津波 津波は崖を這い上がる。 2011年6月12日  物理を選択した高校生の皆さんへ

海の波、例えば、うねりがあるとき、海岸で沖合いに浮いている浮遊物を観察すると、その場所で上下運動していて、波を伝える海水(媒質)が移動してくるのではないことが分ります。波の運動が伝わってくるのです。
しかし、海岸で波がくだけて、海水が移動始めると、運動エネルギーを持つようになります。
東日本大震災の巨大津波が市街地へ流れ込む様子は、増水した河川の急流やダムが決壊した濁流のようでしたね。
運動する海水の力学的エネルギーから考察しなくてはならないと思いました。


数値に変更あり、2011年3月11日午後3時すぎ、M9.0
 死者15、413人、行方不明8,069人(6月12日現在)

1.海の波
風浪(風波):風が吹いているとき起こる波長が数m〜数十m、波高(波の谷から山までの垂直距離)が2m〜5mの波。
うねり:台風で発生した波などが、移動してきた波長の大きな波、波長が100〜600mの波。
津波:地震によって海底が隆起したり陥没したりして、発生する。波長は100Km〜1000Kmあります。
津波は海岸へ近づき海が浅くなると、波長が小さくなり、波高は高くなり、位置エネルギーが増します。
津波の速さ(Vm/s)と海の深さ(Hm)には次の関係があります。(g=重力加速度9.8m/s²)
           V=√(gH)  gHは√の中  (V²=gH) 


2.力学的エネルギー保存の法則からの考察
質量mの海水が速さvで市街地へ流れ込んできたとき、持っている運動エネルギー(Ek)は次の式で表されます。(下図参照)
           Ek=1/2 ・mv² (vは市街地を流れる海水の速さで、津波の速さVではない)
この海水が持っている運動エネルギーは個体の運動と違って、地表面との摩擦に使われる量は少ないと、考えられます。
この運動エネルギーが防潮堤や建物の破壊に使われても、あとからやってくる海水から力を受けます。
この運動エネルギーを持った海水が崖にそって、力学的エネルギー保存の法則が成り立ち、位置エネルギーに変換していくと次の式ができます。ただし、hは崖を這い上がった津波の最高点の海抜高度、gは重力加速度です。
          1/2 ・mv² =mgh      
(津波が這い上がった最高点では海水の速さが0になり、運動エネルギ1/2 ・mv²は位置エネルギーmghに変わる。)
この式から、市街地へ流れ込む海水の速度を調べれば、hが計算できます。(振り子の運動に似ています。)
津波が引くとき、市街地から海の方向へ流れる速さも同じようでした。流体力学で問題はありますが、力学的エネルギー保存の法則からの考察も意味があると思います。
オリジナルな考察だと思っています。ご意見をお寄せ下さい。   aihara@mxz.mesh.ne.jp
               


海岸の断面図

津波に対する注意
@ 海抜高度を知ることが大事です。住んでいる場所や避難場所が海から離れていても、土地が低いと津波はきます。河川をさかのぼって津波はやって来ます。砂丘は当てにならない。乗り越えてやって来ます。

国土地理院の白地図の等高線から海抜高度を調べることがで来ます。
   地図閲覧サービストップページ
東海地震、東南海地震、南海地震が連動すると大きな津波が発生します。津波が心配される小学校、中学校、高等学校があります。
早い対策が必要です。

A津波が心配な場所にいた場合、地震が発生したら、直ぐに、声を掛け合い、助け合って、みんなで早く高所へ逃げます。
東海地震による津波は震源断層面が近いので、東日本大震災の津波より早くやって来ます。とにかく迷わず、早く避難場所へ逃げます。
ゆれが大きいと感じたら、より高い所へ逃げます。  
声を掛け合い、助け合って、みんなで早く高所へ逃げよう!