高脂血症について
高脂血症には、コレステロ−ル値が高くなる型と、中性脂肪値が高くなる型と、その両方
すなわちコレステロ−ルと中性脂肪との両方が増加する型とがあります。この型の違いに
よって食餌療法の内容が若干変わってきます。このためにコレステロ−ルが多い場合と、
中性脂肪(トリグリセライド)が多い場合とに分けて説明いたします。なおコレステロ−
ルと中性脂肪との両者が多い場合にはその両方を併用しなければなりません。
A コレステロ−ルが多い場合
1) コレステロ−ルの多い食品の制限 コレステロ−ルの一日の摂取量を300mg以下に
する事が望ましい。鶏卵は一個当たり250mgのコレステロ−ルを含有するので、一日に
一個以下が良い。なかでも鶏卵の黄身、その他動物の内臓、肉の脂身をふくむ食品、
とくにレバ−はコレステロ−ルの含有量が多いのでとり過ぎないように注意しましょう。
2) 動物性脂肪を制限して、植物性脂肪の割合を増加させる。 私たちの脂肪の摂取量は
比較的にすくないので、毎日摂取する脂肪の質が問題になる。動物性脂肪の量を極力減
らして植物性脂肪と魚からの脂肪とを多く摂った方がよい。魚に含まれる脂肪はコレス
テロ−ルを減少させる作用があると言はれている。肉の脂身、バタ−、クリ−ム等の
動物性脂肪は控えめにする方が良い。牛乳はカルシュウム、ビタミンミネラルに富む
ために一日一本は飲む方がよい。ただし牛乳が身体にあはないかたは、ヤクルトか
ヨ−グルトを飲めば良い。
3) 魚、とくに青身の魚(鰯、鯖等の皮の青い魚)の脂にはコレステロ−ルを減少さ
せる作用があるので、肉のかわりに魚を積極的に食べた方がよい。植物性脂肪の中
ではオリ−ブ油もよいという。
4) 植物繊維の摂取を多くする。植物由来の繊維の中で水溶性のものは腸管内で胆汁酸
と結合して再吸収を妨げる。その結果コレステロ−ルの排泄が促進される。穀類、
豆類、野菜類、顔藻類、茸類の中に植物繊維が多く含まれているので、これらの食品を
多く食べましょう。
B 中性脂肪が多い場合
1)総カロリ−の制限 カロリ−の過剰摂取によるリポ蛋白の合成亢進と代謝障害とに
よって中性脂肪が増加する。このためにカロリ−の摂取制限が必要になる。また同時に
肥満を伴う場合が多いから出来るだけ標準体重に近づけるように努力をしなければな
らない。
2)糖質の摂取量を制限する 総カロリ−を制限して適正にしたうえで、特に甘いもの
や糖質の多い食品を制限する。特に砂糖は澱粉よりも中性脂肪を上げやすいのいで、
甘いものは控える事。また果物の取り過ぎもよくない。果糖を多くふくむ食品はカロリ−
が高い。
3)アルコ−ル摂取量の制限 アルコ−ルは中性脂肪を増加させる。男性の高脂血症が
直りにくい原因の一つには、アルコ−ルの摂取制限がうまく行かないという事情がある
場合が多い。断酒が出来ない場合、日本酒ならば一合以内、ビ−ルならば一本以内
(出来れば小瓶)、ウイスキ−ならばシングル一杯以下とすること。
4)動物性脂肪を制限して植物性脂肪を余計にとる事。そうするとリポ蛋白代謝が促進
されて中性脂肪の処理が進む。その結果中性脂肪の減少を招く事が出来る。