路線車概説(平成以降)

 平成2年度から,大型車はメーカーで対応していない車種を除き,全面的にオートマチック車を導入してきた。しかし平成7年度には5100代の導入が打ち切られ,3400代もマニュアル仕様の3000代に移行し,導入が5台に止まり,8年度にはオートマチック車の導入は皆無となった。変速ショックは初期の車両に比べて大分改善されたものの,変速タイミングの運転者とのイメージのずれや,低速走行時のノッキングなど,乗客からの不満も導入打ち切りの原因だと思われる。また8年度には,平成6年排出ガス規制対応車(規制記号:KC)の導入により,昭和54年規制対応車(規制記号:K)が全廃され,NOx法への対応も一段落した。8年度の車両は,黒窓枠・黒バンパー化され,関東バスが生み出したとも言うべき3扉車との訣別,中扉ワイドドア仕様となり,車両後面にも社紋と社名が表示されるなど,エクステリアにも大きな変化が見られた。インテリアでは,中扉向かいの2席が跳ね上げ式となり,そこを車椅子スペースに当てたほか,一部の握り棒の巻きゴムが省略されている。また,5年ぶりに乗降チャイム・扉開閉チャイムの音が変更された。車内放送用のラジオアンテナが運転席上の屋根に設置され,再塗装(更新)を行った平成2年式以降の車両にも,順次取り付けられている。

 平成6年度から環境保護対策の一環として日野HIMR(ハイエムアール:8000代)の導入,7年度にいすゞのアイドリングストップ&スタートシステム(ISS)装備車(1500代)の導入とHIMRの増備,8年度には三菱MBECS(エムベックス)V(2010代)の導入が見られた。さらに8年度にはさらなる低床化を図り,車椅子乗降用スロープ板を装備したワンステップ車,日産ディーゼルJP(1000代)が各営業所に2台ずつ配置された。民営事業者が低公害化と低床化を同時に取り組むのは珍しいケースで注目されたが,その後の増備はなく現在に至っている。

 平成9年度の独自の新車導入はなく,今後も在来車で賄っていくため,平成8年度と9年度に車両の異動が行われた。関東バスでの転属は非常に珍しく,深夜中距離バス用の車両を除けば,ほぼ10年ぶりである。また,本来なら代替時期に来ている昭和60年式P-U32K(3200代)に延命措置を施し,一部を引き続き使用している。一方でダイヤの見直しにより路線減車も行われ,代替車のない廃車が続いた。

 昭和60年式が延命改造され第一線で活躍する中,昭和61年式の4台が平成10年末に廃車となった。平成11年3月には,ISS・スロープ装備の一般路線向け小型車,日産ディーゼルRN(600代)が5台導入された。3200代としては初の転属も平成10年度に発生した。

 平成11年末には関東バス初のノンステップ車(1100代)が登場した。2台が武蔵野に先行投入され,12年度には青梅街道にも配置された。一方で11年度末には,五日市街道営業所にワンステップ中型車(320代)が3台投入された。この3台と12年式のノンステップ車5台では方向幕が廃され,前後側面の行先表示がLED式となっている。320代の導入により玉突き転属が発生し,丸山のオートマチック試験車7010代(P-HT233BA)は全廃となった。

●フロントページへ