updated 2000/12/15

雑誌への投稿から
高齢者が容易に使えるパソコンを
(日経パソコン 1996年10月21日号 P.330 「読者の広場」)

 
 最近、私は自分の住む地域の高齢者を対象にパソコン教室を開催しました。これは地域活動をする団体から依頼されたもので、参加者の平均年齢は70歳、人数は10名、パソコンは近くの小学校の設備を借用するというものです。学校が休日の土曜日に2時間の授業を3回、計6時間実施するという計画を立て、校長先生の許可も得て実現しました。(写真)
 内容は、マウスやキーボードの使い方、絵の描き方、日本語入力の仕方、表計算ソフトの初歩的な使い方をやりながら、パソコンとはどういうものかを知り、さらにパソコンの基本操作を覚えることです。
 私は、企業で社員教育を担当しており、パソコン講座の講師をすることがあります。今回のパソコン教室を実施してみて、今のパソコンは高齢者に対して次のような問題のあることを感じました。これらは日頃、全く気がつかなかったことです。
1.ディスプレイが見にくい
 当日は15インチのディスプレイを使ったが、マウスポインタや文字などが小さく見にくい。
2.マウスは高齢者には使いにくい
 マウスポインタを合わせることはできても、クリックが簡単にいかない。ましてやダブルクリックやドラッグは不可能と言える。ボタンを押す時にマウスが動いてしまうことに原因がある。
3.キーボードが使いにくい
 かな文字が見にくい。また文字を見つけにくい。
 要するに今のパソコンは、高齢者が使うことをほとんど考えずに作られているということです。これからは高齢者社会が来ます。メーカーはこのことを認識し、処理速度の向上ばかりでなく、高齢者にも使いやすいパソコンの開発にも力を注いでもらいたいと思います。