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 『横笛(大島本)

 「かかる夜の月に、心やすく夢見る人は、あるものか。すこし出でたまへ。あな心憂」
 など聞こえたまへど、心やましううち思ひて、聞き忍びたまふ。
 君たちの、いはけなく寝おびれたるけはひなど、ここかしこにうちして、女房もさし混みて臥したる、人気にぎははしきに、ありつる所のありさま、思ひ合はするに、多く変はりたり。この笛をうち吹きたまひつつ、

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  第二章 夕霧の物語 柏木遺愛の笛  [第五段 帰宅して、故人を想う]

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