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職権解散の恐怖

 

株式会社は取締役については2年監査役については4年に1度任期

満了に伴う改選の登記を行わなければなりませんが、これを放って

おくとどういうことになるのでしょう。職権解散という言葉をご存じですか?

株式会社については最後の登記から5年を経過した会社については

営業を行っていないものとみなして法務局おいて勝手に書類上会社を

解散させてしまう手続きです。法律を守って営業を行っている会社で

あれば少なくとも2年に1度は取締役の変更の登記が行われている

はずです。それらの手続きが行われないまま何年も経過しているような

会社は、営業を行っていない会社という判断をすることは合理的なこと

だと思います。

実は現在のようにコンピューターを駆使した登記簿が整備される以前は、

会社の登記においては1社1帳簿で登記簿が何万社も管轄する法務局

においては膨大なスペースを取られていました。第1はその整理のために

職権解散が行なわれていました。

第2に営業もせずに名前だけ存続している会社があると、類似商号の

兼ね合いから新設会社をその法務局の管轄地内に設置することが

できず、既存会社に商号専用権を不当に広く認めることになって

しまうために、何年かに1度放置された会社の登記を整理して新陳

代謝を行っておりました。

 

実際に営業を廃止している会社が職権解散に当たった場合は、

自分たちで解散の登記を行う手間が省けるのでそれはそれでよし

とする見解もありますが、現に営業を継続しているにもかかわらず

登記を怠っていたため職権解散されてしまった会社は、大騒ぎに

なります。

職権解散の登記がなされますと、法務局から税務署・都税事務所に

会社が解散された旨の通知がいきます。

会社が解散されると税務上は解散された日から清算事業年度に入り、

新たな申告が必要になります。

解散日までの通常の申告を行い、解散日以後の清算事業年度の申告

を行うことになります。所轄の税務署からその趣旨の通知が来て初めて

自分の会社が解散されたことに気がつき騒ぎが始まることもあります。

 

また法務局に自分の会社の印鑑証明書を取りに行って、窓口の職員

から会社が解散されていることを告げられて初めて気がつくこともあります。

いずれにせよ営業を継続している実態があれば解散された会社の登記を

もとに戻すことは可能ですが、結構な手間と費用がかかります。

 

 

***以下は直近の職権解散がなされたときの法務省からのアナウンスです。

 

「株式会社の経営者の方へ−−休眠会社整理のお知らせ」

 

 全国の法務局では,平成14年10月から,5年以上登記のない株式会社について,商法第406条ノ3の規定による休眠会社の整理作業を行いました。

 同年10月1日の時点で最後の登記から5年を経過しており,12月2日(月)までに登記の申請又は「まだ営業を廃止していない」旨の届出をしていない株式会社は,12月3日付けで解散したものとみなされ,職権で解散の登記がされました。解散の登記がされた株式会社は,解散後3年以内であれば,株主総会の特別決議により会社を継続すること(解散会社を解散前の状態に戻し,営業活動ができるようにすること)ができます。

 

〈休眠会社の整理を行う理由〉

 商法の規定により,株式会社の取締役の任期は2年とされ,取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要ですから,株式会社については,少なくとも2年に1度,取締役についての変更の登記がされるはずです。また,取締役に限らず,会社の登記事項に変更があった場合には,所定の期間内にその変更の登記をすることとされています。

 したがって,長期間登記がされていない株式会社は,既に営業を廃止し,実体のない会社となっている可能性が高く,このような休眠会社の登記をそのままにしておくと,種々の弊害が生じるおそれがあります。

 そこで,全国の法務局では,定期的(おおむね5年ごと)に,休眠会社の整理作業を行っています。

 

〈休眠会社とされる会社の範囲〉

 平成14年10月1日の時点で最後の登記から5年を経過している株式会社(有限会社は含まれません。)が該当します。5年以内に登記簿謄本や代表者の印鑑証明書の交付を受けたかどうかは,関係がありません。

 

〈休眠会社の整理作業の概要〉

(1)

 平成14年10月1日付けで,法務大臣による官報公告が行われました。

(2)

 整理作業の対象となっている会社に対しては,登記所から郵便はがきで(1)の公告が行われた旨の通知がされました。

(3)

 平成14年12月2日までに,「まだ営業を廃止していない」旨の届出がなく,かつ,登記の申請もされなかった会社については,商法上平成14年12月3日付けで解散したものとみなされ,登記官により職権で解散の登記がされました。

(4)

 解散後3年以内であれば,株主総会の特別決議により,会社を継続することができます。

 

〈解散した株式会社の継続の手続〉

 会社の継続の手続は,次のとおりです。

(1)

 解散した会社については,原則として,解散当時の取締役及び代表取締役が清算人及び代表清算人となります(法定清算人)。会社の継続の登記をするためには,その前提として,清算人及び代表清算人の就任の登記が必要となります。

 なお,会社の定款に清算人についての定めがある場合には,それに従います。

(2)

 株主総会を開き,その特別決議で継続の決議をします。併せて取締役・監査役の選任も行う必要があります。

 次に,選任された役員による取締役会において,代表取締役を選任します。

(3)

 ア(1)の法定清算人の就任の登記,イ会社継続の登記並びにウ取締役及び代表取締役の就任の登記等を申請してください。イとウの登記は,併せて行う必要があります。

 アの登記は,(2)の手続以前に,法定清算人の申請によって行うことも可能です。アからウまでの登記をまとめて申請する場合には,(2)で新たに選任された代表取締役が申請することになります。

 登記申請の添付書類としては,定款,(2)の株主総会議事録,取締役会議事録等が必要となります。申請の方法,これら以外の添付書類等の詳しいことは,お近くの法務局にお問い合わせください。