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2001.2.27



実はこの講座、アップするまでに、

(1) 教科書をじっくり読む
(2) 職場の端末で文章を打ち込む
(3) 俺の個人のノートパソコンに転送する
(4) アップする

といったような、妙に面倒くさい手順を踏んでいるのである。
いや、まぁこれにはあまり深い意味はなくて、「最終的にアップするファイル
は出来るだけひとつのパソコンで管理したい」というのと、「打ち込むのが
医学用辞書が入っている職場の端末の方が圧倒的に楽だ」というのと、その
2つの理由によるのである。
というわけで、それなりに手間がかかっている講座であるので、皆さんは
心して読むように、である。うむ。


さて、昨日まで、すりガラス様変化をやってきたわけであるが、最終的に、
すりガラスを呈する疾患は非常に多岐に渡り、かつ、それらの疾患の取りうる
所見はひとつとは限らず、さらに、どの疾患も結構所見が似通っている、という
身も蓋もない結論にたどり着いてしまったのである。(汗)
だが、この結論、自分では意外と的を射ているんじゃないかと思っている
わけで、結局、よほど特徴的な画像以外は、CTから疾患をひとつに絞り込む
のは非常に難しく、病変の局在や特徴、症状の経過などから、可能性の高そうな
疾患をいくつか挙げて行くしかないんじゃないだろうか、と思うのである。
っていうか、実際日々の読影ではそうだしな。

というわけで、今日はconsolidationのお話である。
で、これはもう口が酸っぱくなるほど言っていることであるが、consolidation
という状態は、肺胞の中が何かで埋まった状態である。でもって、すりガラスは
肺胞の中が「少し」何かで埋まった状態である場合がある。

そう考えると、すりガラスはconsolidationの前段階であり得るわけで
ある。そして、ここから更に論議を進めると、

すりガラスになりうる疾患は、consolidationになり得る

のである。
いや、これはまさに事実であって、その証拠に、昨日あたりの講座を読んで
いると、やたらと「すりガラスやconsolidation」なんて表現が出てくるのは、
とりもなおさず、この事実を裏打ちしているわけである。

なもんで、今回は、前回以前のおさらいとして、今まで出てきたびまん性肺疾患
のうち、consolidationを呈しうる物をドビャーッと列記して、お茶を濁すので
ある。


まずは2月23日分。この日は小葉中心性変化が主な疾患をやったわけで
あるが、その中で、まず細気管支に病変がある疾患として
結核と非定型抗酸菌感染症
があげられた。
結核に限らず、肺感染症はconsolidationを呈しうる。まぁこりゃ当然。

次に、
薬剤性肺炎
もあげられている。昨日も書いたが、障害される部位によって、薬剤性肺炎は
4つの型に分けられ、様々な所見を呈しうる。
言ってしまえば何でもあり、当然consolidationもありである。

次に出てきたのが、
アレルギー性肺アスペルギルス症(ABPA)
である。これも感染症の一種なわけで(とはいえ、感染による炎症、とは一概に
言い切れない発症機序ではあるが)、consolidationをきたしうるのも何となく
分かるのである。

次に、リンパ組織に病変があるものとして、
サルコイドーシス
癌性リンパ管症
の2つを挙げたわけだが、この2つはいずれもconsolidationを呈しうることを
特記しておきたい。
一見、間質メインのこの疾患がなんでconsolidationを呈するのか、皆さん
疑問に思われると思うんだが、実は、間質に強い変化が起き、線維化すると、
肺胞にあんまし空気が入らなくなって(つまり含気が減少して)consolidation
に見えるらしいのである。
なんかムリヤリな説明であるが、俺が参考にしてる教科書にも、

「consolidationは、気腔が細胞や液体で充満したり、組織により置き換え
 られた病変や、UIPやサルコイドーシスでみられる(中略)間質病変の線維化に
 より内部に含気が見られなくなった場合などに認められる所見である」

と書いてあるんで、まぁ、正しいんであろうと思っている。

それでは、次は24日。気管支血管束の肥厚の話である。

まず、さっきも出てきた、
癌性リンパ管症とサルコイドーシス
それに、
Churg-Strauss症候群
がconsolidationを呈しうる。これらは間質メインの病変だが、上記の如く、
それでも肺含気が低下することがあるのである。

次に上がっているのが、
カリニ、CMV、マイコプラズマ
まぁ、これも感染症だからいいだろう。

次は25日、すりガラスの1回目である。

まず最初に出てきたconsolidationを示す疾患が、
非特異型間質性肺炎(NSIP)
である。これは「中下肺主体のすりガラスとconsolidation、気管支拡張を
認めるが蜂窩肺は目立たない」という特徴があった。

次が、
急性間質性肺炎(AIP)
である。ARDSと同様の所見を呈し、「ほぼ全肺のすりガラスとconsolidation」
を特徴とする疾患であったな。

そして昨日26日、すりガラスの2回目に出てきたのが、まず、
好酸球性肺炎
である。急性は肺水腫似だがphotographic negative、慢性はBOOP似でやっぱし
分布はphotographic negative of pulmonary edema。

‥‥ってことは当然、
BOOP
もconsolidationを呈すると言うことだな。

あとは、薬剤性にしろカリニやCMVにしろ既に出てきたのですっ飛ばして、
最後に、
肺胞出血
だな。肺胞の中に血液がたまるので、当然その量によってはconsolidationを
起こしうるのである。


というわけで、今回はまるで総集編のような(汗)consolidation一覧であった。

次回はconsolidationのうち、感染症にスポットを当ててネチネチとやる予定。
お楽しみに。


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