下記の内容は関東地方南部での経験によるもので、生育時期や各々の作業の適期など、その地方の気候によって変わることもあると思います。
早春、葉が出始めてから、初夏、葉が枯れ始めるまでの間は、なるべく日当たりのよい場所に鉢を置いて育てます。
日に1、2時間程度しか直射日光が当たらない場所でも育てること自体は可能ですが、葉柄や花茎が倒れたり折れたりして草姿が乱れてしまいます。
葉が枯れている夏以降、翌早春までの間は、日当たりの良い場所でも日陰の場所でも構わないのですが、暑い夏の間は半日陰や日陰の場所に置くか、日除けを設置して直射日光を避け、土の温度ができるだけ高くならないようにした方が、ひどい根腐れを起こすことが少なくなるように感じられます。
育てる鉢の大きさは、植え付ける芽の大きさや数によって変わりますが、1芽ならば3.5号(直径10.5cm)、2、3芽ならば4号(直径12cm)、4、5芽ならば5号(直径15cm)というのが一応の目安になるかと思います。
芽の数が増えてくれば、さらに大きな鉢やプランターに植えて楽しむこともできますが、さくらそうの場合、深さはそれほど必要なく5号鉢程度の深さがあれば十分なようで、土の量が多くなると乾きにくくもなるので、大きなサイズの鉢では浅めのもので良いです。
鉢の材質は特に選ばず何でも使えますが、素焼きのものは土の乾きが速く、特に開花時期前後の頃の水やりが大変になりやすいです。
栽培環境(日当たりや気温など)、栽培管理(水やりや施肥など)の違いによって適した用土も違ってくるので、栽培のベテランの方々はそれぞれ工夫しておられますが、一つの例としては、まずは赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜたものを基本として、水はけを良くして根腐れを防ぐために、くん炭を1割ほど混ぜたり、根腐れがひどいようならば、さらに水はけ良くするために軽石などを1〜2割混ぜます。
草花用培養土として売られているものも、極端に水はけが悪いものでければ育てることができます。
用土に固形の肥料を混ぜておく方法では、万が一、量が多過ぎた場合に取り除くのが難しいので、液体肥料を追肥として施す方法が失敗が少ないと思います。
葉が出てきてから開花前までの間に数回と、花後から葉が枯れ始めるまでの間、いずれも1〜2週間に1回、他の草花と同程度の濃度の液肥を施します。
多くの草花と同様に、鉢の土の表面が乾いてきたら、鉢底の穴から流れ出るくらいたっぷりと水やりする、というのが基本になりますが、開花時期の頃は水分をよく吸収する割にそれほど根が張っていないのか、乾いて萎れやすいので、やや早めのタイミングで水をやった方が良いこともあります。
もし萎れていても完全に枯れていなければ、見つけ次第水やりすれば30分〜1時間程度で回復します。
夏の間は葉が枯れていて、休眠に近い状態にあるようにも考えられるので、やや控えめに、しかし完全に乾かして根茎や根を干乾びさせないように注意します。
秋以降は植え付けてからの時の経過とともに、土の粒が崩れたり締まってきたりして、乾きにくくなるので、表面の土が乾いて見えてから1、2日後に水やりすれば十分かと思います。
さくらそうは、植え付けた根茎の先に新しい根茎と芽ができる性質があるので、植え替えをしないと鉢の縁の方から芽が出てきやすいことや、時間の経過とともに鉢土の水はけも悪くなることから、できれば毎年植え替えます。
時期は、古い根が枯れてから新しい芽が伸び始める前までの11月から2月頃の間ですが、少し遅くなっても葉を折らないように注意すれば植え替えることができます。
その年の生育状況や品種によって差がありますが、主に開花時期頃から葉が枯れる頃までの間に、成長した根茎が土の上に出てしまうことがあります。
そうした場合は、根茎や根を覆い隠すように用土を足します。
夏以降も雨や水やりによって土が流れて似たような状況になる場合があるので、見つけ次第同様に土を足しておきます。
サクラソウ(さくらそう・日本桜草)の育て方/花の画像(庭の花のアルバム2016年/庭の花のアルバム2017年/庭の花のアルバム2018年)