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 『横笛(大島本)

 「いかなれば、故君、ただおほかたの心ばへは、やむごとなくもてなしきこえながら、いと深きけしきなかりけむ」
 と、それにつけても、いといぶかしうおぼゆ。
 「見劣りせむことこそ、いといとほしかるべけれ。おほかたの世につけても、限りなく聞くことは、かならずさぞあるかし」

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  第二章 夕霧の物語 柏木遺愛の笛  [第五段 帰宅して、故人を想う]

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