高脂血症はなぜ治療を必要としますか?

 

検康診断の際に「高脂血症」とか「高コレステロール血症」という言葉を聞くことがよくあります。

この高脂血症には

1.高コレステロール血症

2.LDL-コレステロール血症

3.低HDL-コレステロール血症

4.高トリグリセライド(中性脂肪)血症の4種があります。



食物として摂取または体内で生成されたコレステロールと中性脂肪は、蛋白質と結合して

リポタンパクとなりそれぞれ生体にとって重要な働きをしています。

リポ蛋白の中にLDLコレステロールとHDLコレステロールとがあります。

LDLコレステロールは過剰になったコレステロールを血管壁にためる働きをするので悪玉

コレステロールと呼ばれています。

HDLコレステロールは血管壁からコレステロールを取り出して血管壁を強化するので

善玉コレステロールと言はれています。この両者の兼ね合いによって動脈硬化の進行

が左右されます。

同様に過剰な中性脂肪も動脈硬化を促進すると言はれています。

高脂血症に他の疾患がプラスされると更に危険度が増します。

加齢、高血圧症、糖尿病、喫煙、冠動脈疾患の家族暦等が加わると条件は飛躍的に

悪くなります。この危険因子が3個加わると狭心症や脳梗塞になる危険度は16倍になる

という計算があります。

糖尿病の場合は高脂血症を合併することが多く、しかも重症化することが多いので、

その結果心筋梗塞や脳梗塞にかかりやすくなります。

女性の場合は閉経後コレステロール値が上昇することが多いので注意しておく必要が

あります。本人には自覚症状が全く無いので検診の際に発見されることが多く、検診が

欠かせない理由のひとつです。



高脂血症の診断基準

高コレステロール血症---総コレステロールが220mg以上

高LDLコレステロール血症---LDLコレステロール血症が140mg以上

低HDLコレステロール血症---HDLコレステロールが40mg未満

高トリセライド(中性脂肪)血症---中性脂肪が150mg 以上



脂質の管理目標値は、加齢・高血圧症・糖尿病・喫煙・冠動脈疾患の家族暦・

HDLコレステロール血症等の危険因子をどれだけ含むかによって厳しくなります。

例えば上記の危険因子が3個の場合は、総コレステロール200未満・

LDLコレステロール120未満・HDLコレステロール40以上・中性脂肪150未満となります。

これに加えて患者自身心筋梗塞や狭心症を罹患している場合はもっと厳しくなって

総コレステロールは180未満・LDLコレステロールは100未満・

HDLコレステロールは40以上・中性脂肪は150未満となります。



最近は効果的な薬物療法を行うことが出来るようになりました。その結果血液所見は

比較的早期に改善されますが、途中で服薬を自分の判断で中止するとすぐに元に

戻ります。

高血圧症の治療と同じであくまでも対症療法なので、食事療法・運動療法を併用

しながら根気よく取り組まなくてはなりません。

 

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