87話(10.05.21

12インチスピーカーキャビネット作成

 

K様から、12インチ1発のキャビネットをという事でオーダーをいただきました。

 

まずは、材料の切り出しです。今回はFUCHSでご使用ということですので、サイズはDUMBLE用より一回り小さいオーバルホール仕様で作成します。

 

 

 

板の縦引きに、今回このような新兵器を導入しました。2mまではまっすぐに切ることが出来ます。しかも、充電式の丸のこを購入しましたので、いちいちコンセントをとる必要も無く、ズボラな私には大変便利です。

横引きには、いつも通りのスライド丸のこが活躍します。

 

 

切り出した材料は直角水平はきちんと確認しておきます。

 

 

次にダブテールジョイントの治具の調整の確認で、左の写真くらいまで追い込めれば、実際先ほど切り出した材料にジョイントを彫ってゆきます。

 

 

はみ出るくらいのボンドを塗り、ゴムハンマーで勘合させていきます。はみ出たボンドは乾かないうちにふき取っておきます。

 

 

直角を確認しながら、クランプで締め上げてゆきます。

ここで、ちょうど連休に突入してしまいました。この後の作業は連休後、しっかり乾いてからの作業になります。

 

 

連休後、クランプを外し、キッチリ固まったキャビネットの角を落としてゆきます。

この段階で、だいぶキャビネットらしく見えてきます。

 

 

12インチ用のスピーカー穴をあけるための治具と、今回のオーダーに合わせたオーバルホールを空けるための治具を作成し、治具に合わせて加工してゆきます。

 

 

オーバルホールがあいたリアパネルです。

これから、トーレックスが貼られない箇所の塗装になります。

塗装は場所をとるし、乾くまで他の作業が出来なくなるので、意外と大変です。

 

 

 

塗装が乾いたら、次にトーレックスを貼りますが、ゴミを大変嫌うので、付いたゴミなどを綺麗に落としてゆきます。

 

 

 

 

難関はオーバルホールのトーレックス貼りです。

私は、皺を真ん中に寄せるように皺を伸ばして行き、真ん中に切り込みを入れて、少しずつ引っ張って行きます。

慣れるまで、相当かかりました・・・

 

 

 

 

こんな感じで、序所に裏側に追いやってゆくイメージです。

 

 

 

それで、貼り終わったところです。結構綺麗に貼れました。今回、タッカー(ホチキスの大きいやつ)の使用回数を減らすのも、目標でした。

キャビネットも貼ってゆきます。

 

 

 

一度張り出すと、糊が乾く前に貼ってしまいたいので、一気にやっつけてしまいます。休憩は、無しです。 orz・・・・

 

 

 

次に、フロントのスピーカー用バッフル板の取り付けです。

ここは、音に大変影響があるところですので、慎重に作業を進めます。

サイズはぴったりでなくてはいけません。キャビネットに対して、ビスを打ち付けてゆきます。

 

 

 

コーナー金具、ハンドル、足などの部品を取り付けてゆきます。

ここは、だんだんキャビネットに見えてくる工程なので、やっていて非常に楽しい作業です。

 

 

 

リアのバッフルも入りました。

キャビネットの形になってきました。

 

 

 

次にグリルクロス貼りです。

この作業も、慣れないとなかなかピーンと張ることが難しいですね。

 

 

 

ようやく、形になりましので、K様に、搭載予定のスピーカーを送ってもらいました。

到着したのはなんと、本物のG12-65です。

ロベンフォード愛用のスピーカーです。オーラがあります。

オニネジを埋め込んでゆきます。

 

 

 

スピーカーを搭載し、配線を行います。

 

 

 

オーバルホールから覗くG12-65がかっこいい!!

 

 

 

最後に、私のODSと記念撮影ですが、一回り小さいので、頭でっかちになってしまいました。

 

 

ようやく完了です。

工房の中では存在感があるので、日々、出来上がっていくキャビネットを見ているのはとてもワクワクして楽しかったのですが、そろそろお別れの時期です。(涙)

 

つたない演奏をしてみました・・・

 

音が少し割れているのと、やはり間違っているのを除くと(何もなくなりそうですが・・)かなりいい音です。人様のスピーカーなので、音量はそれほど上げていません。アンプは私のオーバードライブスペシャルで、ローランドのR1で一発録りです。

 

 

K様から、ご感想が届きましたので紹介します。

 

AKGさま

 

こんばんは、Kです。

 

今日、無事にキャビネット届きました。

さっきまでずっと弾いてましたがめっちゃくちゃイイですね!!!

シルキーで艶のある音のG12-65がそのまんまの音色でバランスが良くなった感じです。

不自然な共振や倍音がまったく混じらなくてとてもナチュラルなサウンド。

ハリエンのキャビの時は低域がややカットされたような平板でちょっとデッドな鳴りだったのですが

AKGさんのキャビは低域までバランスが良くてもっとライブな鳴りで音に表情があります。

小さな音から大きな音まできちんと鳴ってくれるのでダイナミクスがつけやすいですし、クリーンとドライブ両方ともいいですね。

ボトムの出かたがどっちかが良くてどっちかがダメというキャビがほとんどですが、これはホントにどっちもイイです。

また、いつも気になるFUCHS特有のハイミッドの硬さがぜんぜん気になりません。

すごくギターらしい音のする(?)超優秀なキャビだと思います。

それからキャビが適度に軽いことも中高年ギタリストにはとてもありがたいです。

 

おかげさまでたいへん気に入りました。なんだかギターが上手くなったよう錯覚が・・・。

 

手塩にかけて作成したので、ほめられるとやはりうれしいですね。

キャビネットの作成オーダーも受け付けておりますので、お問合せください。

 

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