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2001.5.14



トップページにバグがあったり、11日分をアップ忘れたりして、ここんとこの
勉強分が全然見られなかったりした罠。
っていうか、修正しました。すまん。


つーわけで、脳腫瘍、まずは大人の脳腫瘍のある意味で「代表」である神経膠腫系
の腫瘍から行ってみようか。

「神経膠腫系系」と言っても広く、高分化な方から、星細胞腫(astrocytoma)→
anapastic astrocytoma→膠芽腫(glioblastoma)という順に低分化に(つまり
「悪く」)なっていくわけである。

では、まず良い方のastrocytomaから。
好発年齢は30〜50歳、前頭葉33%、側頭葉17%、頭頂葉13%。後頭蓋窩・脳幹が
23%。あと14%はどこなのだ?(汗)
そうそう、これは大人の場合。子供は小脳に多いので覚えておこう。

症状は痙攀が初発のことが多く、片麻痺などが徐々に進行する。これは
腫瘍が徐々に大きくなるからである。
CTはほとんどが低吸収、濃度も均一、辺縁も比較的明瞭。浮腫は少ないことが
多い。造影剤による吸収値上昇効果はないか、あっても軽度。
MRIだとT1強調像で低信号、T2強調像で高信号。辺縁明瞭でmass effectは少ない。
浮腫や内部の出血は少なく、造影剤の信号上昇効果が認められるのは40%、と。


じゃあ、次はanaplastic astrocytoma‥‥と行きたいところだが、これはさっきの
astrocytomaと、次のglioblastomaの中間の所見を取るもんで、とっとと次の
glioblastomaに行くのである。

膠芽腫 glioblastoma。悪性度が高く、予後の悪い脳腫瘍のチャンピオン
みたいなもんで、1年生存率で既に40〜60%、5年生存率だと15%とかいう、
実に恐るべきシロモノである。

このglioblastoma、別名をglioblastoma multiformeといい、かなり多彩な細胞から
構成されているのが特徴。
そして、それを反映して、CTでは不均一な低吸収域と等吸収域が混在し、
等吸収域の部分が主に造影剤で吸収値上昇効果を受ける。またring enhancementや
腫瘍内出血を伴うものが多い。浮腫の程度は様々。また、時に辺縁明瞭な高吸収と
なるもの、さらには腫瘤状に見えないものがあって騙される。(^^;
MRIではT1・T2とも境界不明瞭で内部付近位置な腫瘤、壊死や嚢胞変性を伴い、
flow voidや様々な時期の出血を伴い、Gdで不均一な強い信号上昇を示す。
周囲には浮腫によるT2高信号。


で、まあ、anaplastic astrocytomaはこの中間やね。(^^;


あと2つ、この系統で言っておかなければならない腫瘍がある。

まず1つ。毛様細胞性星細胞腫 pilocytic astrocytoma
これは、組織的には「すっげー悪性度の低い星細胞腫」で、子供の小脳や第三脳室
周囲、視神経に多いらしい。大人では大脳半球にも多い。
周囲に浮腫が無くて境界明瞭。MRIではT1 iso or low、T2 high signal。Gdで強く
均一な信号上昇効果を示す。


もひとつ。乏突起膠腫 oligodendroglioma。30〜50歳に好発、男性やや
多し。大部分が大脳半球で特に前頭葉が多い。
そして、最大の特徴が石灰化。CTでは半数以上に石灰化を呈する。
ただし、その他の部分ははなはだ多様性に富み、CTでは不均一な吸収値を呈し、
造影剤による吸収値上昇効果も症例により様々。
MRIではさらにややこしい。全体ではT1 Low・T2 Highのパターンだが、石灰化
部位はその度合いによって様々な信号を示す。造影剤による信号増強効果は
不均一で中程度。


つーわけで、今日はここまでであった。
明日は髄膜腫に行きたい雰囲気。


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