視覚障害者への奉仕の概要(点訳、その他の情報伝達関連)
5.盲ろうの二重障害者に対する情報伝達
このような二重障害の方は当然以前からいらっしゃったのですが、支援が本格化
した歴史は意外と浅いというのが実情です。
二重の障害といっても、同時に発生することは殆どなく、どちらかの障害が先に
あり後で次の障害が加わるという経過をとります。この順序の違いにより支援する
方法も異なります。ここでは先に目が不自由であった場合のケースについて説明し
ます。なお、耳が不自由でも発声は可能ですから、障害者から発する情報は通常の
話し言葉になります。
点字を知らない場合は、手のひらに文字を書きます。ひらがなより片仮名が分か
りやすいようです。また、点字利用者でも片仮名を知っていれば利用できます。
利用者、奉仕者の双方で点字を知っていれば、それを利用します。凸面方式の点字タ
イプがあれば、利用不可能ではありませんが、受け手が点字を上下逆さまに読んだり、
不自然な姿勢をしたりしないとリアルタイムには伝達が出来ません。これに都合の
良いタイプライタとしてはドイツ製の「ブリスター」があり、点字が打たれた紙テ
ープが左に流れていくので、打ち手、読み手か並んで伝達ができます。またパソコ
ンと点字ディスプレイがあれば、ペーパレスで伝達ができます。
(「ブリスター」も日常生活用具の補助対象)
以上は何らかのツールを媒介する手段でしたが、まったく準備が要らないのが
「指点字」です。利用者の左手の人差し指が点字の「1」、中指が「2」、薬指が
「3」、右手の人差し指が点字の「4」、中指が「5」、薬指が「6」として
伝達者は爪の生え際ないし第1関節くらいの場所をタッチします。送り手と受け手
が同じ側に座る場合もあるし対面の場合もあります。また送り手がパーキンス式
では点字が打てず、ライトブレーラ式で覚えている場合は、受け手に手を交差して
もらう工夫をすれば伝達可能です。
多くの場合、講演とか会話の同時通訳になりますから、手話と同じく一言一句
正確に伝えるということは困難で、省略の符号とかは使われますが一般化は今後の
課題でしょう。
詳しいことは各地の盲ろう者友の会にお問い合わせ下さい。