点字の触読について
点訳本を作る側でも、読む側の事情を
知っていることは必要です。中途失明で点字の習いたての方の指先を見ていると
どこに点があるのか必死に探している場合が多いのですが、努力の割に上達しま
せん。2、3年たっても一向に点字が読めないということもあります。何が原因
てしょうか。
一方、点字板を使っている点字に熟達した生徒には、点の多い、少ないなどの
誤りがあっても、「シ」を「ト」と書くような左右の裏返しの間違いは殆どあり
ません。これも不思議です。この謎を自分なりに解明した結論は、「書いている
点字と読んでいる点字は別の文字」ということでした。書く点字は目が見える人
の認識とあまり変わらないが、触読は1文字を皮膚感覚で全体的に把握している
ということです。この仮説を裏付けるため、点字の各点を結んで直線化し凸字に
したものを生徒に見せたところ、やはり読むことが出来ました。先の中途失明の
方は視覚的な点のイメージを指先で知ろうとするので、読めないということで
しょう。しかし、私の説に従って触読の学習法を変え、上達した方も少しはあり
ますが、やはり30歳を過ぎてからの触読開始はなかなか上達しないというのが
実情でしょう。現在の点字は素晴らしい発明ですが、多くの中途失明の方が読め
ずに当惑していることも事実です。視覚障害で現在の点字が読めない方のために、
第2の点字の
開発があっても良いのではと思います。実は、時間をかければ触読で読める文字
のアイデアを私が考え、先日点訳ボランティアの数名の方に試させていただきま
した。大体、予測していた程度の結果は出ましたので、更に実験して機会を見て
発表します。
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