updated 2003/1/25

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 水路測量用精密測位システム
 (Precise Positioning System for Hydrographic Survey
  by the Malacca Strait Council of Japan)

下記は、1974年、財団法人マラッカ海峡協議会に納入した「水路測量用精密測位システム」の概要です。本ホームページ作者は、このシステムの開発を担当し、1975年に海上保安庁が実施する現地での海図作成作業に、メーカとしてシステムのスタートアップと運用保守に参加しました。


 古来、洋の東西を結ぶ重要な海上交通であるマラッカ・シンガポール海峡がなんらかの事情により通航不能となったとき、その代替航路としてロンボク・マカッサル(Lombok-Makasar)海峡を利用する航路の重要性が注目され、すでにマラッカ・シンガポール海峡を通航することのできない超大型船はロンボク・マカッサル海峡を利用しています。
 ロンボク海峡とマカッサル海峡を結ぶ航路は、海図上でも未測定の部分が多く、測量された部分の海図は1927年に実施された測量にもとづいて作られています。これらの情勢を考慮し、インドネシア政府はわが国と共同でこの航路(幅:約12海里、長さ:約665海里)の海域を、ほぼ南北方向に測位および測深を実施することになりました。
 この測量海域は陸岸から遠く離れているため、従来の位置測定方式では短期間に効率良い測量を行うことができません。そこで、1972年10月、財団法人マラッカ海峡協議会は、海上保安庁水路部、電子航法研究所および機器製作メーカーなどの専門家からなる委員会を設け、測位方式について検討を重ねました。
 その結果、航行衛星システム:NNSS(Navy Navigation Satellite System)とLORAN(Long Range Navigation)-Cのρ-ρ(ローロー)航法方式を組み合わせて両者間に情報交換を行い、測量船の位置を自動的に精度良く算出するシステムが決定されました。
 1974年11月に完成したシステムは、インドネシア海軍の測量艦  "BURUDJULASAD"に装備され、1975年5月から4か月間、一連の調査に使用されました。ここで得られたデータは陸上で海図作成に使用され、現在の海図として完成、この航路を通る船に利用されています。
 

システム構成図

関連写真

調査海域
北緯1度から南緯9度まで
長さ:約665海里
幅:約12海里
完成したシステム
(製造工場内)
左からロランC受信機
記録機、コンピュータ、
NNSS受信システム、
記録機
測量艦
BURUDJULASAD
全長:82m
幅:11m
排水量:2150トン
測量艦に装備された
システム