ご存知ですか、初夏髄膜脳炎という病気を。
当地には野外で感染する怖い病気があります。
初夏髄膜脳炎(FSME,spring.summer Meningoencephalitis)のことです。
この病気は野外に棲息するマダニ等から感染すると云われています。
犬を連れて野外を散策していると突然に犬がビッコをひくことがあります。そんな時には犬の「ゆびのまた」にダニが付着して吸血し、赤黒い球状になっているダニを発見することが時々あります。
このダニによって媒介されるウイルス性の、中枢性神経系が侵される病気が初夏髄膜脳炎です。
このウイルスを持っているダニに刺された後1週間ぐらいしてから、まず夏風邪のような症状が出ます。(発熱、関節痛、頭痛など)この初夏髄膜脳炎には個人差があって人によってはこれだけで済む人もいます。
髄膜炎型は高熱が出て、吐き気と嘔吐、ひどい頭痛、それと頸部の硬直などの症状があります。しかし多くの人は何日か後には後遺症も無く回復します。
一番重症なのは脳炎型で上記の症状のほかに意識障害、言語障害、精神異常そして麻痺がでることもあります。脳炎をきたした場合は10〜20%の患者さんに多かれ少なかれ麻痺等の後遺症が残ります。
FSMEのほかにボレリオーゼという、ダニによる他の病気があります。これには予防注射はありません。ダニに刺されてから3週間くらいすると刺された所が赤くはれて、特に辺縁が強く赤くなります。数ヶ月後になってから関節炎が出たり神経症状が出ます。
この病気には抗生物質が有効です。
予防するにはダニの棲息する地域に近寄らないこと、野山を歩く時にはズボンの裾を靴下などに挟み込み、上着の袖を締めてダニの侵入を防ぐことが大切です。また刺された時には潰さずにピンセット等でゆっくり引き離し、刺された痕をアルコールで消毒しておくことよい。
この病気には予防注射が有効なので、ウイーン郊外に出かける時は、ダニによる感染を防ぐために前もって予防注射をやっておくことをお勧めします。
FSMEの予防注射
1歳から受けられます。2回目の予防注射は1回目から1〜3ヶ月後、3回目は2回目から9〜12ヶ月後になります。それ以後は3年おきです。
2回目の予防注射が終わって数週間すると90%以上この病気から守られることになります。
この予防注射は筋肉注射で上腕にします。
子供で、特に初めての予防注射の後、熱が出ることがありますが普通は24時間後には平熱に戻ります。熱が出た時は解熱剤をお使いください。