1,AKG AMP第5段(コンボ形6L6P-Pアンプ) ★SOUL BREAKER

 

(04.07.25)コンセプト、シャーシ加工など

産声!(04.07.22)

ついに完成!?(04.08.15)

完成!(04.10.3)

 

04.07.25 コンセプト、シャーシ加工など

 

コンセプト

 

前回AKG#4を作成していて、散々ハムに泣かされました。これは、レイアウトによるものと、GNDのとり方が

悪かったのが大きな原因だと思っています。

3号機で電源、プリ段、ドライバー段、パワー段を別々に作成した時は、ノイズなんて全く出なかったわけですので、

3号機の経験から、同じシャーシの中での独立したステージと独立したGNDを目標にレイアウトをします。

 

 今回、これまで得てきたノウハウが多く、あまり公開したくない点もありますので、控えめに紹介します(笑)

また、前回峰岸様スタジオで聞いたあのダンブルのオーバードライブスペシャルが素晴らしすぎ、目指すアンプ

の音のターゲットは定まっています。

 

 Dumble Over Drive Specialは基本的に1chのアンプで、プリ段とドライバー段(フェーズインバーター)の間に

真空管ドライブ回路を持っており、スイッチで、ドライブを入れるか、入れないかを選択できるようになっています。

今回の5号機の構成もそれと同じ構成をとります。

 ブロック図は下記の様な感じです。

 

 

前回の4号機で失敗してから、寝ても醒めても回路を考え続けていました。実際に上記のような回路をSoul Breaker

の筐体に収めようとすると、回路規模が大きく、収まらないことがわかりましたので、何とか小型化するため、基板を作成する

ことにしました。

 

<今回の冒険>

 本来、真空管アンプは基板を使用するのは良くないと言われていますが、今回はあえて使用します。

良くないと言うのは、基板が容量成分を持ってしまうからといわれていますが、ガラス系の基板を使用せず、紙フェノール

系の基板をチョイスしました。

 しかし、インピーダンスの高いラインをGNDで覆うことによって、ノイズの飛び込みを抑えられる等、利点も大きいと

判断しました。 この辺は実際に音だしをして見て考察することにしたいと思います。

 

 

 

ただし、基板を作成するといってもAKG DRIVEのように小さい基板を作成するのと違い、今回のはA4程度の大きい

基板ですので、自作するための露光機もかなり本格的で高価なものになってしまいますので、今回は自作してしまい

ました。本当は、凝ってタイマーをつけようかとも思いましたが、タバコをすっている間ですので、目を離さなければ良いので

タイマーはつけません。

露光時間を決めるために、結構な基板を無駄にしてしまいましたが、ベストな時間を見つけることができました。

 

また、プリ管(おそらく12AX7の予定)でオーバードライブ回路を組むのは初めてですので、どうなることやら、、、

 

<ちょっと脱線?>

 

 アンプに対する概念的な問題だと思うのですが、A級アンプ(ClassA)=高級アンプのような感じがあるようです。

はっきりさせておきたいのですが、少なくともギターアンプでA級アンプといわれているアンプでA級アンプは殆どありません。

大体にしてA級アンプでギターアンプを組むとパワーはAB級に対して半分以下位の出力しか得られません。

 例外はシングルのアンプです。(パワー管が1本しか入っていないアンプ)この場合はどうやっても、まともに音の出るアンプ

を作ろうと思ったらA級アンプ以外には作れないのです。)

 

 今まで私が見てきた中で、「A級アンプ」とうたっているアンプは大抵パワー管のバイアスが固定バイアスと言って、

バイアス調整する必要の無い物が「A級アンプ」と言うことで売られているようです。このバイアスの方法とA級、AB級は

全く関係ありません。

 これまでの経験上、ギターアンプに最も合っているのはAB級だと思っています。ですので、今回のもAB級です。

(挑戦として、音の良いシングルアンプも作って見たいと思っていますが、、)

 

シャーシ加工

 

次にシャーシを作成します。これは、配線の次に大変な作業です。

使用するシャーシは前回の物と同じですが、ハムの対策を万全にしてあります。

また、使用するトランス類も、既製品のアンプよりは余裕のある大きなものを使用しますので、持ち上げた時にシャーシが歪む

のを防ぐため補強を入れて頑丈にしています。

 

 

 

パネルは黒に塗装します。

今回は、プライマーの上に黒を吹きかけてはコンパウンドで磨いて、、、の繰り返しですので、結構ピカピカな仕上げ

になりました。

 

 

 

 この辺になり、アンプの形が見えてくると、俄然やる気が出てきて、猛烈に仕事が進むのですが、あせらず、じっくり取り組み

たいと思います。

 

産声!(04.07.22

 

 気合を入れて、配線を終わらせました。

いやあ、、こんなに、大変だった配線は初めてです。ボリュームを増やしすぎて、配線が非常に大変でした。

配線終了後、またまた通電式です。(この瞬間は何度経験しても嫌なものです)

 電圧は正常?、、あれ?

プレート電圧が上がらない、、ヒューズは飛ばない、、、おかしいなあ、、

プレートが下がっているけれど、後はそれなりにみんな電圧はかかっている。

音は、、、おおお!ちゃんと出ている。一発動作!

 しかし気になるこのプレート電圧、、、どこを調べてもおかしくないのだが、、、、とそのとき、ヒューズが飛びました、、

あららら、ずいぶんかかってからヒューズが飛ぶのね。

 あれこれ回路図を睨んで、半田を入れて、、格闘すること5時間、、手持ちのヒューズもなくなってきた。

 

 

飛んだヒューズの数です(大泣)

しかし、パワー管の書く電圧を調べてゆくと、思いもかけず、グリッドに-40Vかけているはずが、-5V位しかかかっていない事

を発見。これは変です。

 また、パワー管のプレートがだんだん真っ赤になってゆきます。プリ管を抜いても症状は変わりませんのでどうやら、パワー管

で電流を食っているようです。

でも、パワー管なんてプレート電流はバイアスで、コントロールしているんだけれど、、、、

 よくよく見ると、今回新たに考えたマスターボリュームが、DC電圧を思い切り引き下げていました。(オー!ノー!!)

しょうがないので、マスターボリュームは暫定的にパス(OFF)します。

 そして、再度各電圧の検証。

今度はちゃんと所定電圧がかかっています。

トーン回路のチェック、、ここはよく逆向きに効くので修正箇所が多いところです。

この辺を修正してやっとアンプになりました。

ここでVanzandt Freakさんを呼び出して、チェックに加勢してもらいますwww

 

 「おお!売り物みたいな出来できですね!」「へっへっへ」

早速音だしです。今回は真空管のオーバードライブ回路を組み込んでいます。

 

所管

 

(良かったところ)

・電源とGNDの引き回しにはずいぶん気を使ったせいで、ノイズは皆無に近いです。これは気持ちよいです。

 

・オーバードライブも小音量でよく利く回路なので、オーバードライブなどのエフェクターは不要です。(しかし、エフェクターの

 ような使い方をするなら、フットスイッチがあったほうが良いです。回路を追加しなくては、、

  大型のアンプになるように、でかい音なら良い音するんだけど、部屋で弾くときは、結局別のアンプを用意しなくては

 いけない、、、というようなことはないですね。

 部屋で小音量でも、ライブで大音量でも満足できる感じです。

 これは、やはりオーバードライブ回路がGOODだと思います。構想ではAKG DRIVEを入れようかと思ったのですが、

 真空管アンプなので、真空管ドライブにして大正解でした。

 

・ギターの音を殺さないアンプです。生の音がそのまま出てきています。

 

・別の日にまたまたフルパワー長時間酷使試験(2時間以上フルテン)を行いましたが、全くへこたれません。(うーん、根性ある!)

 

(悪かったところ)

・鬼のようなアタック感があります。これは昔のDC30並みです。しかしそのせいでしょうか、コンプレッション感というか、

 音にサスティーンがありません。

  聞いていると、どうも音がハイファイ過ぎるというか、まだ低音側によっているせいかもしれません。

 次回はこの箇所を修正して、再挑戦となります。

 やはり、フィードバックがかかるくらいのサスティーン感を目指します。この辺はおそらくコンデンサのチョイスだと思います。

 

Vanzandt Freakさんの鋭い感性では、「低音が通常のアンプより低域に寄っていますね」、、おっ!さすが鋭い。

今回は終段のコンデンサをいつもより大きめにしていました。ハム系にはこのほうが良いと思ったのですが、、、

 

それにしても、335とか、テリーのフロントで甘めの弾き方をすると、目頭が緩んでしまいます(爆)

 

 

このアンプの目指しているところは、クリーンで「ゴン」とアタック感がそこそこあり(今回は強すぎ)、その後のサスティーン

「―――んんーーー・・・・・・ごぉぉぉぉおおおおおお」という感じ(ってどういう感じじゃ!)

結局、サスティーンが長くて、フィードバックが「キィーーン」と裏返えらずに、実音が伸びてゆくようなフィードバック

が欲しいと思っています。(これって、非常に難しいですね、、、あのダンブルの音が離れないみたいですwww)

 

 でも、これは、ギター弾きとしての私の要求で、エンジニアとしての私は、自分の中で一人もがき苦しむのでした。

実際に、音の感じを回路に置き換えてゆくのは、楽しくもあり、孤独な旅のような気がします。

週末、食事を取るのも忘れて黙々と作成に打ち込んでいると、ふと、そんな気になってきます。

疲れて眠ろうとしても、音が耳から離れず、目が冴えてきてしまいますね、、、(病気かなwww)

 

 いよいよ、ここから先は、参考書にも、人にも聞けない領域に入ります。

本当に、自分と仲間の耳と感性、それを回路に置き換えて行く能力が試されるのでしょうね。

この辺の一喜一憂に非常にロマンを感じてしまいます。

 

 

 

 

 

ちょっと、やりすぎたか?  wwww

 

下のSPキャビもN澤先生作のアッシュキャビで、EVの12Lを入れています。

SOUL BREAKERにも入れようと思いましたが、トランスと干渉して入りませんでした(泣)

 EVの低域再生能力のスピード感、音の分離感はさすがにすばらしいですね。(しかし重い、、)

 

ついに完成!?(04.08.15)

 

前回の反省点から、今回は定数を半田付けしながら聞いて変えてゆくしかないか、、と思っていましたが、

ふと、良いアイディアが浮かび作成しました。

 

写真のように、変更したい回路をロータリースイッチで切り替えて、音を聞きながら定数を決めてゆこうという方法です。

これなら、いつものVanzandt Freakさんを誘い出しても嫌がられずにすむかなwww

音を判断するのに時間がかからないので非常に決めやすい方法です。

 早速、近所のスタジオを予約しようと思って、電話をしたのですが、なんとお休みですよ、夏休み、、、

そうか、世間は夏休みだもんなあ、、、

 というわけで、Vanzandt Freakさんに電話をして別のスタジオを予約してもらい、一緒に音決めに立ち会ってもら

うことにしました。時間が結構迫っているので、急いで取り付け作業をして、動作確認をします、、

そうこうしているうちに、Vanzandt Freakさんが迎えに来ました。あわてて、録音機材と、テスト用のギターをケースに

入れて出発ですwww

 

 

テスト中のSOUL BREAKERです。私が、スイッチをいじって、Vanzandt Freakさんに弾いてもらい、決まった値

から順番に回路図に書き込んでゆきます、、、、(て、これスタジオでやる作業か??www)

 

録音はいつものザウルス君と携帯用のマイクです。

今回はさすがに音が良くなってきているので、この録音用の機材の出音を聞いてがっかりしました。

実際に聞いた音はもっと低音とアタック感があります。(良いマイク購入しないといけないかな、、)

あくまでも、参考と言うことで聞いていただければよいと思います。

 

試したのはいつもの私の59年レスポール(笑)Vanzandtの54年ストラトです。

 

Vanzandt Freakさんと、「ミッドがでていない」「しょぼい」「やりすぎ、、、」とか言いながら何とか定数を決めました。

決めた内容としては、レスポールでも、ストラトでも行けるように決めました。

決めた後、「じゃ、ちょっと弾いてみよう!」「ととと、、、、すごい、いいっすよこれ、、、」「味がありますなぁ」

 

(ちなみに全てアンプ直です)

 

★ ストラトクリーンチャンネル⇒(最初はリアで、途中からフロントになっています)

★ ストラトクリーンチャンネル2⇒(ボリュームは始め6位で途中から10に上げています)

★ ストラトドライブチャンネル⇒(ボリュームは始め10、途中で6位まで絞ってクリーンまでカバーしています)

★ レスポールクリーンチャンネル⇒(最初はリアで、途中からフロントになっています)

★ レスポールクリーンチャンネル2⇒(ボリュームは始め6位で途中から10に上げています)

★ レスポールドライブチャンネル⇒(ボリュームを途中で6位まで絞ってクリーンまでカバーしています)

 

(良いところ)

 

・レスポールの唸るドライブサウンドから、クリーンまで、ちゃんと出ている!しかもドライブ中でも木の音がしている!

・そして、ギターの個性を潰していないし、ちょうど良い中域が出ている、、、いや、出まくっている!

・今回は、サスティーンもあるし、味が出てきている。

・ボリュームを絞るとクリーン、上げるとドライブ、、ギター側のボリュームで自在に歪みを操れて、音圧は変わりません。

・しかも、アンプ直で、噛み付きのよいハードディストーションから、エロイクランチ、ドクリーンまで、かなり多様な音が出る。

 

良いところ、悪いところをいつものように書こうと思っても、今回は、悪いところがありません。最高ですよ、このアンプ。

今度ダンブルと勝負しようwww

 

スタジオにあったTONE MASTER、MACHLESS(SUPER CHIEF)には勝っていますよwww

 

部屋に帰ってきて、Vanzandt Freakさんと、「いやぁ〜、今日は良かったよ、最高、最高」

Vanzandt Freakさんが335を繋ぎだして、部屋なので小音量で弾いていました、、、

 

AKG:「おおおお、エロイ335サウンドが出ていますよ!このアンプ!これこれ、この音、ちょっともう一度録音しましょう」

VZF:「ええ!?335ってこういう音がいい音なの?」

AKG:「これが、私の目指している335サウンドですよ!」

 

(でも、悔しいなあ、、、録音すると低域とアタックの感じが出ていない、、、)

 

★335(クリーンチャンネル)⇒うーーん、JAZZY!

★335(ドライブチャンネル)⇒小沼君サウンド!

 

ドライブチャンネルの粘っこさ、、、うーーん最高です。バーボン飲みたくなりましたwww

 

あとは、外に出した回路をアンプに収めて完成です。

完成したら、バックにオケを入れてSOUL BREAKERの為の曲を作ってアップしたいと思っています。

 

また、このアンプ気に入ってくれた方、作りますので、ご連絡ください。キャビとか、コントロールとかカスタムメイドも

可能です。セパレートもOKですよ。

 

完成!(04.10.3)

 これまで、スタジオで試した結果を自分なりに分析して、「自分の求めている音とはいったい何が違っているのか?」結構

悩んでいました。

最近、カメラを購入して、気分の乗らないときは写真を撮って気を紛らわしておりましたが、これが結構良いみたいですwww

 色々なアイディアが浮かびSOUL BREAKERにモデファイを施してゆきました。

今日はスタジオに入ろうと決めていたのですが、朝からの大雨でした。(泣)

しかし、前日から、元ご近所のC葉さんも誘っていたし、強行することにしました。お昼頃、C葉さんがやってきて、まずは腹ごしらえ

と言うことで、昼真からビールを飲んでいい気分になっておりましたwww

 最近買ったギターの事などで盛り上がっていると、もう予約の時間が迫っておりましたので、速攻で準備をして、スタジオまで、

台車を押して出かけてゆきます(これが、かなり情けない姿なんです、、)

 

本日の機材たちです。

 

 

VANZANDT 53年テリー

FENDER ROBBEN MODEL

SOUL BREAKER

AKG MODEFIED WAH

 

部屋で弾いていて、かなりコンプレッションも出てきて低域と高域のバランスも非常によくなってきているので、このまま音量が

あがってくれたらよいなあ、、、と願っていました。

今回は結構その願いがかなえられたようで、かなりナチュラルなサウンドになっていると思います。

 C葉さんが、スタジオにあったドラムセットを見て、「ちょっと、スティックを買ってきます」と出かけて行き、スティックをもって

帰ってきましたwww

ドラムをたたいてくれると、やる気が出てきますね。(前日運動会で綱引きを行ったらしく、体はボロボロだったようです)

 

まずは、音を聞いてみてください。(やはり腕が悪いですがwww)

 

     テリー(リアとフロントのMIXポジションでボリューム絞り気味です)

     ROBBEN MODEL(C葉さんの掛け声が入っていますww。これもボリューム絞っています)

     ROBBEN MODEL+AKG MODEFIED WAH(超ローーーングサスティーンwww)

 

今回は、不具合もなく、2時間フルテンでOK。音の感じも、狙っていた感じにかなり近いです。

SOUL BREAKERはこれで完成です。

オーダーが入っている分を作成開始します。(次と、その次の構想もあるので、、、www)

 SOUL BREAKERに長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

オーダーはこちらですwww