リサ・ランドールの異次元の世界

 「リサ・ランドール異次元は存在する」(NHK出版)を中学生や高校生に薦める。
 「ワープする宇宙」(NHK出版)は物理学を志す高校生に薦める。米・英の大学ではテキストに使われている。理論物理学の最前線である素粒子物理学、ひも理論、M理論などを説明している。

@ シャワーカーテン(膜、ブレーン)

 わたしたちの住む世界は縦・横・高さ(X・Y・Z軸で位置を表す)の3次元で、時間軸を加えると4次元になる。ハーバード大学の理論物理学者リサ・ランドール博士(Lisa Randall)は高次元の世界を次のようにモデル構築し、分かりやすく説明している。
 わたしたちの世界はバスルームにおけるシャワーカーテン(膜、ブレーン)で、わたくしたちはシャワーカーテンに着いた水滴のようなものである。水滴はシャワーカーテンの上を移動できるがシャワーカーテンからバスルームに飛び出すことはできない。バスルーム全体が高次元(5次元、6次元など)の世界である。
 わたくしたちはブレーンの3次元世界のなかを移動できるが高次元の世界へ飛び出すことも異次元の世界を見ることもできない。
 わたしたちの住む3次元のブレーン以外にも、異なる次元のブレーン(異次元の世界)がいくつかあると考えている。ブレーンが高次元の空間全体の境界になっている。この全体の空間を「バルク」という。


A 4つの力
 自然界には重力、電磁気力、原子核に関係した弱い力と強い力の4つの力があると考えられている。これらの力はグラビトン、光子、ウイークボソン、グルーオン等の粒子によって伝えられる。
1、重力: 地面に引き寄せる力、→グラビトン(質量がゼロの粒子)
2、電磁気力:電磁波(電波や光など)を飛ばす力、→光子(質量がゼロの粒子)
3、弱い力:原子核を異なる原子核に変えてしまう力、→ウイークボソン(質量がある粒子)
4、強い力:素粒子(クオーク)を結合させて原子核を支えている力、→グルーオン(質量がある粒子)
 
 重力は他の3つの力に比べて極端に弱すぎる。例えばペーパークリップは地球全体の重力が引っ張っているのにもかかわらず、小さな磁石の電磁力で持ち上げることができる。
重力が極端に弱いのは、重力エネルギーが時空を超えて異次元の世界へ洩れ出ているためと考える。即ち、見ることのできない異次元の世界が存在すると考える。

 グラビトンや光子は質量がゼロなので遠くまで力を伝えることができる。

 弱い力はある種の核の崩壊、中性子の崩壊、水素をヘリウムに変える核融合などの働きをし、その過程で大量のエネルギーを放出する。原子力発電、核爆弾、太陽などのエネルギーとなる。

 強い力はクオークを結合させて陽子や中性子をつくっている。
クオークには+2/3の電荷を持つアップクオークとー1/3の電荷を持つダウンクオークなどがある。
陽子はアップクオーク2個(+4/3)とダウンクオーク1個(−1/3)を強い力が結合している。電荷は+1(+4/3 −1/3)となる。
中性子はアップクオーク1個(+2/3)とダウンクオーク2個(−2/3)を強い力が結合している。電荷は0(+2/3 −2/3)となる。

B 異次元の存在は検証されるか
 2007年スイスのジュネーブ郊外に、超高エネルギーの粒子衝突型加速器の建設が進められている。(LHC)
実験結果次第では異次元の世界の存在が証明されるかもしれない。
高速の粒子が衝突して粉々になった破片はある確立で姿を消すことが予想されている。もし粒子が姿を消したことが確認された場合、姿を消した先が異次元の世界であると考えられる。

素粒子物理学の研究で最も重要な実験は高エネルギー粒子衝突型加速器による高速粒子の衝突である。小さな衝突領域に大量のエネルギーが発生する。ビックバンのように、このエネルギーが重い粒子に転換し(E=mc²)、自然界には見られない素粒子がみつかっている。(イリノイ州にあるフェルミ研究所のデバトロン)

C ひも理論
 現代の理論物理学者は相対性理論と量子力学を調和させて、4つの力すべてを統一する究極理論を探している。それは「ひも理論」ではないかと考えている。
物質の最も基本的な構成要素が点粒子ではなく、広がりをもった「ひも」ではないかというのである。その「ひも」は何で出来ているかという疑問が生ずるが、「ひも」は振動する1次元のエネルギーだそうである。
見ることのできない小さな「ひも」がさまざまな振動をすることによって、宇宙におけるすべての粒子や現象を説明できる可能性がある。