updated 2000/12/15
はじめての海外出張記
初めての海外出張先はノルウェーでした。1973年3月のことです。 当時、私は船に装備する「航海システム」、まあ言ってみれば今の自動車に 付いている「カーナビ」(CAR NAVIGATION:現在位置の測定器)を船に適用した ようなものを担当していました。 船の場合には、車と違い、道路に相当するものがないので、海上での位置の 測定装置の他に、他の船との衝突を避けるために「レーダ」というものも必要です。 話が少し難しくなってきましたが、要するにこれらのシステムをノルウェーの 会社から技術導入したので、その技術習得のために出張したのです。 当時の私は、英会話まるでダメ、海外初めて、ということだったので、あわて 戸惑いました。なにしろどのような準備をすれば良いのか分かりません。 ともかく、夜、羽田(まだ成田は開港前)からSAS(スカンジナビア航空)で飛び 立ちました。今ならロシア上空を飛ぶのでしょうが、当時、欧州へ行く場合は、 アンカレッジ経由で、つまり北極周りでした。 アラスカ上空からのすばらしい景色が印象に残っています。 ただ、飛行時間の長いこと、長いこと、話相手もいない、隣は外人、何度も出てくる 機内食、機内放送わからない、眠れない・・・ 東京から乗り換えをするデンマ−クのコペンハーゲン空港まで15時間ぐらい かかったでしょうか。 早朝、1時間ぐらいの遅れで着きました。ここで乗り換える? その方法は? えっ! 予定のオスロ行きの受付終了? どうすればいいの!! 羽田で預けたスーツケースはどうなるの? どこで聞けばいいの? そばにいる日本人らしき人に聞いて、なんとか次のオスロ行きに乗れました。 1時間後の昼、オスロ空港に到着。ここで、私のスーツケースが見当たらないので、 大弱り。実は、一つ前の便で着いていたのです。 当時、オスロに会社の事務所がありました。そこの所長が迎えに来ているはず なのですが、見当たりません!! 予定の便で到着しなかったので、帰ってしまったようです。 オスロのホテル名を聞いていなかったので、またまた、どうすればいいの!! 空港受付で、聞こうとしたが、英語でなんと言えばよいのか、言葉が出ない! やっと所長からのメッセージが案内所に届いているのが分かったのです。 それには自宅に電話するようにと書かれていました。(その日は休日) 電話? どうやって使うの? ノルウェーのお金ない!なんだかんだで、 やっと所長が車で迎えに来てくれました。良かった、良かった!! ノルウェーでは、オスロに1週間、Horten(オスロから南50kmぐらい離れた所) に2週間いました。 その間、休日があったにもかかわらず、見物はオスロ市内だけでした。 市の人口は40万人で、小さい町なので1日で主な観光名所を見られます。 1997年、世田谷美術館で「ムンク展」がありましたが、24年前に現地の ムンク美術館で有名な「叫び」の絵を見ました。 今なら事前に調査して、1泊2日とか日帰りの旅行の予定を組むのでしょうが。当時は、そんな余裕なんてまるでなし。3月といえば、ノルウェーはまだ冬です。 これに気が付かなかったため、普通の通勤靴で行ってしまったのです。そうなのです。 雪が残っているところがあり、通勤靴では恐かった。 相手の会社で教育を受けたわけですが、Isee、Yes、Thankyou、Good morning, Good byeぐらいしか、英語を使った覚えがない。”Isee”を連発していたらしい。 相手には変な外人と思われたことでしょう。それでも技術資料が手元にあるので、 なんとか習得したつもりになって帰って来ました。全く情けないものです 会社からは私ともう1人行ったのですが、その人は私よりも1週間早く出かけたこと、 習得内容が違うので、実質ひとりでした。ただ、ホテルは同じでした。 私より年下のその人は英検1級だったので、相手の会社との交渉、食事時の対話は すべておまかせ状態でした。 滞在中、スウェーデンとイギリスの間を、豪華フェリーで往復する経験をしました。その会社の「航海システム」が装備されているので、その動作状況を見るために 乗船したのです。欧州のフェリーは食事をはじめ、装備もすばらしい! 2泊3日の航海でした。 その8年後の1981年5月、再びオスロに行く機会がありました。その時は、 展示会を見ることが目的だったので、3日程度の短い滞在でした。このときの難問は、 オスロのホテルは満室であり、予約が取れないことが事前にわかりながら、行かざる を得なかったことです。(1週間前に、急に、上司から「行ってこい」と言われて) このときにはオスロ事務所は閉鎖され、ありません。 どうしたか? 想像してください。 8年経過しても、オスロの町並みは変わっていないことに驚きました。 (欧州はどこでも、昔ながらの町並みが残っているようです) さらに、初夏つまり白夜に近い季節なので、午後10時頃まで明るいのです。 小さい子供がその時刻に外で遊んでいるのです。これには驚きました。 以上が、私の「初めての海外出張記」です。いかがでしたか? |
オスロ市庁舎とオスロ港