65話(05.06.19)

自作アンプ6号機 SOUL BREAKERU(仮称) 実験用アンプ製作

 

2005/06/19 実験用基板作成 

2005/07/04 電源デバッグ終了

2005/07/05 ヒーターが灯った

2005/07/24 音の調整完了!

 

 今回は、SOUL BREAKER第2段の為の実験回路の作成である。

以前に作成したSOUL BREAKERは、AB1級アンプであった。電源も、プリ段も、フェーズインバータ部も定数の検討はあったが、既製の回路であった。既製の回路がいけない訳ではないが、目指している音に対して自由度が無いので、今回は全く新しいギターアンプの設計を行う。

 

仕様:

 

 電源部:5AR4の真空管整流であるが、フィルターに2段のFETを使用する。これはシミュレーションによると1段当たりRR(リップルリジェクション)が50dB程度とれ、下手なチョークを使用したπ型フィルターよりも特性が優れている。

 電源インピーダンスが非常に低く、アンプに負荷がかかった時に電源がへこたれず、音に張りを与えてくれると目論んでいる。

 

 プリ段:特に変わった構成はとらないが、トーン回路には、以前のSOUL BREAKERにも採用したMIDの周波数が可変できるSWEEP(と銘々)を採用する。

 

 フェーズインバータ部:ここはかなり悩んで今回は実験的な要素も強いが12AT7か12AX7をパラレルP-K分割で使用する。これは、次段の入力インピーダンスが低ければ、上下のバランスがすぐに崩れてしまう。このためと、パワー段に十分ドライブさせるため位相反転の後にさらにアンプをいれる。

 また、P-K分割の場合カソート〜ヒータ間電圧が高くなるため、ヒーターに100V弱のバイアスをかける必要が出てくる。このため、(時間が許せば、、、)ついでにプリ部にSRPPを試す事も考える。(ギターアンプに採用した前例は無い。)

 

パワーアンプ部:かなり実験的になるが、AB2級方式を採用する。パワー管には6L6を使用する予定であるが、2級動作のため50W以上は取れるかもしれない。

パワーもさることながら、歪の感じが随分違うようになると予測している。

 カソフォロの強烈な低インピーダンスでパワー管をドライブする2級動作で、カソフォロとパワー管は直結になるため、コンデンサの影響を受けない。バイアスは前段と密接な関係ができてやや困難が予想される。

 

進捗:

2005/06/19 実験用基板作成 

 基板作成

ハンドワイヤリングがもてはやされているが、このくらいの規模になると、いつものシャーシに納めることは不可能であるので、基板を用いて作成する。

今回は実験用なので、今まで余った部品などを活用し作成する。また、基板も裏表を逆にして、デバッグを行いやすいようにしている。

 もちろん本チャンでは、こんな危険なまねはしない。

まずは電源基板への部品取り付けがある程度終わったところである。さすがにギターアンプの体ではない気がする・・・

 

 

2005/07/04 電源デバッグ終了

ようやく全ての部品が取り付けられ、電源の火入れ式を行う。

今回の火入れ式は本当に緊張するし、全く自分自身も経験のない回路である。このような時はどうしたらリスクを最小にできるかを考えるべきであり、一か八かで電源スイッチを入れるようなまねをしない方が得策である。

 

 さて、今回の場合は、一気に離陸させるのではなく、あくまでも実験用の基板であることもあり、スライダックを使用して、AC100VのかわりにAC30Vとか、低い電圧からスタートさせ、回路の様子を伺うことにする。

 この手法のため、はじめから真空管整流を使用することは不可能であった。そこで、当初はダイオードによる全波整流を行い、各部の電圧が設計通りに出ているかどうかの確認を行い、動作の確認が取れてから真空管整流に回路を変更することにする。

 上図はダイオード全波整流の時の様子で、今回はシャーシの裏側に電源回路を組んでいる。

電圧が低いうちは問題なかったが、電圧がある箇所を越えてから、ヒューズが飛ぶのがわかった。このような現象ははじめからAC100Vで勝負していたのでは一瞬でヒューズが飛び、原因の特定が難しいのであるが、今回の手法で原因を突き止めるのが容易であった。

 間違いは1箇所あったが、他は特に問題はなさそうで、FETフィルターもシミュレーション通り、RR(リップルリジェクション)が50dB程度取れているのが確認できた。

ようやく、電源回路としての完成である。AB2級動作のため、マイナス電源は大きな電圧を必要とする。また、フィルターもFETを使用したフィルターを採用したため、通常のギターアンプの電源回路とは大きく異なっている。

 5AR4のヒーターが灯り、ようやく真空管アンプであるという感じになってきた。

 

2005/07/05 ヒーターが灯った

電源がとりあえずうまくいって気を良くし、続いてプリ管とパワー管を取り付け、アンプ部の製作に入る。

ヒーター配線が終了したところ。電源は裏側で既に配線が完了している。持ち運びを考えてシャーシに取っ手を取り付けた。

ちなみにこのシャーシは3号機のときに使用したシャーシを再利用している。

 ここらで、ちょっと一休みして、ヒーターを灯す。

果たしてどのような音を奏でてくれることか・・・思いを馳せて、しばしウットリ。

 

この先は、検討しつつの進捗になるので、ちょっとテンポは落ちるかな、、、

シャーシ再利用のため、パワー管がくっつきすぎ。また今回はプリ管が5本の構成なので、電源を挟んで奥側に追加配置した。これは入力のすぐ近くに置くことができるため、インピーダンスの高い線を引き回さずに済むというメリットがある。

 

2005/07/24 音の調整完了!

オーディオアナライザー、オシロスコープと睨めっこすること何日間だったでしょうか?ようやく、音だしが完了して、調整が終了して、こんな感じでどうだ!というところまで完了しました。

 結局、フェーズインバーターをムラード型に変更したり、バイアスの方式を変更したり、大幅な変更をいれてようやく完成です。

測定器で確認すると、2級アンプの特徴であるパワー管の歪みが確認できます。すなわち、パワー管の入力は無歪みでSP出力は歪んでいる状態です。

この音は測定器上では確認できますが、実際の音はスタジオに行かないと確認不可能です。

本日はそこまでの音量ではありませんが、シングルピックアップ(VANZANDT59年レプリカ)とハムバッカー(BAKER RFモデル)で部屋で音だしを行いました。スピーカーは、いつもは実験用で10インチの10W程度のものだったので、すぐに音が割れてしまっていましたが、今回はかなり余裕があるので、トーンの調整(定数変更など)も行いました。

VZFさんが遊びにきましたので、いつものように、私が音つくりと録音役です。

BAKER

ストラト

なかなか、反応が早く良いアンプの印象があります。また、今回のトーン回路と初段はちょっと工夫がしてあり、音つくりが多彩にできることがわかりました。

ボリュームはまだまだ上がります。早くスタジオで音だしをしたいですね。

 

エッセイへ戻る          トップページへ戻る