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2001.2.21 (Answer)



まぁ、これは、見たことと勉強したことがあれば分かる問題。 まずは単純写真。

胸部単純X線


少なくとも、右下肺野には濃度上昇域がある。左下肺野も網状の濃度上昇を
呈しているように見える。掲載した写真がショボいんで分かりにくいが。


では、今回の鍵であるCTである。

CT10mm


両肺に、びまん性にすりガラス状の吸収値上昇を認める。

「うげ、びまん肺かよ」と思ったあなた! あなたは正しい。(^^;
確かに、びまん性肺疾患は鑑別が多く、イヤなジャンルである。

が、だ。
何かに気がつかないか?

次のThin slice CTを見ていただければ、俺が何を言いたいのか、お分かりに
なると思う。


CT thin slice


拡大してみよう。

CT thin slice


分かったっしょ?

「吸収値上昇域に重なって、粗大な網目状の変化がみられる」のである。

びまん性肺疾患で、すりガラス状の吸収値上昇域と重なって、網目状の変化が
見られる疾患。

癌性リンパ管症やサルコイドーシスとしては、粒状変化や気管支血管束の
肥厚に乏しい。
すりガラス状変化は間質性肺炎や過敏性肺炎も鑑別に挙がるが、こんな網目を
呈する例は見たことがない。

「マスクメロン状変化」とか「crazy paving appearance」とか、
そういう単語が出てこれば、正解にはあと一歩である。


というわけで、正解は、皆さんご存じ「肺胞蛋白症」である。

この疾患、「肺胞内にPAS反応陽性の糖蛋白質が沈着する」というのが
本態らしい。つまり、即物的に言えば「PAS染色で染まる」って事やね。

原因は不明。何らかの物質の吸引が原因って説もあるけど、はっきりしない
らしい。

4:1で男性に多い。どんな年齢でも起こるが、30〜40代に多い。

多くは咳や軽度の労作時呼吸苦、胸痛などで発症するらしい。

治療だが、多くは肺胞洗浄で治るんだが、効かないものもあるとか。
症状は亜急性に進行することが多く、急激な悪化は感染をかぶっている
ことが多いとか。気をつけよう。


ところで、これは肝心なことなんだが、肺胞蛋白症に必ず今回のような
マスクメロンが見られるわけではない
ってことは覚えている必要がある。

ものの本によると、肺胞蛋白症のCTは、

 ・air bronchogramが目立ち、細菌性肺炎に似るが辺縁は比較的明瞭な症例
 ・過敏性肺炎に似て、辺縁明瞭なすりガラス状変化を示す症例
 ・すりガラス状変化もあるが網目状変化が目立つ症例

の3パターンあって、特に3番目(つまりは今回みたいなの)が多い、と
書いてある。マスクメロンが多いことは多いのだな。

逆に、こういうマスクメロンを見たら、一撃で「肺胞蛋白症」と診断できる
のである。
肺胞蛋白症はマスクメロンとは限らないが、マスクメロンは肺胞蛋白症なのだ。
だから、この網目が目立たなければ、当然、間質性肺炎や過敏性肺炎は鑑別に
挙がるわな。

あ、あと、この網目は何が網目に見えているのかというと、何となく想像
できる通り、小葉間隔壁の肥厚がそう見えるらしいぞ。


とゆーわけで、本日はここまでである。


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