンクがないためでしょう。(そんなもの注意書きもないまま発売して良かったんだろうか?)まず486DXに付いていたヒートシンクを両面テープで張りつけました。30分、1時間たってもハングはしませんでしたが、やっぱりかなり熱くなっていたので家にあったPentium用の安物クーラーを両面テープで張りつけると全く熱を持たなくなりました。安物とはいえさすがです。さらに付属品の中にWindows3.1インストールディスクが入っています。ほぉ、こりゃ試すしかないでしょ!
でもフロッピーは5インチ。メモリーは2MB。ハードディスクは40MB。コレじゃWindows3.1はうごきません。しょうがないので3.5インチフロッピードライブを探しに行くと、2HD専用のドライブを発見。その後Cバス用の8MBメモリー(IOデータ
PIO-PC34FX 8MB)を入手。早速取り付け、DOS5.0でフォーマットし直し、Win3.1をインストールしてみます。途中設定等で困りましたが何とかインストール完了。
再起動してみるとちゃんと動くではないですか!でもおそい・・・。特にCバスのメモリーとSASI内蔵ハードディスクが足を引っ張っているようです。一太郎6を入れて使ってみると起動に1分近くかかります。こりゃあかんわ・・・
その後ウィンドウアクセラレーターボード(メルコ
WGN-V4)を装着し、ベンチマークをとってみるとBX(486の20MHz)ほどの実力ということがわかりました。まあコレで使って行きますか・・・
その3 Windows95導入失敗!
たまたま見つけた1GBのハードディスクと486GF用のメモリー。コレで486GFは一気にWindows95用のマシンへと変身しました。そこで余ったSCSIの125MBハードディスクと、ジャンク屋で買ったGD5428の乗ったウィンドウアクセラレーター(ボード上にはNECの刻印がある)。こりゃRX21もWindows95化するしかないっしょ!
さて、でもCD-ROMがないのでいったんほかのパソコンでほかのSCSIハードディスクにWindows95のCD-ROMを丸ごとハードディスクにコピーします。そしてRXに接続し、インストール開始です。
いきなりエラー。なになに・・・「このバージョンのWindowsは386以上でないと使用できません。」
えっ!486に変えているのに、なぜ?考えること30秒。あっ、Win3.1用のインストールディスクを使えばいいじゃーん。
インストールディスクを使ってインストール開始。今度は386以上と言うエラーが出ません。ゆっくりですが着実に進んでいます。こりゃいける!そう思った矢先システムチェックが始まり「このバージョンのWindowsは256バイトセクタのハードディスクをサポートしていません。」はぁ?つまりはSASIハードディスクはダメということのようです。(フォーマットし直しても512バイトセクタにはなりませんでした。)
しょうがないのでSCSIオンリーにしてインストールディスクを使いまたまたチャレンジ。すると今度は386以上、256バイトセクタのと言うエラーも出ずにインストールが進みました。かなり時間がかかります。GD5428のボードはなぜかメルコのWAB-1000として認識されました。今度こそいける!そしてインストール完了。やっと出来ました。そして再起動。
しかし、再起動後画面には「このバージョンのWindowsは386以上でないと使用できません。」
そしてハングアップ!あ・・・、ああ・・・、今までの苦労が・・・午後6時から始めたこの作業。すでに午前3時を回っていました。明日がつらい・・・。
その4 ついにWindows95へ!
しかしここでやめたら今までの苦労が水の泡。Oh!PCの半公式ホームページMOON
GATEで情報を募りました。そうすると286ベース機でのWindows95のインストール&起動法をおしえていただけました。感謝、感謝です。その方法をまとめてみました。
用意するもの
キャッシュコントロール用 486SQ.COM(PK-X486S50の付属ディスクの中にある)
HIMEM.SYSの代わりになる PKXMS.SYS(PK-X486S50の付属ディスクの中にある)
高速再起動用ソフト HSB.EXE(森河
正男 さん作のオンラインソフト ベクター
http://www.vector.co.jp/
でダウンロードしました)
インストール法
まずハードディスクをDOSでフォーマットします。ここで領域を2つ作ります。一つはWindows95をインストールするドライブ、もう一つはDOSを立ち上げHSBにより486化する用のドライブです。98用のWindows95は標準でAドライブ(以下A:)にインストールするように作られているためA:にWindows95、Bドライブ(以下B:)にDOSをインストールすることにしました。私は125MBのハードディスクをA:115MB、B:10MBとしました。両方をDOSでフォーマットしBOOT可能にしておきます。
PKシリーズサポートソフトウェアを起動し、B:に486SQ.COM、PKXMS.SYSを組み込みます。インストールが終了したらディスクを取り出しB:で起動します。その後HSBもB:にコピーします。
その後A:のCONFIG.SYS AUTOEXEC.BATを作ります。
CONFIG.SYS
DEVICE=b:\HSB\HSB.EXE VC Y-
←必ず先頭に
DEVICE=b:\MDEV\IOSPRO\PK486SQ.COM
device=b:\MDEV\IOSPRO\PKXMS.SYS
SHELL=A:\COMMAND.COM A:\ /P /e:384
DOS=HIGH,umb
AUTOEXEC.BAT
@ECHO OFF
デフォルトの状態です。HSBはHSBというディレクトリに入れてあります。
B:ではすでにPK486SQ.COMとPKXMS.SYSが組み込まれており486化されているはずです。コレが大切です。私はCD-ROMがなかったのでハードディスクにWIN95のCD-ROMをコピーしてインストールしましたが、CD-ROMを持っている人はA:にドライバーを入れておくとCD-ROMからインストールできます。
再起動してA:から起動します。PK486SQ.COM、PKXMS.SYSとHSBが組み込まれていくことを確認してください。組み込まれていればOKです。WIN95のCD-ROM(のコピー)のあるドライブに移動し、WIN95(CABSと言う場合もあるようです)内のSETUP.EXEを実行します。インストールは指示に従いましょう。プラグアンドプレイは使えません。手動で設定しましょう。又起動ディスクを作っても386以上のエラーが出てハングアップします。
インストールが終了しコンピューターが再起動しますが、A:で再起動すると386以上のエラーが出てハングアップしますので必ずB:でDOSを起動します。A:のCONFIG.SYS内のHIMEM.SYSをPKXMS.SYSに変えます。
CONFIG.SYS
DEVICE=b:\MDEV\IOSPRO\PK486SQ.COM
device=b:\MDEV\IOSPRO\pkxms.sys
devicehigh=A:\WINDOWS\EMM386.EXE RAM
devicehigh=A:\WINDOWS\kkcfunc.sys
LASTDRIVE = L
FILES=30
BUFFERS=1
SHELL=\COMMAND.COM /P /e:384
DOS=HIGH,umb
ここまで出来たら再起動しB:で立ち上げ、HSBによりリセット、A:で立ち上げるとWINDOWS95が起動します。DOSを使わないのであればB:のAUTOEXEC.BATにHSB.EXEを登録しておくと便利です。本当に長い道のりでした。さて、使用感覚はというと・・・非常に爆遅!!ハードディスクの残りもないし何に使うんだ?
わかっている傷害
なぜかICMのSCSIボードIF-2769がうまく認識されません。手動で設定してもプロパティーに「!」が付いてしまいます。バスマスター方式がいけないのかと思い、FIFOやDMAを試しても結果は同じでした。CONFIG.SYSのpkxms.sysがMS-DOS用なのですべてMS-DOS互換モードで動作しているためだと思われます。
もう一つはWIN95標準のケーブル接続がうまくいきません。ゲストとして設定して通信を始めてもホストが認識してくれないのです。ポートの速度を1200bpsやそれ以下にしても結果は同じでした。
購入金額
製品の種類 | 製品名 | メーカー | 購入金額(円) |
CPU | PK-X486S50-L | IOデータ | 4980 |
ウィンドウアクセラレーター | WAB-1000? | メルコ? | 500 |
メモリー(Cバス用) | PIO-PC34FX-8ME | IOデータ | 9800 |
3.5インチフロッピードライブ | 不明 | 不明 | 1980 |
SCSIインターフェースボード | IF-2769 | ICM | 980 |
各種ケーブル(合計) | ノンブランド | 約2500 | |
合計 約2万円 |
その5 オシレーター交換によるクロックアップ
ここまでいろいろやってきたRX。ここまではものさえあれば簡単にできることでした。これ以上周辺機器によるパワーアップは望めないと踏んだのでオシレーター(水晶発振器)の交換によりさらなるクロックアップを目指しました。しかしオシレーターの交換にははんだごてをマザーボードにあてるという危険な行為をしなくてはなりません。私はお遊び程度に半田を扱ったことはありますが、電気回路に精通しているわけではありません。そこでまた情報を集めました。そうすると「98パワーアップ改造名人」という本に詳しく載ってるよという情報を教えていただき、その本を参考に今回オシレーター交換を行いました。RXのCPUクロックは4分周されていてしかもシステムクロックと独立しているために一つだけオシレーターを交換すればよいとのことでした。
交換作業はこの本に書いてあるとおりなので省略します。素人で初めての私はかなり手こずりました。ついていたオシレーターは取り外すときに足を折ってしまって使いものにならなくなりました。
さて、ICソケット上に新しいオシレーターをつけ仮ぐみをしてスイッチオン!
「ピポ」
やった!メモリーカウントも始め成功だと思っていると
・・・?ベーシックが立ち上がってハング。しかも文字は緑。
オシレーターを60MHzのものにしていたのでそのせいかと思い50MHzにしても結果は同じ・・・
やってしまったー!!
お亡くなりです。
でもそこでふと見るとフロントのディップスイッチが前見たときと違っていることと気づきました。でも拾いもののRX。スイッチの設定がわかりません。これが最後の望みとスイッチの設定の情報を募ったところまたも教えていただくことができました。それによると基板をばらしたときにメモリースイッチの内容が破壊されるそうなのでそれを初期化しないといけないと言うことでした。そのとおりにスイッチを設定してみると・・・
動いたー!!
そこでまた60MHzのオシレーターに交換してDOSを立ち上げると異常なし。それではとWin95を立ち上げると起動中にハング!ハードディスクの中身は吹っ飛んでしまいました。再びWin95をインストールして(2時間半くらいかかるんですよね・・・)各コマンドを確認するモードで立ち上げて見ますがやっぱり途中でハングしてしまいます。EMM386特権エラー?とか言うのがでて。しょうがないのでオシレーターを56MHzのものにしてみますと問題なくWin95が立ち上がってきました。ベースクロックが12.288MHzから14MHzになって大喜び!
さあベンチマークだ!
★ ★ ★ HDBENCH Ver 2.510 ★ ★ ★
使用機種 PC-9801 RX21
Processor 486 [・X・family 0 model 0 step 0]
解像度 1024x768 256色(8Bit)
Display WAB-1000 (Cirrus Logic)
Memory 9,212Kbyte
OS Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date 1998/ 2/11 23: 8
SCSI[?]=NEC PC-9801-55/L/U/FA-02、PC-9801-92/PC-9821A-E10 (DMA
Transfer Mode)
RX ベース12.288MHz
ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD Read Write Drive
310 139 1204 543 196 133 7 0 127 134 A:10MB
RX改 ベース14MHz
ALL 浮 整 矩 円 Text Scroll DD Read Write Drive
365 165 1425 675 254 72 5 259 168 162 A:10MB
うーん・・・
DDの値びっくりしますね。(嘘ですけど)
使用感覚はまったく変わらず。しかもこんなマシンなのにWin95用のベンチマークしかとってないのでした。