63話(05.05.17)

NOBUさんのFENDER DELUXE REVERB 67年オーバーホール&モデファイ

 

 今回はこのホームページのリンクにも貼っておりますが、NOBUさんのFENDER DELUXE REVERB(67年製)のオーバーホールのお話です。

私のところに持ち込まれたときは、バッフル板が外れていて、音が小さい状態でした。

まずは、バッフル板から手を入れます。本来はDELUXE REVERBのスピーカーはオフセットされて取り付けられているのですが、このDELUXE REVERBのスピーカーは真ん中についています。おそらく新たに作られたものなのでしょう。本当はまた、作成しなおしたかったのですが、予算もあって、今回はこのままのバッフル板を生かし、固定することにしました。そのため、蝶番で固定します。

 

 

次に、内部の点検に移ります。まずはパワー管の交換とバイアス調整です。

 

エレハモの6V6に交換しました。バイアス調整に関してはギターリストのためのアンプ講座を参照してください。ここまでやるとさすがに本来のDELUXE REVERBの味が出てきました。暫く弾いていると、、、あれ??うーん、、これはコンデンサが寿命のようです。電源のコンデンサを交換します。シリーズ抵抗にはAB製の物が使用されておりますが、現代では金皮抵抗の方が音がクリアですので、これは交換します。

 

通電してみて、電圧と温度を測定します。どうやら正常です。かなり、良い感じになってきました。FENDERのBLACK FACEのあのあの音です。

ここからは、NOBUさんと話し合いを行い、モデファイに入ります。彼はHPを御覧になるとわかるように、ブルースをこよなく愛する非常に優れたプレーヤーであります。彼の要求としてはMIDDLEの調整がしたいということと、(335使いとしては、非常に良くわかります。うんうん)マスターボリュームが欲しいとの事。色々検討して、MIDDLEを元のEXT SPの穴に取り付けます。マスターボリュームは回路上どこにどのように取り付けるか、数箇所トライしましたが、ようやく決まりました。また、マスターボリュームはわかってはいましたが、音が劣化します。そこでPUSH/PULL式のスイッチを取り付けて、マスターボリュームをいつでもバイパスできるような回路にしました。取り付け場所はリバーブのフットスイッチの箇所にします。

 

 

このように裏側のパネルに取り付けるため、見た目は変わらないし、万が一、元に戻したいときにも簡単です。

次は各部の電圧のチェックを行います。一通り正しい値がでているようです。DELUXE REVERBは117V仕様ですので、ヒーターが6.3Vになるように、AC電圧をスライダックを用いて調整します。ちなみに6.3V丁度にあわせるとACは114Vでした。

  

続いて、測定に移ります。測定は、自作のソフトを使用して、パソコンで自動測定でできる環境になっています。測定中はアンプの挙動とモニター波形に注目します。もちろん117Vに昇圧して測定です。

 

歪率特性は上記のようになります。今回気が付いたのですが、小入力時パワーが増えていたので、マニュアルで確認してみました。スピーカーを接続したところ、どうもTREBLEをあげていると、ホワイトノイズがでて、BASSを上げていると、低域で20Hz程度の発振があるようです。これはスピーカで聞いていると、ギターアンプとしては当たり前のレベルなのですが、このおかげで、測定がうまく行かないようですので、対策として、TONEを全て2程度にして測定を行います。それが上記なのですが、公証DELUXE REVERBは22Wですが、28W程度の出力が取れているようです。もちろん歪みは大きくなっていますが、20Wを越えた辺りからは歪みが増すだけになります。

しばらく使ってみると、パワー管の片側が暴走を始めました。左右取り替えてみたのですが、やはり片側だけ、しばらく時間がたつと暴走します。(泣)オーディオ的な観点から、本当はグリッド抵抗を下げたいところなのでしょうが、ギターアンプにとってはパワーと音色が変わることを嫌いますので、オリジナルのままの抵抗で、パワー管を変更します。私の秘蔵のNOSのRCAを取り付け、バイアスを再調整します。(トホホ・・・)

 さて、ここまできて最終的にご本人を招いて、音の感じを試してもらいました。かなり、プレーヤー嗜好なNOBUさんですので、音に関する注目点は私と違った観点もあり、かなり勉強になります。

335メインですので、私の335を弾いてもらいNOBUさんの理想を語ってもらいました。

まず、これは私も懸念していて、反対だったのが、マスタースイッチの増設です。これは、理由を肌で感じていただいたようです。やはり、FENDER系のクリーンなアンプに無理にマスターを取り付けるはよくありません。と言うことで外して、元に戻しました。

MIDDLEの増設は大変気に入ってもらえました。確かに、デラリバでGIBSONを弾く方はMIDDLEがあったほうが良いと思います。

 次に335の6弦の感じです。もともと、デラリバは12インチで低音が良く出るアンプです。これは、テレキャスターやストラトキャスターなど、低音が締まっている楽器なら、相性が良いのでしょうが、335等GIBSON系はやはり巻き弦がボケた感じで、包み込む感じですので、強くピッキングすると、下手すると「ボム!」とかいって低音がウルサイ感じになります。ダンピングファクターも関係しているのですが、これを直すと、キャラクターが変わってしまいます。低域がもっとスッキリしていて欲しいというのが、NOBUさんのプレーヤーとしての意見でした。これには、私も、「なるほど・・確かにそうだ・・」と感じさせられました。そこで早速、秘密のモデファイをして、テストを行いました。335はかなりすっきりした感じです。ただ、ストラトキャスターのリア等が心配だったので、ストラトキャスターでも試してみました。

 

デラリバ+335           ストラトキャスターリア          ストラトキャスターフロント

 

録音は、ROLAND−R1で行いました。

心配は杞憂と終わり、やはりストラトでもクリーンなこれぞFENDER!という音が出ました。それにしても、セッションで鍛えられているNUBUさんのブルースのタイム感といったら、、うまいですwww

 

お持ち帰りの次の日、早速NOBUさんのブルースライブがあり、使用していただきました。そして、ご本人からの感想が届きましたので。紹介いたします。

 

レポ   

 

デラックスリバーブのオーバーホール&モディファイ、快く引き受けて下さり、ありがとうございました! 

修理後、さっそくライブで使わせて頂きました。

ギター本来の音の再生力、音ヌケも、以前より遥かに向上し、おかげさまで、いいライブになりました。

 

特に、モディファイでつけていただいた、”MID”の威力は強烈でした。 

デラリバ本来の音に、まろやかさが加わったこともそうですが、 音ヌケが格段に上がりました。

また、フェンダーのアンプにありがちな、気になっていた、ブーミーな低音もスッキリして、

弾き心地のいい音に変わりました。

 

狙っていた以上の出来に、大満足です。 

 

お忙しい中での作業、 心より感謝致します。

今後もライブでガンガン使っていきます。。。 

 

これからも、NOBUさんのメインアンプとして、がんばって欲しいと思います。

 

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