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『
御法(大島本)
』
風野分だちて吹く夕暮に、昔のこと思し出でて、「ほのかに見たてまつりしものを」と、恋しくおぼえたまふに、また「限りのほどの夢の心地せし」など、人知れず思ひ続けたまふに、堪へがたく悲しければ、人目にはさしも見えじ、とつつみて、
「阿弥陀仏、阿弥陀仏」
と引きたまふ数珠の数に紛らはしてぞ、涙の玉をばもて消ちたまひける。
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第三章 光る源氏の物語 源氏の悲嘆と弔問客たち [第一段 源氏の悲嘆と弔問客]
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