2016年2月 高校生の皆さんへ
スウェーデンの博物学者 カール・フォン・リンネ(1735年頃)やイングランドの生物学者 チャールズ・ダーウイン(1859年頃)は動植物の分け方の基礎を作った。 網⇒目⇒科⇒属⇒種
動物 | 有血動物 | 哺乳綱、鳥綱、両生綱(爬虫綱を含む)魚綱 |
無血動物 | 昆虫綱、蠕虫綱 |
生物を構成している細胞のなかには、二重らせん構造の遺伝子情報を持った、DNAという生物の設計図が組み込まれている。
DNAは塩基、糖、リン酸が結合した分子が、らせん状に2本並んで、大きな分子を作っている。下図参照
図 DNAの二重らせん構造説明図 DNA分子の原子模型(左図)と二重らせんをリボンで表した(右図)。 |
DNAをつくる分子のうち、糖とリン酸は共通だが、塩基にはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があり、梯子段のように積み重なっている。このようなDNAの構造はアメリカのJ.D.Watoson (1928年〜)、イギリスのF.H.C.Crick (1916年〜)などが生物の設計図として解明した。DNAの研究は急速に進み、2003年には人類の約30億個からなる塩基配列の遺伝子情報「ヒトゲノム」が解明された。
生殖細胞の精子や卵子のなかには生物の設計図である遺伝情報の半分が入っていて、精子と卵子が受精すると、そろった遺伝情報になり、次の世代に引き継がれる。この遺伝情報の配列(DNAの配列)に変化が生じたとき、これを「変異」という。「変異」は、細胞が電磁波や放射能を受けたり、化学物質と反応したり、外からの原因で起こることや、DNAが複製される時のコピーミスで生じる。
「変異」がその生物の生存競争に有利で、自然環境にも適合していると、自然淘汰が働き、遺伝情報は子孫へ引き継がれていく。何十万年、何百万年、何億年も「変異」が積み重ねられて、もとの生物とは違った形質(形や色や性質)の生物になっていくのである。時代と変異は比例しているといわれている。
ダーウインの自然淘汰の考えに対して、1968年、国立遺伝学研究所の木村資生・太田朋子※などによる「中立進化説」が出てきた。DNAの二重らせん構造を調べると、分子レベルでの変化は自然淘汰に対して有利でも不利でもない中立な変化であることがわかった。したがって、進化は偶然に、そしてまれに起こる現象といえる。
現在の進化についての考えは自然淘汰説と中立進化説がともに関係しているとする。何十万年、何百万年、何億年という長期間には偶然の変異も度重なる。結果として、大きな変異の積み重ねや自然淘汰が行われ、生物は進化することになる。
※太田朋子博士は2015年、スウェーデン王立アカデミーからクラフォード賞を受賞された。
2016年1月30日、三島市民文化会館において、受賞記念講演があった。
鳥類について、分類と遺伝子配列を考えてみた。鳥類の分類は遺伝子配列の違いによって分けたのではない。したがって、若干、矛盾点はあると思う。
鳥類の祖先は1億4000万年前の羽毛恐竜(始祖鳥)と考えられている。鳥類は1億4000万年もの間、変異を積み重ね、枝分かれして、下表のように目⇒科⇒種に分かれたと考える。
写真のチョウゲンボウAの遺伝子配列を中心に考えてみる。
@ チョウゲンボウAに、最も遺伝子配列が似ているのは、チョウゲンボウAの親子兄弟の遺伝子配列である。
A 次に、チョウゲンボウAの遺伝子配列に似ているのは、他のチョウゲンボウの遺伝子配列である。
B 次に、チョウゲンボウAの遺伝子配列に似ているのは、長い時代の間に変異が積み重ねられて、形質が少し変わったチョウゲンボウの亜種、コチョウゲンボウBであろう。
C 次に、チョウゲンボウAの遺伝子配列に近いのは、同じハヤブサ科のハヤブサなどであろう。
D 次に、チョウゲンボウAの遺伝子配列に近いのは、タカ科のオオタカやハイタカ、ノスリなどとなる。チョウゲンボウAとオオタカの遺伝子配列はかなり違っているばずである。
E チョウゲンボウAはタカ目だが、ブッポウソウ目のブッポウソウとは遺伝子配列が大きく違うはずである。
チョウゲンボウA、2015年12月22日、浮島ヶ原で撮す。 全長約35cm、頭は灰褐色、背は茶褐色、ネズミ、小鳥、バッタを狙う。 |
コチョウゲンボウB、 2015年11月24日、 浮島ヶ原で撮す。 全長約30cm、頭、背、尾が青灰色。 コチョウゲンボウBはチョウゲンボウより少し小さく、背の色が違う亜種か。 |
鳥綱について、目・科・種の分類表の概略
目 | 科 | 種 ・亜種 |
タカ目 | タカ科 | オオタカ、ハイタカ、ツミ、ノスリ、サシバ、ハチクマ、クマタカ、トビ、ミサゴ、オジロワシ |
ハヤブサ科 | ハヤブサ、チゴハヤブサ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ | |
ブッポウソウ目 | ブッポウソウ科 | ブッポウソウ |
カワセミ科 | カワセミ、ヤマセミ、アカショウビン、ヤマショウビン、 | |
ヤツガシラ科 | ヤツガシラ | |
キツツキ目 | キツツキ科 | コゲラ、ヤマゲラ、アカゲラ、アオゲラ、アリスイ、ノグチゲラ |
スズメ目 | ハタオリドリ科 | スズメ、ニュウナイスズメ |
ツグミ科 | ツグミ、コマドリ、コルリ、ルリビタキ、トラツグミ、アカハラ、シロハラ ジョウビタキ、ノビタキ |
|
ウグイス科 | ウグイス、ヤブサメ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キクイタダキ | |
ヒタキ科 | キビタキ、オオルリ、エゾビタキ、コサメビタキ、サンコウチョウ | |
シジュウカラ科 | ヒガラ、コガラ、ヤマガラ科 | |
ホオジロ科 | ホウジロ、ノジコ、ミヤマホウジロ、アオジ、クロジ、カシラダカ | |
アトリ科 | アトリ、マヒワ、カワラヒワ、ベニマシコ、イスカ、ウソ、イカル、シメ | |
セキレイ科 | ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ | |
ツバメ科 | ツバメ、イワツバメ、 | |
フクロウ目 | フクロウ科 | フクロウ、コノハズク、アオバズク |
キジ目 | キジ科 | キジ、コジュケイ、ウヅラ |
カイツブリ目 | カイツブリ科 | カイツブリ、カンムリカイツブリ |
カモ目 | カモ科 | カルガモ、マガモ、コガモ、オシドリ、ヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、カワアイサ、オナガガモ、ホシハジロ、ヒシクイ |
チドリ目 | チドリ科 | コチドリ、ミヤコドリ、シロチドリ、イカルチドリ、ムナグロ、ダイセン、ケリ、タゲリ |
シギ科 | トウネン、ハマシギ、キョウジョシギ、キアシシギ、ソリハシシギ | |
タマシギ科 | タマシギ | |
ウミスズメ科 | ウミスズメ、、ウミガラス、ケイマフリ | |
カッコウ目 | カッコウ科 | カッコウ、ホトトギス、ツツドリ、ジュウイチ |
アマツバメ目 | アマツバメ科 | アマツバメ、ハリオアマツバメ |
ハト目 | ハト科 | アオバト |
ツル目 | ツル科 | タンチョウ、ナベヅル |
クイナ科 | クイナ、ヒクイナ、バン、オオバン |