61話(05.04.17)

小柳様アンプモデファイ

今回は、グヤトーンのTV−100と言うアンプのモデファイのお話です。このアンプは6L6のシングルのアンプです。スピーカーはキャビが小型のため、10インチのスピーカーが入っています。シングルのギターアンプは私の経験上あまり良いアンプをみたことがありません。ノイズが多いのは目をつぶったとしても、コンプレッション感、とクランチがうまく出てくれないアンプが多いと思います。その中で最近のアンプのなかで結構いい線いっているのは、コーネルのロマーニがうまい感じで音つくりされていると感じました。このアンプはクランチは別としても、クランチ手前のコンプレッションはなかなかの一級品です。スピーカーが10インチの為か、低音がブーミーにはならず、音つくりがしやすく、家で弾くには良いアンプだと感じました。

12インチのスピーカーにして欲しいとの事でしたが、純正のキャビでは10インチのサイズがギリギリに作成されているため、以前私がN澤名人に作成していただいたキャビが空いていたので、これに入れ替えることを提案し、そのようにすることと相成りました。

 

まずは、BEFOREとAFTERです。左は元のキャビネットで10インチのスピーカーがやっと入る大きさです。右は私が以前にN澤名人に作成していただいた12インチJENSEN P12R入りのものです。

 

 

入れ替えるアンプです。このままではパネルのサイズが全然合っていないため、シャーシを取り付けることが不可能でしたので、パネルを作成することにしました。

 

アルミ材を採寸して切り出し、穴位置を合わせ、塗装してロゴなどを入れます。右がある程度完成したところです。

 

こんな感じではまります。右がキャビに取り付けたところです。

SPは12インチのJENSENP12R(本物ビンテージ)が付いています。スピーカーも直接半田付けされていたので、ジャック穴取り付け、ジャック式にします。

また、配線材をウエスターンエレクトリックに交換します。

 

 

こんな感じで完成です。パイロットランプも青に変更してます。白いキャビに白いパネルはなかなかお洒落な感じです。音は、もともとクリーン系なアンプでしたが、12インチを得て低音にパンチがでてきています。低音も思ったよりもブーミーな感じにはならなかったと思います。

 

早速、できたアンプを測定してみます。

MODE1、MODE2があって、回路的には負帰還量を変更しているようです。また、負帰還のフィルターも変更して音に変化をつけています。

MODE1とMODE2の入出力特性を測定したところです。ここからは、意味不明な用語がたくさん出てくると思いますが、私の戯言だと思って聞き流してください。測定は、あくまでも目安です。

 

★歪率特性(MODE1)

★歪率特性(MODE2)

両対数で書くのが慣わしなのですが、元のデーターが見当たらなくなってしまいましたので、片対数で示します。

測定の都合上フルボリュームにはできない(発振してしまう)のですが、全域で15W程度はでています。6L6シングルアンプとしては優秀な設計だといえると思います。

また、後ほど出てきますが、NFBも結構かけているようでDFも十分取れていますので、低音の制動も効いていて、低域がぼやけることがありません。

面白いのは、7W付近から、ハードディストーション特性を示していることです。しかし、反対に実際に弾いてみるとクリーンが美しいアンプです。また7kHzの感度が非常に高く、小入力のときにも周波数の高い成分は高出力になっています。これはトーンの設定を全てフラットにしているため。下記のような周波数特性を示すためと思われます。

 

★周波数特性(mode1)

★周波数特性(mode2)

通常のMIDDLEがあるフィルター(いわゆるFENDER型と私は言っていますが、、)ではなく、昔のFENDERに見られるトーン回路が直列に入るタイプなのですが、結構良く効きます。

kHzにこぶができていますが、これがクリーンが綺麗な秘密かもしれません。(おそらく、NFBをかけたときにトランスとの相性ででてくるこぶだと思います)

最後にダンピングファクターです。

★ダンピングファクターと出力インピーダンス(mode1)

★ダンピングファクターと出力インピーダンス(mode2)

これは、ギターアンプとしてはかなり立派な特性です。おそらくNFBは多くかかっていると思いますが、6L6の出力インピーダンスを、よく抑えてあると思います。NFBは良くないと(私もそう思っていましたが、、)きちんと設計すればよい結果になるということを教えられるような気がします。これが、低音のブーミーさを抑えている要因でもあります。

 

私の環境で試し弾きしてみました。ギターはVanzandt53年テリー録音はROLAND R1です。リバーブはないのですが、非常にクリアでリバーブ感があります。

 

音源

 

その後、ご本人から、感想が届きましたので紹介します。

 

返事遅くなりましてすみません。アンプ音だししました!まず見た目からかっこよく

て感動しておりましたが、音のほうも期待どうりでした。反応のよいクリーンな音は

イメージ通りです、心持以前よりコンプレッションがかかった音のような気がしま

す。ボリュームもかなり出てますので今度はスタジオに持っていって試してみたいと

思います。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

エッセイへ戻る                      トップページへ戻る