盲学校の教材、教具、設備の紹介

 写真の無いものもありますが、逐次 掲載します。

オプタコン   パソコンが普及しないころに、盲学校で盛んに使われたスグレモノで、 普通の漢字混じりの印刷物を光学的に読みとり、その形通りに多数のピンの 凹凸で表現させ指で読みとる。印刷物ばかりでなく、打ち込み中のカナタイ プの字やディスプレイの字も読み取れる。  しかし使用者が普通の文字を知っている必要があり、読みとりにも訓練が 必要で、使用頻度は各校で相当の落差があった。OCRなど文字読みとり、 音声化がパソコンで容易に出来るようになった現在どの程度、使われている だろうか。

立体コピー  浮きだしコピーともいう。ボランティアではあまり知られていないが、 盲学校での教材製作には欠かせない非常に優れた機器である。 図形、地図、文字など、手書きでも印刷物でもよいが素材を用意し、 この機器に掛ければ、色の濃さに応じて凹凸の出ている教材が得られる。 この機器が出現する前は、前述の種類の教材作りには非常に苦労した。 しかも複製は困難だったが、立体コピーでは容易である。難点をいえば 専用紙がA4で50円以上(現在の価格は不明)することだろうか。 使用方法は左のコピー機に手差しで専用紙を入れ、コピーをとる。 この部分は普通のコピー機と殆ど同じと考えてよい。この段階では 凹凸は付いていないが、コピーを右の部分に通すと紙を熱して凹凸のある 教材が得られる。これは特殊用紙に発泡スチロール状の薬品か塗布され ているためのようだ。盲学校を視察される一般の方のデモに最も効果的な 装置である。
 なお数センチもの厚みのある素材を、ビニールシートに真空 成形できるサーモホームという器具もあるが、あまり使われない。これは 熱したビニールシートを素材に密着吸引するので、お面、直方体系には 適しているが、球、寝かした円筒系には不適、また素材が熱で損傷する ものも向かない。

レーズライター  特殊な透明または半透明の用紙をこの器具にはさみ、ボールペンで書けば 表から触れる凹凸が出る。図形を書いたり、文字の練習に使うなど用途は広い。





パーキンス  パーキンスブレーラーというのが正式な呼び名。アメリカ製で昭和40年 頃から導入されたように思う。このタイプは当時としては珍しい凸面で 点字が現れるもので、書いたままで触読でき、数学の計算には便利であった。 それ以前にも仲村製のものがあったが、スペースをとることや価格面の 問題もあり、専ら教員の教材作成に使用されていた。 この機器は図書の点訳用には使用されていないが、一般の方が販売価格で 購入するには高価であることと、原則としては片面打ちであるということが 原因のようである。(児童、生徒は両面で使っている場合が多い)

ブレイルマスター  「ブレイユマスター」とも言う。 今では一般的になったパソコン点訳装置の草分け的なものである。写真の ものは旧型のものであるが、今でも全国の盲学校に設置されていると思う。 この装置は1000万円もするだけあり、かなりすぐれた性能を持っていた。 最大の特長は点字を読みとって、カタカナに直してしまうことである。 また、当時としては点字の印刷がプリンターで出来ることも画期的なこと であった。
 不都合な点は、ディスプレイ表示文字が小さく見にくい、フロッピーが 旧タイプの8インチ(2D、片面)が必要、編集機能が不十分、完全に操作するには相当の 学習が必要などがある。

亜鉛板製版機  非常に古典的な装置であるが、パソコン印刷が全盛の現在でも使われて いる。茶箱の内面に貼ってある亜鉛板と同種な点字紙を2枚縦に並べた 程度の大きさの亜鉛板を二つ折りにしたものに点字を打っていく。キーは パーキンス方式だが、相手が金属板であるから、右足でペダルを踏み印字し ていく。ピンは板の後方より打ち込むので板の1枚が凸、他には凹の点字 が刻されるので、製版後この板に普通の点字紙をはさみ、ゴム製のローラー に通せば印刷物が得られる。熟練した人が操作すれば、印刷速度は現在の 如何なる点字印刷プリンターにもひけをとらない。また安価な普通の点字 用紙が使用できるし、元の原稿の読み手以外にはすべて障害者が操作出来る。 1枚の板で多数の印刷が出来るが無限という訳にはいかず、丁寧に扱って 1000枚くらいで痛みが生じるだろう。

点字ブロック  街の路上で見かけるのであまり説明の必要はないだろうが、進行と停止の 2種類があることを気づいている人は少ない。中には障害者の歩行のためと いうことが分からず、路上で自転車を置く境界線と誤解している向きもある と聞く。路上の自転車は白杖携帯の場合でも衝突、歩行者が自転車と共に 転倒するという事故になるので見かけたら移動させてほしい。

懐中定規  携帯用の点字器で行数により、各種の商品がある。初期の点字学習に使え るが、図書の点訳はできない。6行で1000円を少し越える程度。

ソニックガイド  歩行補助具で超音波を使って障害部を感知し音で知らせる。音の内容で 障害物の形、材質もかなり分かるとのことである。眼鏡のような部分に 超音波発射部と受信部があり、音はビニールの管を耳孔にのぞかせて出す。 旧タイプのレシーバのように完全に塞ぐ訳ではないから、外界のナマの 音も同時に聞ける。装置本体とか電源部は腰付近に装着する。値段は 50万円弱程度。ニュージーランド製だが国内でも販売されている。 使用にあたっては若干訓練が必要。現在は国内外製で、同じ目的の器具が 販売されている。3〜4万円程度。

拡大テレビ  多種類販売されている。普通の新聞、印刷物、手書き文字などをCCD で写しディスプレイに拡大表示する。現在はカラーものも安くなってきている。 障害者の場合、日常生活用具の補助対象になる。読むためばかりでなく、 書く場合にも使える。また、ディスブレイは普通のテレビを使えば経費が 少なくて済む。老齢のため相当視力の低下した場合でも使える。
注.一般に視力と言われるものと、文字の見える程度とは完全な相関が ある訳ではない。ある人が視力0.1で読めなかった文字が、0.01の 人に読めたという例はある。実際のものを見て対処をするのが確実である。