今日は全国的に春分の日であるが、昨日挫折した俺には、国民の祝日で休む権利 など存在しないのである。(;_;) というわけで、今日も相変わらずのペースで行くのである。 さて、今日は縦隔の話の最後、大血管疾患の話であった。 縦隔の話で大血管をやることにしたのは、ただひとつ、単純写真対策である。 縦隔腫瘤げな胸部単純写を見せられて「これは何ぞ!」と問われたら、まず心臓や 横隔膜とのシルエットサイン、エクストラプルーラルサイン、あるいは上の方なら サービコソラシックサインをべべべっと確認して局在診断。 そしてそれから鑑別診断に入るわけであるが、大動脈瘤は、前・中・後、どこの 縦隔でも必ず鑑別疾患に入ってくる。つまりは必ず念頭に入れておけって事。 さて、単純写で一通り聞かれ終わると、今度はCTの出番となる。そこで大動脈瘤 だということが分かったら、思考は一段落である。っていうか普通分かる。(^^; だが、その一段落してからが問題。今度はその大動脈瘤が「やばくないか」、 言い換えれば「保存的に治療していいのか、それとも手術などの積極的治療が 必要か」を見極めねばならない。これは試験のみならず、日常の臨床業務にも当然 要求されてくることである。 じゃあ、どういう部分をもって「やばい」と判断するのか。それにはいくつかの 判断基準がある。 ・でかい 正確には、胸部の紡錘型の大動脈瘤で最大径6cm以上、(話は外れるが)腹部は 5cm以上が手術適応だそうである。また、嚢状の大動脈瘤は破裂しやすいので 問答無用で手術なのだそうだ。 ・解離している これには、手術適応であるものとないものがある。具体的には、Stanfordの A型、つまり上行大動脈(つまり腕頭動脈分岐部より近位)が裂けていれば 手術適応。大動脈弓以降にしか解離がないB型は、原則として保存療法である。 最近は、B型にステントを入れるのが注目の的とか。 血栓閉鎖型の解離は予後がいいらしいんだが、ぽこっと血栓解離腔にへこみが 出来る(っていうのは正しい表現じゃないが)ulcerlike projectionは 破裂の芽。これがあるなら要注意。 あと、実は解離の鑑別診断があって、penetrating atherosclerotic ulcer というんだが、これは大動脈の肥厚した内膜が潰瘍を起こしてギザギザになった 状態。これも瘤の拡大や破裂の芽である。要注意。 といったところかいな。 試験では、この辺をきっちりと書ければor言えればいいんじゃないかと思う。 最後に、解離の分類をもう一度きちっとやっておこうか。 まずは前述のstanford。これは非常に簡単で、裂けてる範囲が少しでも上行大動脈 にかかってればA、さもなくばBである。 そしてもうひとつ、これは伝統あるDeBakey分類。これはI、II、IIIの3つに 分かれ、 Iが「entryが上行大動脈内にあるが、そこから上行大動脈を越えて解離が存在」 IIが「entryが上行大動脈内で、解離範囲は上行大動脈内に全部入っている」 IIIが「entryは下行大動脈にある」 となるんだが、この分類には「じゃあ大動脈弓にentryがある例はどーなんのよ」 という致命的欠陥があるので俺は嫌いだ。(^^; ちなみに俺は未だにこの名前の読み方を知らない。ドゥベイキーとかドゥバッケイ とか読んでるんだが、実際の所はどうなんだろ。 つーわけで、胸部はめでたくおしまいである。 子供の心疾患とかは全く飛ばしたんだが、子供は子供で、あとでまとめてやろうと 思う。かなりに厄介だと思われるのだが。 明日からいよいよ新章突入。果たして明日から取り上げるジャンルは何か‥‥ それは神(と俺)のみぞ知るのである。 忘れてた! 最後に一言! 「若い女性で、首や上肢の血管閉塞がありそうなら大動脈炎症候群を疑え! 鍵はCTで大動脈壁の肥厚と血液生化学でCRP上昇!」 ‥‥それではまた明日。(^^; |