第74話(07.02.24)
M様から、PRINCETON REVERBの修理を依頼されました。修理とモデファイの記録です。
M様からシルバーパネルのPRINCETON REVERBが届きました。依頼内容は次のようなものでした。
●リバーブがかからない
●電源ON時のノイズ
●現在は直っているのですが、以前電源を入れても「ブーン」というハムノイズがして、ギターの音が出力されない事がありました。
ちなみに私が入手した時点で聞いた所によると、サーキット内の一部のパーツ(コンデンサ等)、ポット、チューブ等は交換されているようです。
TAGまでついて雰囲気いいですねえ。まだグリルがアルミ枠付の初期のシルバーパネルです。
まずは、試運転してみましょう。 ・・・・ん? ・・・・んん?、げげ〜!煙が、、、モクモク!!
物凄い異臭が部屋中にたちこめました。匂いからすると、カーボン抵抗の匂いです。しばらくジャック類から真っ白な煙が「シューッ」と出ています。
換気して気を落ち着けてからばらしてみます。やはり、電源のフィルター抵抗が焼けていました。
さすがA&B、いい匂いで焼けました。真っ二つになっていました。
何で焼けたんだろう?大元の電源フィルターなので、どこがショートしてもこのような症状になるでしょう。原因を追ってゆくと、パワー管(6V6)のプレートの一部が、管の中でカラカラ音を立てて落ちていることがわかりました。
危ない危ない・・まず、この辺は交換することにします。
電源には金皮が好きです。また6V6はT様と相談し、ビンテージのRAYTHEONを搭載することにします。RCAも良いのですが、あまりにも高価で、入手も困難です。今回のRAYTHEONはブラックプレート、ベークのハカマで見た目も精悍、音も最高です。バイアスはビンテージ管ということもあり、電流は少し控えめです。
こんな感じで、音が出るところまでは復活しました。しかし、まだガリガリ、プツプツいっています。ポッドの洗浄とか、コンデンサの見直しを行います。フィルムコンデンサには旧オレンジドロップをチョイスしました。
修理が完了して弾いて見ました。小型軽量でリバーブ、トレモロ付、クリーンは部屋で引く音量では見事にFenderサウンドを奏でています。音量を上げてゆくと、クランチまではGOOD
SOUNDです。歪みはあまりセクシーではなく、ちょっとバリバリと割れる感じもあります。
それと、デラリバなどの12インチSPではあまり気にならないのですが、Fenderのアンプって低音がブーミー気味です。歪み時の音割れの原因の一因です。
おそらくSPが負けているような気もしますが、T様と相談し、今回はSPの交換はしないとのことで、SPには手を入れません。
リバーブはリバーブタンク内部での断線がありましたので修理しパッシャーンリバーブが甦りました。
ここからは、T様と相談して、モデファイのメニューを決めてゆきたいと思います。
ここまででも、私は部屋弾き用にクリーン〜クランチでは、欲しいなあ・・・と思うアンプになりました。
さてさて、ここからが、お楽しみのModefy編です。
まずは、このアンプを数日じっくり弾いてみます。私が思った感想は、部屋弾きでクリーンサウンドなら文句なし。ただし、低音がちょっとブーミーで、スピーカーが負けていることもあり、時々低音弦で音割れがある。ということです。
そこで、まずは、低音部に手を入れて、中域を邪魔しない程度に、低音を削ります。
かなり、中域が際立ってきて、良い感じになってきましたので、次にMiddleを増設します。
ちょっと見えにくいかもしれませんが、裏側の使用しないジャックを取り去り、そこにMIDLLEを増設しました。
これで、クリーンサウンドに幅が出て、JAZZYなサウンドから、シャリシャリなサウンドまで、自在になりました。気になっていた低音もちょうど良い感じです。
しばらく、弾いていて、気に入ったので、オーナーの方に連絡をいれ、これでよいかな?と思っていましたが、メールの節々に歪んだ感じはどうですか?かなり、歪みますか?というような歪みに関する内容があり、私としては、このアンプに関してはクリーンなイメージでいましたので、ちょっと、オーナーの方が目指している音と違うのでは?という感じがして、しばらく考え込みました。
そして、GOOD IDEAが生まれ、オーナーの方に連絡を入れOKをもらい、更なるModefyに入ることになりました。
内容としては、「トレモロ回路を削除して、ドライブ回路に変更し、スイッチでドライブをON/OFFできるようにする。」という構想です。
しかし、大きな問題があり、このトレモロ回路は12AX7が1段で構成されていて、当然、ドライブに使用できるのも1段となる。
ちょっと、詳しい人ならわかるかもしれないが、1段増幅が間に入ることによって、位相が180度変わるため、NFBをかけているアンプはPFBとなって、発振するのである。まずは、この問題を解決しなくてはいけなかった。
そして、作業開始。
こんな感じで配線をし、ドライブ回路を追加した。スイッチはフロントパネルに追加。本当はフットスイッチで切り替えれるようにしたかったのであるが、リレー用の電源とか、考えると、ちょっと大掛かりになりそうなので、パネルのみのコントロールとした。
そして完成!フロントのミニスイッチでDRIVE ON/OFF、その横には、MIDDLEの周波数を変更するSWEEPも増設。
このアンプは6V6をPK分割フェーズインバーターでドライブする小型のアンプであるが、なんとラウドなことか。部屋弾き用ではちょっともったいない感じである。
ドライブ、リバーブ付、小型軽量アンプ。私も欲しくなりました。(いや、ほんと)
オーナの方から、感想が届きましたので紹介します。
また、スタジオに入って録音された音も送ってきていただいたので、紹介します。
どうもご無沙汰しております。
前回スタジオに入る旨お伝えしたのですが、都合がつかずに行けませんで
この日曜日にやっと行って参りました。
ついに心置きなく全開で鳴らしてきました!
しかしこのプリンストン、とても12Wの音圧とは思えません。(汗
チューブアンプのお仕事の効率が高いことは承知していますが
正直、ここまでラウドに鳴るとは!
今回入ったスタジオには
FenderのFrontman FM-210R(65W)/ソリッドステート
Lanyのmxd120twin(120W)/ソリッドステート
という2台のアンプが設置してありました。
比較のために全部つっこんで鳴らしましたが、まったく負けていない
というか、勝ってる!? 赤木様、これをご自宅でフルテンで弾いて
たんですか???
それにしてもピッキングに対しての反応が凄まじく速い。
右手によるダイナミクスが自由自在 = 下手がバレバレ…(涙
これはクリーンでもドライブさせても共通して保たれているニュアンスです。
クリーンサウンドが心地よいのは元々の素性がFenderのアンプである
事を考えればもっともなのかもしれませんが、それにしてもこの反応の
速さはやはり特筆ものであると思います。
ミドルコントロール、効きますねー!
プリンプリンした抜けるトーンから絞れば耳に優しい鈴鳴りまで♪
これまた自由自在です。
VOL7くらいで歪み物ペダルをちょいとプラス。
おぉ、ツヤツヤのドライブですう〜。
なんというんでしょう、ちょっと文章では表現しにくいのですが
ナチュラルな音の周りをドライブ成分が包んでいて、それが
うま〜くブレンドされているというか…。わかりにくいですね〜。
これは私のつたない文章力では表せない心地よさです!
ゲインアップの効果をひしひしと実感しました!
最終兵器、必殺、ドライブモード!
う〜ん、少々SPが負けてる?
以前お話したSPの換装はまだ行っていないのですが、このモードを生かし
切ろうと思うと、やはりSPのグレードアップは避けて通れないような気が
しております。
とにかく、12Wの出力、10インチSPのアンプとは思えない太さと艶。
凄いです。これは十分ライブで活用できると実感しております。
見た目はちっぽけな可愛い奴ですが、ほんとこいつは強力に生まれ変わり
ました!
ちなみにドライブサウンド大好きな私が現在目指しておりますサウンド。
言葉にしますと、いわゆるバイオリン的トーン。これまたわかりにくい!?
これといって曲ではなく、だらだら弾いてましたのでお聞き頂くのが
心苦しいのですが、今回鳴らした時のサウンドファイルを添付します。
一応こんな音で鳴らしてますというご報告です(汗
ギターはFender USA/ストラト/リア
シングルコイルのリアで、いかに太く艶のある音を出すか?
本来のストラトのキャラとは相反するものですが…、いろいろと考える
ところがありまして…。
ところで、現在またアンプの入手を目論んでおります。
今度は銀パネのデラリバです。
もし実現するようでしたら、またモディファイをお願いしようかと思って
おります。その時はどうぞよろしくお願い致します。
長くなりまして申し訳ありません。
本日のところはこれにて。