2000全日本ARDF競技大会参加記
平成12年11月12日(日)福島県岩瀬村(周辺) 競技時間120分スタート10:00〜 天候:曇り
今世紀を締めくくる全日本ARDF競技大会が東北の福島県は岩瀬村にて行なわ れました。競技者としての香川勢の参加者は私を含めて合計6名になります。
皆々、四国エリア内では並々ならぬ実力の持ち主たちの集まりですが、今大会こ そと意気込む私としましても、集った人達に負けるとも劣らない情熱および野心
をも含めこの東北遠征(全日本)に望んだ訳である意味全日本大会には特別の感 情を持っております。 大会当日は、曇り。天気予報では午後から天候がよくな
い模様だとアナウンスしていたので私自身としては競技のスタート時間は速めの グループのほうが良いなと内心思った訳でありました。プログラム表には、第8
組のスタート、これは、プログラム進行上では半ば辺りを指し示しておりこのス タート順位が、競技中に後々影響してくる事にもなりました。
AM10:00 第一組のスタートと思いきや、いきなりのTXトラブルにて1 時間50分程度進行が遅れることになるのですが、時間が遅くなるに従いお天気
を気にしていた私としましても内心気が気でなくなってきてました。体感的に比 較的暖かい秋の気候の四国と違い東北の秋は冷たく、冷気が肌を刺す辺りは真冬
を思い浮かべるような感じでした。第一組の呼び出しの時選手は呼び出しされた 方から順に受信機を持って選手待機場所へと集ってきますが、呼び出しが有るに
も拘らず何名かの方が1分たっても集ってないといった状態でした。第2組の集 合案内がされる頃には集ってはいましたが、なんとなくその方のARDFに対す
る意気込み(その日の)がわかるような感じがしました。外気温になれてない事 もあいまって、本来の意欲等も消極的になってきているのでしょうね。スタート
10分前各選手に競技用地図が配布された瞬間は結構注目でした。遠目で、チラ チラ覗いてましたがカラー印刷がされてはいるもののO−MAPではなく、どち
らかと言うと四国地方大会の時に出されがちな競技地図であることが判明、スタ ートは、地図を縦長にし選手の手元側でコンパスを使い円周を引いてましたので
進行方向に見える小高い山並みが今回の競技エリアだと解りました。前回の山梨 の時みたいに今回も山間での競技になることを覚悟して自分の呼び出しがあるま
で待ち続けました。8組の呼び出しがかかり始め自分の受信機を手に取り待機場 所にて待機していた時なのですがこの時ばかりはさすがに緊張感が高まってきま
して殺気だっていた事だと思います。同グループ内の人で、私の持って来ていた 受信機(TOP−GUN)について訪ねてきていた方がいらしたのですが返答が
少し愛想無いモノになってしまった(具体的な改造等についての事)ことに後で 後悔もしましたがこの際、許してもらいましょうか、、。
スタート10分前、、。呼び出しの後に地図を貰うのですが、なかなかうまく貰 えず、同グループ内でも最後の方に貰いうける羽目になりました(トホホ〜)。
貰った地図は案の定O−MAPではないモノでした。1:10000の3色地図 ですがよく見てますと所々等高線のズレや側道及び幹線道路の不鮮明さが見受け
られました。まず手に取り状況判断です。全体的には東西に広がる山並みを縦横 無尽に獣道が横断していると言った感じで4年前失敗した富山での全日本大会を
思い出しました。ゴール位置の確認及びスタート位置の確認、円周による750 mのチェック、獣道をチェックしているだけで、すぐに5分間なんて来てしま
いますね。
スタート時間5分前の呼び出しの時も大事である。
スタートの時はいつも最前列の決まって時計前のエリアを獲っています。ジンク スではないのだけど、時計合わせ(いつも私はストップウォッチ)の時は出来る
だけ時計と睨めっ子になってますし一秒なりとも無駄無く時計合わせがしたいと 言う気持ちが先行しますので出来るだけ、端の方にポジションを獲る癖が自然と
ついて来ています。今大会はJP3EVM(植木 等)さんが隣に並んだ事もあ り時計際とはいけませんでしたがそれでも、ポジションは従来通りの良い位置が
獲れたと思ってます。受信機の最終チェック(TX周波及びAM/FM等の確認) とヘッドホンジャック等の取り回し等を考えながらまもなくスタートです。
スタート開始時はいつも全速力で駆け抜けていきます。
理由は多々に有りますがその中でも、同グループ内の人の中で一番に受信開始地 点で受信したいというのが最大的な理由であります。
しかしながら今回の受信開始地点は遠かったような気がします、250m前後走 らされたかな。受信開始地点少し離れた所に見晴らしの良い場所を見つけました
ので最初の5分で先へ進みたいといった気持ちを抑えつつ測方だけに集中しまし た。「何事も最初の判断で決まる」と私はいつもながらに思っていますので目測
にも余念がありません。今回は、5番TXが受信開始地点より最も近い位置に次 の4番TX が5番TXより少し左にずれる形で少し走るが奥に有るみたいだと判
断しました。1番TX及び2番TXの電波が弱いので山の向こう側に存在してい るだろうと頭の片隅に書き留めて3番TXの電波を待ちました。3番TX送信開
始時、聞こえてくるはずの波が捕らえられなかったのですぐさまプリに切り替え て受信しました。この時点で、3番TXは山の陰か2km以上離れた所にあるモ
ノだと判断、聞こえてくる電波の強さから地図上に東西に横たわる神明川の西端 あたりと検討をつけ今回の巡回手順を時計回りと考えアタックを開始しました。
まずは最も近くに有るであろう5番TXです
怪しいと思われる獣道にアタック開始直後地盤が結構悪くて、おろしたてのシュ ーズがいきなり泥だらけ、、、(これは後で嫁さんに怒られるな)などと脳裏を
よぎりましたが電波が聞こえてるのだからしょうがないと開き直りそのまま強行。 5番TXは山の南側斜面に設置してありアタック当初から強力に入感、急勾配の
獣道を草の根をかき分けながら進んで山の奥へ奥へと突き進んでいきました。 高低差をつけて近くから聞こえる様に見せるといった典型的なTXの隠し方がこ
の5番TXでは見受けられましたが何度となく練習や競技に励んできた私として はロス無く比較的安易に見つけだす事が出来ました。捕獲後の確認ですが地図読
みもここまではバッチリでTXの設置位置を確認後地図に印を付け400mの円周を引き次の 4番TXに関するエリアを確認、最初の目測との関連から南北に山を横断してあ
る(村道上柱田・長沼線)村道に目星を付け次のアタック開始地点まではたちど まることなく獣道を突っ切りました。獣道の下りを走るのには結構勇気が要りま
す。下る途中で何人かの選手を抜きましたがこの時ばかりは狭い獣道を強引とい える様な足取りで追い抜いたり、たまには、道から外れた藪からショートカット
を試みたりと見ている方には多分異様だと思われるかもしれませんね。常に自分 のポジションは前屈みで足元だけを見るのではなく前方を広い範囲で見渡すと言っ
た感じで走ってますが、よくヘッドホーンを藪にさらわれそうになったりもしま す。今回は、藪をかき分けかき分けといった感じではなかったので後陣の選手と
ぶつかる事はなかったのですがそう言うことも多々に有る事も事実です(笑)
4番TXは村道の峠道にありました。
比較的整備されていた村道を通行可能にしていた事もあり比較的安易に4番TX 付近までは行くことが出来ました。アタック開始エリアの周辺には東へ延びる獣
道や小道が地図上では見うけられました。電波の強弱から峠の頂上付近から脇に それて獣道が有りますのでこれを当初登っていきました。アタック開始時にもう
一つ北側に存在する小道が実際気になってましたがそちらは峠を下った辺りから 脇に入ってましたので体力配分を考えて後回しにしたのが正解だったみたいです。
途中何人かの選手に遭遇、中には、獣道の存在を知らないで通り過ぎるような選 手もちらほら見受けられました。モンゴルの選手も混じってましたので、多分自
分の位置をLOSTしてたのかもしれませんね。。同スタートの選手とも遭遇し ました。すれ違いざまの顔つきが良いようなのでやはりこの上に存在するで有ろ
う4番TXを捕獲してきたのだなあ〜と思いました。後次のエリア確認と地図読 み等もしなくてはと刻々と変わる獣道や地形の変化に注意しながら登っていき難
なく捕獲、大して苦労はしない位置に4番TXが有りましたので(5番TXの配 置関係と見比べたら)拍子抜けしました。
問題は3番TXか1番TXか?
4番TX捕獲後の測方によると1番TXが村道を抜けきり吸水ポイントが設けら れてある所よりに南方向に延びる小道の延長上に有ることが解りました。4番T
Xからは山が邪魔をして電波が弱いのですがその方角のみしか電波が聞こえず地 図と照らし合わせても、間違いないと思われたからです。その東隣から同じく2
番TXの電波聞こえてきます。問題なのが3番TXの電波です。方角的には自分 が立っている4番TX設置位置の獣道の延長上から聞こえてくるのですが道が有
りません、、、。このまま直進して山の奥へと行こうかと思いましたが山の形( 等高線の間隔)等を見てこれは下手に道の無い所を入るよりも迂回した方が体力
配分等で後々有利と判断し後ろ髪をひかれる思いでその場を立ち去りました。峠 道を北に下りかけ右後方から山の合間を横切る形の小道から選手の姿がちらほら
見受けられました。多分、5番TXを探しているのでしょうがそっちから探して も大変苦労するだけで時間の無駄だよと心で思いながらその場を後にしました。
さて、のどかな田園風景の見えるところまで出てきた頃案の定1番TXと2番T Xが東方向から聞こえてました。こちらはゴール方向なので後回し、山の陰にな
ったために聞こえなくなった3番TX方面へと山を迂回して下道をただひたすら 快走しました。
遠い遠い〜3番TX。
北側斜面が極端な急勾配の山で、比較的楽な西斜面からアタックすれば良いだろ うと地図の確認当初予定に入れたあった、神明川の西端付近に架かる橋を目指し
ながらのどかな田園の小道を1キロほど走り続け目的エリアに到着。ここでは2 つの小道(途中から獣道に変化)で、迷いはしたものの4番TXの場所からの測
方を元に手前側の小道を選択。アタック開始後、降りてくる降りてくる選手の多 いことに一瞬選択ミスか?と思わせるような選手の行動にも動じることなくただ
ひたすら自分を信じ電波を信じて小道を登って行きました。結構急勾配の小道を 最初の頃はかけ足で登っていましたが自分で思うよりも体力消費が強いらしく坂
の中盤付近で息があがってしまい一度休憩を入れる為、持ってあった携帯ジュー スで喉を潤しました。相当急な登り勾配で所々玉砂利が浮いてあり地盤が良いと
はお世辞ながらも言えないような小道でした。休憩中はTXを捕獲後は一気に下 るつもりだったけど足元はくれぐれも注意しながら降りようと肝に銘じて再度ア
タックの開始です。3番TXは登りきった所の開けた場所で捕獲、自分の思って いた位置とだいたい合致していたことに満足しました。後は測方も考えずただひ
たすら吸水ポイントから延びる小道(1番TXが存在してるだろう)めがけて快 走あるのみで中間付近にだけ気をつけながら元来た道を駆け下りました。はやる
気持ちを抑えつつもう考えることはゴールまでの最短ルートばかりで肝心の1番 TXや2番TXは捕獲したかのような考えにまだまだ油断は禁物と投げかけなが
らの移動でした。
1番TXにて
1番TXエリア近辺では何人もの選手と遭遇しました。先陣の同5エリアの人に も1番TXに向かう途中に合いました。多分3番TXへ向かって行ってるんだろ
うと思い苦しい表情を和ませて会釈をしました、多分解って貰えたと思います。 この頃から1番TX及び2番TXの位置関係がおぼろげながら確認がとれ始め1
番TXは2つ並んだ池の少し南側に2番TXは学校近辺から延びる獣道の先にあ る神社付近に設置しているモノだと思うようになりました。まずは1番TXへと、
吸水ポイントから延びる小道まで行く前に2つが仲良く並んでいる池の真ん中の 土手をショートカット、小道に出ると同時に私の嫁さん(JG5TJJ以降TJ
J)に遭遇。目と目が合った瞬間に、1番TXを捕獲して来たことが解りました。 ものの1分もたたないうちに1番TXが鳴り始めて(ラッキー)100m近辺と
受信機が指示しますので少し小道を登る辺りで農家の廃車が止めてあるモノを発 見、反射波を拾ったか?と一瞬思ったが電波があまりにも強いのでその周辺を探
すつもりで近づくと審判員を発見、すぐ側に1番TXも確認。運が良いのか、こ こまではロスが有りませんでした。中には、反射波だと思いこみ小道をどんどん
登っていく選手も何人も見受けられました、、。(かわいそうに)
2番TXの思い込み
2番TXまで行く前に喉を潤すつもりで吸水ポイントに立ち止まったのも今回ラ ッキーだったかもしれません。1番TX捕獲後そこからの位置では2番は聞こえ
るはずが無いと思い込んで諦めていましたが以外と強力に聞こえてきました。「 山陰なのにあまりにも電波が強いな?」この時点でもう少し近くに置いてあるの
では?と言う疑問符が脳裏をかすめもう一回の送信を待って見ようと吸水ポイン トで一息つく事にしました。お水を2杯貰い受け、2番TXエリアへと小走りに
近づいて行き始めた頃1番TXが鳴り始めその電波の強さを受信後再度2番TX と比較。明らかにそこからの1番TXまでの距離よりも2番TXまでの距離が
近いことが判明し、当初予定してあった神社よりも西よりのもっと近い獣道の入 り口付近より聞こえるのでそちらに自然と足が向かいました。周りよりも一段下
がった田園の小道から受信していたせいなのか、やたらと電波が強いなと思い小 さなため池の土手に這い上がった所、目の前に赤白の標識が見え隠れしている。
電波を追わえず目で探したと言った情けない格好でしたが送信されない時間帯で の捕獲にただ何となく物足りなさを感じましたが後はゴールへ向けての最短ルー
トを割り出し駆け出すだけでした。
ゴール前に横たわる川
ゴールは地図上の右端のエリアにあり2番TXからだと学校を横目に県道を通り ながら目的地近辺に密集した形で集まる岩瀬村運動公園の野球場を目指して帰る
のが正しい方法だと思いました。ただ、一本の川が幹線道路を寸断すると言った 感じで横たわりその川に架けられた橋も地図上では4本存在してました。
私は、帰り際にこの4本の橋で勝負が決まるかも?と考え、開会式の時に言って おられた審判長の言葉の中にあった田畑の境界は通行可能の言葉を思い出し最短
コースは愛宕橋を渡りそのまま直進して野球場の東側を通行するのが最短コース だと判断しました。ビーコンのアンテナを遠目で確認後、ゴール走行には逆から
の進入でないことを確認。最後の最後でこれまでの余力をフルに使いきる形でゴ ール走行ラインを全速力で駆け抜けました。ゴール通過と同時に押したストップ
ウォッチでは1時間20分18秒とまずまずのタイムに今回はよく走ったななど と思った次第です。気になる他の選手の事もですが、TJJにもいつもながら心
配してます。前回の全日本大会時は初めて全国区に参加と言う事で自分の位置を 地図上からLOSTしたらしく審判員のお世話になった経緯から「あいつが帰っ
てくるまでは楽しかったな」等とは思わないでいました。時間が経つにつれハラ ハラとしてきましたが私がゴールして遅れること15分前後でようやくTJJの
顔を見ることができゴール者に混じり激励の声援をかける事が出来ました。後に TJJからの言葉で2個捕獲したとの事それから「今回は地図読みがバッチリだ
った」の一言に今大会までにまた実力が付いて来たなと、うんうんと頷きながら この時点で初めて今大会を心から楽しんだ気持ちになりました。
競技終了後のエピソード
競技終了後、5エリアの人たちや3エリアの人たちと今大会でのTX配置の事や 自分たちの攻略ルートについての雑談してた時に、JH5FUL(松浦孝行さん)
に声を掛けられ何個行ったの?タイムは??と聞かれ結果を未確定のまま話すと 「良い線いってるかも?」との返事を思いがけなく貰うことが出来た。内心、今
大会だとOMは1時間10分前後が多々に居るだろうと思い運良くて入賞圏内に 食い込めているかもしれないねとTJJと雑談、小さきながらも淡い期待を内面
に秘め結果発表が有るまで待ち続けました。成績順位が掲示板に掲げられたのが 午後5時前後で、OMクラスの順位を上から見る形で確認。思わず我が目から感
涙ともいえる涙が出そうになった全日本1位の成績結果にガッツポーズ(2位と は2分差か)。成績確定の審判長の言葉で順位等が覆る事が無くなり安堵。表彰
式では皆さんからの祝福の声にこれまでの苦しかった事や何度となく辞めようか と思った事それに、これまで12年にも及ぶ長き努力、運、経験等の積み重ねが
走馬燈のように脳裏を横切りました。取りたくても勝ち取ることの出来なかった 全日本の金メダルをいただくことが出来本当に夢の様な気持ちで一杯で、それま
での寒さもいっぺんに吹き飛ぶようなメダルの暖かさ及びそのメダルの価値に自 信と誇りを持って今後ともこの競技に励んでいきたいと思っております。